祝!昭和百年!200万PV達成!漫画史研究家・本間正幸監修【少年画報大全】(少年画報社・現在三刷)

【20世紀冒険活劇の少年世界】メトロポリス漫画総合研究所(since1997)から、昭和の映画、出版美術、音楽を!

映画【黄色い涙】

2012-08-18 15:09:00 | 昭和末期・横浜鶴見のある不良少年の物語
黄色い涙*もどり雨<歌詞付き>
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【異人たちとの夏】私の8 月15日

2012-08-18 00:00:27 | 2001年夏「少年画報大全」(少年画報社)監修者への道
今日の昼にNHK BSプレミアムにて映画【異人たちとの夏】を観る。

お盆の時期に、この映画はピッタリおすすめの一本だ。(涙)

少年時代を浅草で過した主人公は、12歳の時に両親を亡くす。
40歳となり脚本家として活躍する主人公が、浅草で死んだ頃の姿のまま変わらずに暮らしている両親と再会し、異人たちとの夏を過ごすのだが・・・。(涙)

名脚本家として知られる山田太一さんが、山本周五郎賞を受賞した小説を、同じく名脚本家の市川森一さんが脚本を描いた名作。
市川森一さんと私とは、一度だけ御会いしたことがある。
故・永島慎二先生の名作漫画【黄色い涙】を、かつてNHKで連続テレビドラマとなった際に脚本を担当し、映画【黄色い涙】としてリメイクされた際の脚本も担当された市川森一さん。
メトロポリス漫画総合研究所・本間正幸として撮影協力をした私は、打ち上げ会場にて市川森一さんに会って直接話をし、名刺交換までさせていただいたのだが・・・。
今は市川森一さんも故人となってしまった。(涙)
私が、原作者である永島慎二先生と御会い出来たのも一度だけ。
人と人との縁、出会いとは一期一会が多いのかも知れない。

今日の画像は、茨城県鹿行地域にある母方の菩提寺の敷地内に建てられている戦没者慰霊碑です。

日清・日露戦争から、第二次世界大戦終了までに、母の故郷の小さな集落から、戦争に従軍して亡くなった日本軍兵士は25人。

その中の一人に、私の大叔父がいます。

叔父から聞いた話では、祖父の弟である大叔父は、大砲の砲撃手として陸軍に従軍していたとのこと。
昭和18年6月30日ニューギニアにて陸軍上等兵として戦死したことが碑に刻まれています。
母の故郷の菩提寺にある大きな碑の中に、私と縁のある人の名前が刻まれているという事実は、まだ幼かった私の少年時代、祖父母や両親、伯父や伯母、従兄弟達、皆と一緒に行った墓参りの際に、悲しみや驚きと共に私の心の奥深くの記憶に刻まれたようです。
今年は、母の実家の長男に嫁ぎ、子供の頃の私が、夏休みの日々を楽しく過ごせるようにいつも見守って世話をしてくれていた伯母の新盆がありました。
子供の頃、一緒に墓参りをしたお祖母ちゃん、お爺ちゃん、そして伯母ちゃんが静かに眠る墓。
年老いて、寝たきりに近くなってしまったため、一緒に墓参りが出来なくなってしまった伯父の変わり果てた姿。
そして・・・、まだ年若くして出征したため、自分の家族もなく出征した大叔父の短い生涯をあらわす生きていた証は、出征する際、祖父の家族つまり幼かった頃の私の伯母達に囲まれて写した古い写真だけが残されているのみ。
額に入ったその写真は、私の子供の頃から今も変わらずに母の実家に飾られています。
昨年秋の伯母の葬儀の際、随分久しぶりに訪れた母方の菩提寺で、私は、大叔父の名前と額に入れられ壁に飾られた写真を思い出しました。
第二次世界大戦、私の親族は、父方では一人、十代後半で山形県庄内地方から出征し、陸軍伍長として二十代前半の若さでシベリアに抑留され亡くなり、写真といくつもの勲章だけが遺されている伯父を含めて年長の伯父たち三人が出征。
母方の親族では、茨城県鹿行地域から大叔父がニューギニアに出征して戦死。
今も昔と変わらずに、母の実家の壁に飾られている写真と、故郷の菩提寺に造られた大きくてとても立派な戦没者慰霊碑の中の一人として名前を見つけることが出来るのです。


母の実家の家族構成は、かつては3男6女と長男の嫁、長女、息子二人からなる大家族が一緒に暮らしていた時期がありました。

母の兄弟姉妹は、今日までみんな健在だったのですが・・・。

祖母が亡くなったのは、私が中二の時。
祖父が亡くなったのは、その二年後、私が高一の時のこと。

母の実家に住む長男の嫁である伯母さんには、私が子供時代に遊びに行くと、大変可愛がられたものです(子供時代の私は、意外にもケンちゃんシリーズのケンちゃんのようにとても可愛らしい子供だったため、祖父母や伯父伯母だけでなく、年上の従姉妹達など、みんなにとても可愛いがられていたのです)。
今年の8月13日(月)の朝は、母を連れて二人で高速バスに乗り、鹿行地域へ行きました。
伯母の次男となる従兄弟の嫁さんに、バスの停留所まで迎えに来てもらい、母の実家へ。
その日は、伯父や伯母、従兄弟達など母方の大勢の親戚が集まり、大勢の来客も来て大変賑やかな日となりました。
私には、まだ良く判らない遠戚の人達もたくさんいるようです。
高速道路の発達により、横浜など、少し遠方から車で来た母方の親族達は、皆、日帰りをしましたが、私と母だけは、三男となる一番若い伯父の家に泊まります。
伯父は、大洗へ婿に行きましたが、昨年三月の東日本大震災で被災したため、水戸へ引越します。
8月14日(火)は、午前中雨も降ったためか来客も少ない寂しい日となります。
私と母は、伯母の二男となる従兄弟の家がある神栖へ泊まることになります。
8月15日(水)、当初は帰る予定で母の実家へ挨拶に行った所、農家をやっている伯母の一人娘・従姉妹の嫁ぎ先の家へ「今日は道路が混むからもう一日泊まってけ」と言われ、二十五年振りに従姉妹の家へ遊びに行くことになります。
かんぽの宿・潮来の近くにある従姉妹の家周辺は、北浦に近く、自然に囲まれた良い地域なのです。(笑)

私の祖父は、母の実家がある町の初代町長であり、その後も4期町会議員を務めていたとのこと。

親族親戚関係も多く、祖父の葬儀の際には、当時現職の自治大臣が秘書と共に黒塗りの車で弔問に訪れたほど盛大なものでした。

それから、30年近くの歳月が流れ・・・。

かつて、最大で15人の家族が一緒に暮らしたことがあり、とても幸せに満ち溢れて賑やかだった母の実家が、従兄弟の代となった現在、寝たきりに近くなってしまった伯父と、介護する長男の従兄弟の二人暮らしとなってしまったのです。
母の実家は、僅か三十年間の間に、その地域で一番凋落した家となり果ててしまい、かつての誰もが羨むような幸せがいっぱい溢れていた家だったという事実は、まるで嘘のように思えるのです。


その家に住む人達の境遇や取り巻く環境は大幅に変わってしまっても、私が住む横浜の街とは違い、茨城の自然の景色や風景が、所々昔の美しい雰囲気のままの風情をのこしていたため、時の流れの切なさが私の心に響いてきます。
金持ちではなくても、正直で働き者の父や母に囲まれて、ささやかな幸せに恵まれて暮らしていた、私の家族や善人のお祖父さん、お祖母さん、そして大勢の親戚たち。
母を連れて二人だけで高速バスの一番前の左の席で帰省する際、かつては父の運転する車の助手席にいつも私が座り、家族四人(父・母・姉・私)で渋滞する道路の中、車中楽しく過ごしていた昔の懐かしい思い出が、妙に悲しく思い出されてしまいました。

現在、私の母の具合も、あまり思わしい状態ではないので・・・。(涙)

私がまだ子供だった頃、父が話してくれたシベリアに抑留され亡くなった伯父に対して抱いていた思いと、私の母が話してくれた戦死した大叔父に対して抱いていた思い。

シベリアに抑留された伯父は、出征の日の明け方まだ暗いうちの四時か五時頃に、眠っていた一番年下の弟である父を起こして裏山に連れて行き、朝まで二人だけで遊んでくれたそうです。
出征前夜に自宅で盛大に行われた壮行会に際して、八人兄弟の末っ子で八男、昭和11年10月生まれのため、まだ幼かった父は、伯父と一言も話が出来ないうちに、我慢しきれずにいつの間にか眠ってしまいます。
そんな父に対して、出征前夜に寝つけなかったであろう十代後半と、まだ年若い伯父が、まだ幼かった父のために最期の楽しい思い出を作ってやろうとして費やしてくれた貴重な時間。
父は、そんな伯父の優しさを、数少ない伯父との楽しい思い出として、心に刻みつけて生きていたようです。
伯父は出征した日、駅前で見送る大勢の人達の前で、父に対して笑顔で微笑んで出征して行ったそうです。
父は、山形県庄内の故郷から、たくさんの出征兵士を見送った中で、気負って出征して行った兵士達や、泣き言混じりで出征して行った兵士達と違い、ただ一人、笑顔で出征して行った一番年若い兄の凛々しい軍服姿だけがいつまでも強く印象に残っていたようです。
そして、8月15日の終戦の日を迎えてからは、故郷庄内へ帰還兵を乗せた列車が到着する度に、駅へ出迎えて優しかった伯父の姿を探し、待ち続けた少年時代の父の思い。

私なら、出征前夜に残された貴重な時間を、弟のためだけに使ってしまうことが出来るだろうか?

そして・・・大叔父が、出征前、昭和16年5月生まれである母たち家族に対して抱いていた思いを考えると・・・。

私の8月15日は、まだ幼かった私の父や母の幸せな生活を守るため、そして祖国日本の防衛のために、身を艇して戦ってくれた親族の魂に、感謝の気持ちを抱き続ける日でもあるのです。


昭和の漫画史研究家、昭和のアニメーション史研究家、社会学士


本間正幸
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