「それまでの明日」 原 寮

2020年09月04日 | 読書
これは、以前に下書きしてとちゅうだったものです。

読みはじめて暫く放置していた。3ヶ月もたつと読むのに惜しいような気がして益々読めなくなったのだが、この暑さで出かける気力もなく涼しい冷房の部屋で再開する。

いつもの新宿の光景から、紳士的な依頼者の描写から「長いお別れ」を彷彿させる。また懐かしい強面や刑事の面々とのやりとりもしかり。作家のチャンドラーへの心酔がよくわかる文体。
沢崎のプロとしての矜持やこだわりににやにやしながら、複雑に絡まった物事が少しずつほどけていく感覚の楽しさ、探偵ものの醍醐味がつまった作品だ。

ただ最後の数ページで、あまりに唐突で、残酷な終わり方には、、どうだろうか。

先日、ドラマ「朝顔」の第一話も途中で見られなくなって、自分でも困惑している状況なのに、この小説の最後にこれはあまりに辛すぎる。

ハードボイルドならそこに違った終わり方があるのではないか?