「ロートレック展 パリ、美しき時代を生きて」展

2008年02月26日 | 美術
 2月15日(金) サントリー美術館

 ロートレックと彼の生きたパリの大衆文化を同時に展示した展覧会。

 生まれつき足に障害のあった彼が、絵を学び長じて魅了されたムーランルージュを中心とする華やかな世界。歌と踊りと芸人が生きた様を、鋭い目で切り取っている。
 それは単に、美しさを描くだけではない。ポスターでさえ虚構を描かず、モデルからも嫌われることもいとわない。
 反面、その人々の華やかさの影の苦悩と自分を照らし合わせたような魂のぶつかりあいが、生き生きとした人々を一層浮かび上がらせて、美しい。
 晩年は、酒と病気で自分の身を削りながら、来る暗く長い戦争の足音をちらつかせることなく、鮮やかに、この華やかで美しい時代を切り取り残していったように思う。

 それにしても宣伝TVの影響か、人が多すぎる。せっかくの展示もゆっくり見られず、隅研吾の設計を堪能しようとしても人に負ける・・・


美術検定

2008年02月13日 | 美術
 某新聞社のてこ入れで昨年から美術検定の名の下にはじまったこの検定は、実際のところ何を目的にしているんだろう。
 いまの日本は、美術、アートとしてテレビも雑誌も絵の見方を広げる教養番組、特集が大流行。
 自分の絵を見る目を高めるために、学習することはとても楽しいし、いいことだとは思うが、それを検定としてランク付けして、美術館と一般鑑賞者との橋渡し役のお墨付きを与えることが、博物館や美術館のためになることだというのか?はたまた単に、教養を誇る団塊中年世代の人を大量にふやして、財政難をなんとかするとか?
 自分の知識がどれほどかを知るためにはとても面白い企画だが、それならDSあたりでお茶を濁すくらいが丁度いいと思う。新聞までがそれをとったから、素晴らしいと宣伝するようになっては、何をかいわんや。まして一出版社の出版物を買わなくては勉強にならないなんて、何処か作為を感じてしまう。
 どなたかこの検定について、ご意見はないでしょうか?
 そういう疑問を持ちながら、私が3級受験したのは矛盾してるけど・・・