不安なこと

2012年09月29日 | 日記
 2007年6月22日の「まじめな気持ち」で書いた気持ちがまた頭をもたげてきた。
 あの人が表舞台に登場し、日中・日韓問題と同様にきなくさい状況になりつつあるのを憂う。
 
 それでなくても震災、原発の問題で今の状況は対処しなければならない多くの事を抱えている。
 個人的な生活にもいやおう無く政治は入り込んで、しっかりと見ていなければ今の日本はどこに向かうかわからない。

 子供の将来を考えるとき、平和が永遠に続くように願うのは親として当然のことだが、それを美辞麗句で表現する人はあまり信用ならない。

 どうか一人ひとりの目が、冷静でリベラルなものの見方をして欲しいと切実に願うこの頃である。

 CD 「PLAY FAVORITE BY TRIPLE PIANO」

2012年09月29日 | 音楽
 久しぶりに聴いてみた。

 前田憲男、佐藤允彦、羽田健太郎、三人の楽しそうなピアノのタッチを聞くたびに
サントリーホールで聴いたあの感動を思い出す。
 
 日本を代表するビッグバンド、ウィンドブレイカーズを率いて演奏する前田憲男の
迫力あるサウンドとアレンジに、繊細で緻密な表現者の佐藤允彦のピアノ、今は亡き
おおらかな羽田健太郎の体中から溢れる優しさとおおらかなタッチの響きがあいまって
ジャズのスタンダードも華麗によみがえり、チャイコフスキーもより鮮やかに場面が浮かび、
心地よいピアノの世界を堪能できる。

 本当にこの三人で奏でる機会は無いけれど、あのすばらしい瞬間に立ち会えたことを
感謝したい。

 昔は六本木や渋谷、新宿のライブハウスによく通ったものだった。いい曲があればすぐに
その生の演奏を体で聴けるよい環境がそろっていた。今も可能だろうけど、
なかなか夜に出かけることはなくなって、さびしい限り・・。
 親戚がジャズバンドを組んで横浜や渋谷でライブしていても、でかけられないのは残念。

 おもいっっきり音楽にひたりたいなぁと思う秋です。


ドラマ「魔王」 DVD 

2012年09月23日 | 映画・DVD・テレビ
 再放送を途中から見始めたら面白くて、初回からDVDでレンタルしようと思ったら、
貸し出し中ばかりの人気。

 ようやく1・2回を借りてみた。大野智演じる成瀬領弁護士の復讐劇。
 元韓国ドラマなので、展開は早いし、人物造形もパターン化してるが、
そこがストーリーとプロットが緻密で、あれよあれよと引き込まされて、ついつい
成瀬に肩入れしてみてしまう。
 しおりのサイコメトラーにたよりすぎだとか、刑事の単独行動が多いところなど、
突っ込みどころも多いけど、自分の手を汚さずに次々と人を殺していく犯人と、過去の
自分に追い詰められてもがく刑事の心の葛藤等、主役二人の熱演が光る。

 大野君が、嵐の中でも最近目立っているのも、彼の才能(歌唱力、ダンス、演技、語り、
アーティスト等)と普段の努力のたまものかと思う。その片鱗を見せ始めたのが、この
ドラマくらいからかと・・。
 まだまだこれから、多方面での活躍を見たいエンターティナーのひとりである。
 


「院展」   東京都美術館

2012年09月19日 | 美術
 都美術館が改装以来はじめての院展に行ってきた。

 都美術館に向かう中高年が多いなぁと思っていたら、着いた途端に又長蛇の列が。同じ会場で開催中の「マウリッツハイス美術館展」のフェルメールめあての行列だった。
 確かにめったに見られないのはわかるが、あんな人混みの中で何がどう見えるのか?、フェルメールなら隣の西洋美術館の「ベルリン国立美術館展」にも集まりそうなのにそちらはさほどではないのはなぜ?、「真珠の首飾りの少女」だけ?・・・ハテナマークが頭に渦巻く。
 院展会場へ入れば、フェルメールから流れてきたらしきおばさま達の「虎かわいい~私こんなのが好きよ~」と嬌声が響き、げんなり・・。

 気を取り直して、時間をおいてゆっくり見ることにする。

 今年も同人の作品はひときわ力強く、描きたいものを真正面からとらえ、繊細かつ大胆に描いていてその技法と筆力に圧倒される。
 宮廻正明「放下便是」の花の色が周囲の空気さえも染めてしまうような桜しかり、清水達三「波嵐」の海の緑、清水由朗「煙波」の細やかな泡、そしていつもと違う色合いで高貴な人の穏やかな死を描いた宮北千織「悠久の眠り」。

 今回は川瀬伊人の作品を見られず残念だったが、中堅では、狩俣公介「螺生」、武部雅子「無双の花」、思わず‘うまいっ‘といってしまった松村公太「島人」などが良かった。特に、平林貴宏「表象と消費」はこの作家特有の筆使いで、幼さと妖艶さを併せ持つ女性の妖しさを見事に描いていて印象深かった。
  
 また新たに、古谷照美「静々と」、岸本浩希「夜想曲」、村上里沙「心奥」(初入選)、金川妙美「たたずむ」、新谷有紀「誘い」(初入選)などすばらしい作家を見つけることができて、楽しみが広がった。

 院展は、その伝統のなかから日本画の新たな可能性を次々と生み出し、溢れる才能をすくいあげていく貴重な機会となっていると思う。

 現代アートが注目を浴びるように、院展のみならず日本画のすばらしさがもっと取り上げられるようになればと思う。
 

伊坂幸太郎「重力ピエロ」

2012年09月11日 | 読書
ある種の文体が人を魅了するとしたら、私の場合は、決まって一人称で語られ、簡潔な段落と、情景描写の美しさがポイントになる。
伊坂幸太郎、村上春樹、沢木耕太郎に共通するのはこの点か…また海外のミステリーの翻訳にも同じような表現が多くある。

「春が二階から落ちてきた。」と始まり終わるこの小説が私を魅了するのは、文体のみならず、全てのみこんで死んでいった父の描き方にあると感じる。映画では小日向文世が演じていたので分かる人には「木更津キャッツアイ」のあのイメージに近いかと思うが…。
兄の泉水が最後まで語る事件もなにか霞の向こうの出来事のようで暴力的な現実も全てお伽噺のようだ
「オーデュポンの祈り」はあり得ない話が現実的に語られていたがこちらは逆になっていて面白い。

最近の作品は手に取っても何か読む気がしないのは、なぜだろう?

黒沢が出てくる作品も、他の登場人物がリンクするのも楽しいけれど、一人称で語られる全く違う世界観に基づいた奇妙な小説が伊坂幸太郎の持ち味ではないだろうか?

宮部みゆき ドラマ「長い長い殺人」・「理由」

2012年09月05日 | 映画・DVD・テレビ
 最近テレビではよいサスペンスがないなぁと感じていたので、DVDを探して
ガツンとやられた。
 
 宮部みゆきの作品は、犯人も被害者もすべての人の感情や状況の深淵を描いているので、
読後に滓のように暗い感情がのこるのだが、ドラマでもそれを細かく描写していて、
見た後はズーンと重くなってしまい参った

 特に「長い長い殺人」の大森南朋演じる教師が、犯人を小さい頃から友人と信じていた
のに、その嘘で騙されていたとわかるシーンや、かばっていた教え子に裏切られる様子
は、人間のエゴをそのまま映していて悲しいというより、哀れだった。

 「理由」は原作を読んでいないが、競売ブームの時代にはよくあった占有屋などの
からんだ危ないありそうな話で、人間の孤独と欲が結果的に殺人にまで行ってしまう様子が
描かれている。

 「理由」では監督が大林宣彦だから、少しセンチメンタルになりすぎたきらいがあるし
場面が冗長になり間延びしてしまったようだが、どちらの作品も実力派の俳優をそろえて
見ごたえがあった。
 
 テレビではあまり予算をかけられなくなった時代に、良質のサスペンスを制作する
WOWWOWにはこれからも期待したい。