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川柳文学
思えば田辺聖子 著「道頓堀の雨に別れて以来なり」「川柳でんでん太鼓」「人生あまから川柳」や佐藤愛子 著「古川柳ひとりよがり」などに影響を受けて川柳をかじった

それまでの10余年は見様見真似で自由律の川柳風五七五句を5000句ほどと沢山作り、辛い時、理不尽な仕打ちに悩むとき、気が滅入る時にあえて笑えるような川柳を作り、自分を鼓舞し、ケセラセラと励ましながら一人楽しんできた

自由の身となったのを機に、縁あって基礎から川柳を学びたくなり、2年前から現代川柳のその道の第一人者に師事した

併せて現代川柳の老舗結社にも入会を許されたが、深めるほどに難しく、それまでの自由律句で慣れていた鼻を完全にへし折られて苦悩の始まりとなった

何故あなたは自然が好きなのに俳句や短歌ではなく、川柳なのですかとよく問われる 確かに俳句も短歌も心惹かれるが、人間の穿ちや琴線をくすぐる川柳に興味があった

かつては昨今の「サラリーマン川柳」や「シニア川柳」に類する川柳句を沢山作ってきた どちらも川柳とは言え、古典川柳や伝統川柳とはまるで違うもので誤解を受ける

まして現代川柳作家の作品句をみてもいまだにさっぱり理解できない? だが学ぶ毎に少し奥深さが増し、難しさも面白さに代わっていくので楽しい

さてこれから笑うより唸る川柳が作れるのかどうかは、古い頭の脳活次第のようだ

「川柳の神様・名句の誕生と鑑賞」「同・秀句の誕生と鑑賞」三上博史著(新葉館出版)からの現代川柳句から一部を抜粋
・どの道を辿ってみても墓地に出る 藤原鬼桜
・秋蝶がすいと話の腰折りぬ 宮本美致代
・真ん中に座って母は隙だらけ 馬場涼子
・言い訳が上手に言えた自己嫌悪 槙田英詩
・早送りすると桜が散っただけ 近藤ゆかり
・いのちやと音立てて食う母の箸 森中恵美子
・ことわりもなくあがりこむマヨネーズ 飯田良祐
・反抗期隙間だらけの母が勝つ 村山 了
・待つことに慣れたキリンの長い首 鎌田京子
・足踏みが板につき出す最後尾 加島一郎
・常識という一冊の眠い本 佐藤美文
・余生とはすぐに日暮れが来てしまう 和田あきお
・やがて古希魔女になろうとしてよろけ 早良 葉
・男ってかわいいものよ泥の靴 谷口節子
*写真は全て千里南公園の散歩道から