「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」

2017年02月25日 | 読書
佐々涼子氏著のノンフィクションなのだが、なかなか読み進められない。

東日本大震災から、6年になろうとしている。
副題に「再生・日本製紙石巻工場」とあるように、日本の出版を支えている製紙工場が震災で壊滅的被害を受けた。
そこから、工場のため地元のために立ち上がる人々の闘いを描いたノンフィクションなのだが、津波の被害の描写で、どうしようもなく苦しくなり、先を読むことができない。

あの時の恐怖と不安、その後の混乱、同時に自分の立場への嫌悪感が混じりあって、未だにニュース映像も見たくないし、人に対する恐怖が甦る。

あれから身近な人がどれ程亡くなったことか。

色々克服しなければならないと思い、この本を読むことが、変わるきっかけになれば、読まなきゃいけないような気がして手に取ったのだ。それなのに未だ54ページでつまづいている。

もう少し時間がかかるのだろうか…

 映画 「ドクター・ストレンジ」

2017年02月13日 | 映画・DVD・テレビ
 久しぶりに映画館で、ヒーローもののアクション大作です

 マーベルの作品は「アベンジャーズ」も見ていないし、以前テレビで「アイアンマン」
 を見たような記憶もあいまいなくらい予備知識無しなので、理解できるか不安だったが、
 とてもワクワクさせられたし、楽しめた。
 (主役がベネディクト・カンバーバッチだから決めたのだが、正解でした。)
 
 最近のVFXというかCGは、すごすぎる。
 ニューヨークの高層ビルがたたまれるように倒れるところや、
 鏡の中に入って異次元の世界に移動するところ(どこでもドアーかな?)なんて
 その映像に引き込まれるリアル感。

 主役の、天才的外科医であるドクター・ストレンジは尊大傲慢だったが、自動車事故で手が
 使えなくなり、治療法を探してネパールまで行き、そこで出会った魔術師の修行で
 強い力を持つようになる。それを見込まれ、地球のために心ならずもヒーローとなって悪と
 戦うのだが、人の命を助ける医師となったのに人の命を奪うことになることに葛藤する。

 脚本にはいろいろ甘いところもあるとの指摘も多いけれど、
 ベネディクト・カンバーバッチの演技力でそんなものは吹き飛ぶほどに面白いヒーロー像が作られている。
 
 次回作もすでに決まっているみたいなので、また楽しみが増えたし、カンバーバッチの
 ほかの作品も見てみたい。 

宮部みゆき 「桜ほうさら」

2017年02月12日 | 読書

 タイトルのやさしさに魅かれて手に取った。しかし、そこは宮部みゆき作。

 地方の小さな藩の武士の次男坊、古橋笙之介が、江戸に出てきて人々に助けられながら、
 自分の父の無実を証明しようと奔走するのだが、
 優しい性格の笙之介や父とは違いきつい性格の母や兄との葛藤や、藩の陰謀を絡ませ、
 人情溢れる長屋の人々と、次々と起こる事件を解決しながら笙之介が成長するさまを描いている。

 宮部みゆきを読むとおもうのは、作者の描く家族の形はいつもどこか歪んでいて、
 決してハッピーエンドには終わらない。
  
 4つのエピソードの中でも、大店の一人娘がかどわかされた真相は家族の一端を表し、
 悲しい結末を迎えるし、笙之介自身の家族もしかりで、幸せな家族という理想をことごとく
 破壊していく。家族に理想を求めないという本質はいつも底辺にあるのではないだろうか。

 だからこそ、どの小説を読んでも、出会った人々の少しのやさしさやいたわりにほっとするし、
 それがあるから乗り越えられると思わせてくれる。

 人の帰るべき場所は、家族という理想ではなく人のやさしさにありということかなぁ・・

 NHKでドラマ化されていたらしいので、それも見てみたい。