「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である」展 ヤゲオ財団コレクションより

2014年08月19日 | 美術
面白くて、ためになることを探しているなら、ぜひ見てほしい展覧会。

台湾のヤゲオ財団のコレクションは日本で見られないような力を持った作品ばかり。
それが実際、個人の部屋やオフィスに普通に置かれている写真を見せられると、
ますます圧倒される。

美術館では収蔵しないだろう作品も、コレクターの審美眼?オメガネにかなったとなるや、
現代アートの歴史を刻む渦の中に飲み込まれる。

キーファー、ウォーホル、マーク・ロスコ、ゲルハルト・リヒター、杉本博司、
リウ・ウェイ、サンユウ、ザオ・ウーキー、フランシス・ベーコン・・・・

現代アートに詳しくなくても、流れを追っていくと、世界近代史が学べるし、
何より、アーティストの平和への希求の強さが表れていて、感動する。

常設展でも、企画展に合わせたように戦時中の藤田嗣治、岩田専太郎の大作(戦後米国に接収されのちに返還されたもの)からchim↑pomまでを一堂にみることができる。

これをこの夏休みの時期に展示できた、東京国立近代美術館におおいに拍手を送りたい。

ちなみにこれは、東近の眺めのいい部屋から撮ったお堀とビル群です。

アンドロ・エルリッヒ―ありきたりの? 金沢21世紀美術館

2014年08月05日 | 美術
《スイミング・プール》で有名になったレアンドロ・エルリッヒは金沢21世紀美術館になくてはならないアーティストの一人だが、今回の作品で益々その名を知らしめることとなるだろう。
現在、体験型の美術館が人気で、夏休みのためか子どもにも楽しめるこの美術館は、金沢の人気スポットである。
美術館というと硬いイメージを持つ人も、わけがわからないなりに錯覚の迷宮に迷いこみアーティストの術中にはまって、現代アートの虜になっていく。
《階段》では終わらない螺旋階段がずっと奥まで続くとみせて、横の扉から仕掛けがわかり、愕然とする。

《見えない庭》では反対側に写る自分によって漸く鏡だと気づきながも、その構造がわからずモヤモヤ。
《雲》の連作ではどこからどこまで厚みなのかわからずモヤモヤ。
彼の作品は、楽しく悩みながら、芸術じゃなくアートを体感して人々を魅力する一端を担っている。
それが、受け入れられたのは、古都金沢の地であるからこそだろう。
兼六園や金沢城のすぐ側で耀く現代建築の雄が、誇らしげに建っている様は、古の前田候もかくありなんと、思っているに違いない!