プレイバック

2006年02月06日 | 読書

ひさしぶりにレイモンド・チャンドラー「プレイバック」を読み返している。


この最後の作品は今までの中で一番なぞが多いといわれている。女性との関わりが描かれていること、


最後の思わせぶりのせりふ、乾いた空気の多かった設定がセンチメンタルに満ちて書かれている。


私の一番好きな作品は「長いお別れ」だけど、その登場人物が最後に現れるのも不思議である。


タフで自分のスタイルを崩さない探偵、フィリップ・マーロウが唯一友とよんだ男との悲しい別れを経て、


こんなにセンチになってしまったかのような・・・


いいなあ・・


ぜんぜん世界は違うけど、都築道夫の「なめくじ長屋」シリーズの砂絵のセンセーも同じ味をかもし出している。


こちらもだんぜんおすすめです。


「プレイバック」つながりということで・・・


 


 


宮部みゆきさんの作品について

2006年02月03日 | 読書
http://www.osawa-office.co.jp/ 読んだ小説の中から、感じたことをひとこと。

 宮部さんの作品は怖いもの見たさを感じて読む作品と、ほっとしたいがために読む作品とに分かれる。

 前者は現代ものの代表作「模倣犯」や「火車」。後者は時代小説のシリーズだ。

 とくに「火車」はつらい境遇に陥った女性の業の怖さで、読後も寒気を感じた。「模倣犯」はピースの冷静さが失われたあたりから、テンションがさがってきて、ボリュームの割にはあっけない終わり方にひょうしぬけがしたけれど・・・

 対して、いつも思うが作者の江戸時代の町人や町方役人へのやさしいまなざしはどうだろう。きっと作者もかきながらこの時代にいやされているようだ。そして読み手もその世界で、同じようにいやされている。悲しいつらい現実が人々に覆っているのは一緒でも、冷たい現実と暖かいあの世のように対比して、描いているようだ。