祝!昭和百年!200万PV達成!漫画史研究家・本間正幸監修【少年画報大全】(少年画報社・現在三刷)

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冒険活劇文庫創刊号の理念とは?

2009-05-26 01:27:31 | 街頭紙芝居「黄金バット」と『冒険活劇文庫』の時代
戦前戦後を通じて、街頭紙芝居最大のヒーローである永松健夫の黄金バットを看板に、戦後の少年雑誌の流れを変えた冒険活劇文庫(明々社)創刊号の理念とは?


ー冒険活劇文庫についてー

これからの日本を背負ってたつ、みなさんは、大切なお國の宝です。
まちがった戦争によって、世界の國々からお交際(つきあい)をことわられていた日本が、生れかわって民主國となりました。
民主主義ということは、みんなが自由に勝手放題をすることではなく、自分の務(つとめ)を立派にはたし、他人にめいわくをかけず、自分の心を正しくして、身体(からだ)も心も健全になることです。
そして正しいと思った事は、あくまで貫ぬき通すたくましい正義の精神が民主主義の根本となるのです。
いままでの日本人には、この正義の精神が、もっとも欠けていました。
冒険活劇文庫の物語は、皆この点に立脚して、諸先生方に腕をふるっていただいた、傑作ぞろいの雑誌です。
この絵物語のなかには、正義を培う精神と知識の芽生えをそだてる夢の世界が満ちあふれています。
みなさんは、このたまらない面白い絵物語のなかから、正義の精神を汲みとって、すこやかに育って下さい。
それが、世界の少年たちに負けない立派な子供になる近道です。
冒険活劇文庫は、冒険・科学・探偵・活劇物語を満載して、毎号すばらしい出来ばえを、みなさんにお眼にかけるつもりでいます。(編集部)

少年画報大全付録・冒険活劇文庫創刊号復刻版(2001年・少年画報社)より


昨今、安易にサムライと名付けるのが現代の風潮だが、冒険活劇文庫のタイトルまで無断使用しているホームページを見つけた時は流石に驚きました。
冒険活劇文庫の創刊から、改題後の少年画報の休刊に到るまでを総覧し、少年画報大全を監修した私にとっては、誠に遺憾です。
冒険活劇は、慣用句ですが、冒険活劇文庫は明々社発行の雑誌タイトル、いわば固有名詞となります。
冒険活劇文庫に掲載された作品群と他の雑誌や単行本などで発表された物とでは、その理念が違ってくるのです。
冒険活劇文庫の創刊の理念を本当に理解して使用してくれているホームページならせめて救いがあるのですが・・・

私は、少年画報大全に関わったことを生涯の誇りに思い、発売以来9年間、添乗員として旅行の時も常に鞄の中に入れて持ち歩いております。
少年画報大全発行の際にご協力いただいた先生方及び遺族の方とは、現在も懇意にしていただいております。
先生方も皆、冒険活劇文庫及び少年画報に関わられたことを今も良い思い出としていただいているのです。
冒険活劇文庫創刊の理念を理解されずに何ら関わりのない方がそのタイトルを使用するのは、果たしてどんなものなのでしょうか?

せめてサイト管理者の実名を公表し、関係者各位に挨拶があってから使用してもおかしくはないと思うのはネット社会の常識を知らない私だけの過剰なる思い込みなのでしょうか?

明々社及び少年画報社を創業した故・今井堅社長の志を思うと酷く悲しい思いになるのです。


創業50周年に際して

創業に際して私は、戦後の新しい日本を担う青少年の正しい育成こそまさに喫緊事であり、出版を通じて微力ながらその一助たらんと念願した次第でありました。
敗戦直後の社会の混乱は、産業・風俗の著しい荒廃のみならず、教育の偏向までもたらしました。
伝統的ないわゆる醇風美俗さえ否定される有様で、良識は影をひそめ、一部には偏見と独善が横行する観がありました。
こんな風潮に、大きな不安と憤りを覚えずにはいられません。
青少年の行末はどうなる?自由と公正が本当に実現する活き活きした社会。
それを建設する若人となるべき青少年を、一人でも多く世に送り出さねばならない。と痛感せずにはいられなかったのです。
(明るく、清く、正しく、強く。)
この標語には(少年画報)と読者とを結ぶ当時の合言葉でした。
(赤胴鈴之助)や(ビリーパック)はこうして生まれ、多くの少年たちの血を湧かせ、夢を育んだのです。
以来、星霜五十年。
波乱も経ました。
しかし創業の理念ーー時流に棹さして偏せず、健全な青少年の育成に奉仕する当社の姿勢は、終始変わらないのであります。

創業者 今井堅
平成9年12月3日没

トーハン週報1995年1月13日号挨拶より

(少年画報大全)


少年画報社から社史ともいうべき少年画報大全監修の特命を受けた者として

社団法人日本漫画家協会正会員
漫画史研究家

本間正幸


追伸

このブログを読んでくださる皆様には、是非一度、少年画報大全を手にとって御覧いただけたら幸いです。以前、私のブログの中でも書かせてもらいましたが、この本の編集に関わった者全てが、この本だけはという特別の思い入れが今もあるのです。
冒険活劇文庫という神聖なタイトルを、冒険活劇文庫と何ら関わりあいの無い人物に安易な思いつきだけで使用してもらいたくはありません。
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