『猫と針』は小説ではなく、戯曲で、メーキング・オブ的なエピソードも収録されています。話のプロットも何もない時点でタイトルだけ決まり、チラシやチケット見本まで出来上がってきてしまうプレッシャーが描かれてましたが、本当にそのプレッシャーかなり怖いですね。
戯曲の内容は、商品説明を引用しておきましょう。
高校時代の友人が亡くなり、映画研究会の同窓生男女5人が葬式帰りに集まった。小宴がはじまり、四方山話に花が咲くが、どこかぎこちない面々。誰かが席を外すと、残りの仲間は、憶測をめぐらし不在の人物について語り合う。やがて話題は、高校時代の不可解な事件へと及んだ……。15年前の事件の真相とは? そしてこの宴の本当の目的は? 著者が初めて挑んだ密室心理サスペンス劇。
ストーリー展開はいかにも「恩田ミステリー」という感じですが、ほぼセリフのみで構成されているのでやはり小説とは違います。劇の評価は「小説を書く人の劇」なんだそうです。著者もよく分からないと書いてましたが、私もお芝居自体見ないので、その辺はよく分かりません。
お話自体はなかなか面白いと思います。「印象に残る作品か」と聞かれれば、それはちょっと怪しいような気がします。