「1Q84」に寄せて2

2012年05月31日 | 読書
読了。

わかっていたけど、なんとも言えない幸福な結末に少し戸惑いを感じる。ミステリーではないからハラハラさせる必要はないけれど、牛河の展開も予測できるし二人が1984年に戻れる確信もあった。このボリュームを一気に読ませてしまうのはやはり村上春樹だけど、「ねじまき鳥クロニクル」位の不可解さがあればもっと読者をなやまして翻弄することができたのではないだろうか…

しかしながら、それは筆者の意図することでは無いのだろう。この物語で確信するとしたら、〈世界には必ず救いがあり求める者には与えられる。但しなにがしかの代償は払わなければならない〉ということか…?
2009年に発表されて2011年3/11を経た今だから、やはり希望は必要だし、どんな世界でも新たに産み出されることには何かの意味があると信じたい。

「1Q84」に寄せて

2012年05月28日 | 読書
最初はとても読み進められない、読むのは止めてしまおうと思った。あまりに受け入れられない世界を描いていると…しかしもう一つの月が昇った辺りで、デジャブのように情景が心に入りこんできた。まだ着地点まで到達していないが、どこかで何かみつけなければならないとしたら、それは今なのかなぁと漠然と考える 。母との最期の時間を思い出して私の空気さなぎは何なのか…もう一度探してみたい。

「公募団体ベストセレクション 美術2012」 東京都美術館

2012年05月12日 | 美術
 4月にリニューアルした東京都美術館において、国内の主たる美術公募団体の代表作品を171点も展示した、画期的な展覧会。
 以前もこのような展覧会はあったのだろうが、かなり昔のことらしく今展覧会は、近年珍しいことらしい。

 東京都美術館は、毎秋の院展で訪れるくらいしかなかったし、秋といえば上野は各美術展でごった返し、人でいっぱい、レストランも一昔前の感じ、建物も地下展示ということもあり、なんとなく薄暗いイメージであまり良い印象ではなかった。

 今回の改装では、概観はあまり変わっていないが、入ってみると良かったことは

 1、各展示場が、明るくわかりやすくなったこと、
 2、ギャラリーと称するスペースでは西洋美術館に似た、空間を生かした展示が可能になったこと、
 3、カフェ・レストランがおしゃれになったこと、
 4、ライブラリースペースが広く取ってあり、検索や一休みに便利になったこと、
 5、出入り口が以前より公園に出やすく便利。          などがあげられる。

 どうしても公募展が多いので、区切られたスペースが多く統一感がないことは否めないが。

 肝心の展覧会だが、国内の公募団体の代表作とあって、どれも力強く、その会独自の雰囲気もつかめて面白い。ただ、会によって2011年以降の作品のためか、テーマが「命」「絆」が多く少々辟易したけれど、 知らなかった作家を知ることができた点や現代の日本美術の一端をみられて良かったと思う。
 
 今回心に残った団体・作品は、「国画会」、「創画会」久世直幸《窓》、吉川弘《Betwa River》、「水彩連盟」安達智行《道標(天啓)》など。
  
 それにしても、平日とはいえあまりに人がいないのはさびしい気がする。展示が良いだけにもったいなく、もう少し広報が足りないのではと思う。
 隣の東博の「ボストン美術館展」に比べてはいけないが、もっとアピールしてもよいのではないだろうか? まあゆっくりできて、よいけれど・・・
 


記憶について

2012年05月01日 | Weblog
日常的に物忘れはよくあることだが、私の場合はますますひどくなっている。
何かをとりにいって、それが何かを思い出せなかったり、町で会った人の名前が出てこなかったりが頻繁にあると、さすがに年齢を感じるし、母の病気を思い出して遺伝なのかと心配になる。でもそれも一般的なことと自分を慰めていたのだが…

昨年30年ぶりに会った男性から、昔彼に言った自分の言葉が、彼になにがしかの深い印象を与えていたらしく、「あの言葉は衝撃的だった!」と言われたときは、さすがにへこんだ…。

以前も他の男性だが似たような事を言われたことがあり、その言葉で彼らを傷つけてしまったとしたら(傷つけたわけではなく励ましたらしいが)…言った本人は何も…それこそシチュエーションでさえ記憶にないため…自分が言動にいかに無頓着で無責任なのかが、改めて思い知ることとなった。
かといって、それらの男性とはいい加減に受け答えをしているわけではなく、その時は相手に対し真剣に話を聞き相談にも乗っているのだが、自分が彼らに言った言葉がどのように受け取られたかをきちんと理解していなかったようだ。

記憶はきっと、自分のなかで重要度を瞬時に判断して頭のある場所にしまいこみ、ことあるごとに引き出しを開けるようにできているのだが、そのスピードは年々遅くなり、たまに重要度も関係なく、ランダムな記憶がフラッシュバックのように引き出されて気持ちを混乱させる。

もう少し頭の記憶の引き出しが沢山あり、言動のひとつひとつに心があれば落ち込む〓ことも少なくなると思うのだが…
いやはや生きていると情けないことが積み重なって冷や汗しきり…。