2010.9 わが家の庭で
2011年9月11日(日曜日) 福島県内地方紙
東日本大震災半年特集からの抜粋(原文のまま)です。
・・・ あ然とします。
・・・ 嘆かわしいかぎりです。
この方が 県放射線健康リスク管理アドバイザーですぞ!
心ある皆々様 よくよく ジックリお読みくださることをお願いします。
放射線 正しく理解を
福島医大副学長 山下俊一氏に聞く
山下俊一氏
長崎市出身。長崎大医学部卒。WHOジュネーブ本部放射線プログラム専門科学官、日本甲状腺学界理事長などを歴任。3月から県放射線健康リスク管理アドバイザー、7月から福島医大副学長に就任。
シーベルトやベクレル、内部被ばく、安全基準・・・。東京電力第一原発事故後、放射性物質や放射線に関し、専門の単位や用語が用いられている。福島医大副学長で県放射線健康リスク管理アドバイザーの山下俊一氏(59)に現在の県内の放射線量に対する考えや放射線量の安全基準値などについて聞いた。
― 東京電力福島第一原発事故から半年がたちますが、放射線に対する不安は高まっています。
「現状で放射線のリスクを正しく知ることが大事になってきています。原発事故によって『放射線は怖い』というイメージがついてしまった人もおり、『高くなった線量をゼロにしてほしい』という思いも仕方がないことでしょう。ただ、年間100ミリシーベルト以下であれば、これまでの研究で健康への影響は確認できず、年間1~20ミリシーベルトはさらに安全なのです。下限は1ミリシーベルトにしていますが、値を超えたところで大きな問題があるわけではありません。
世界には、イランやインドなど自然界で日本より高い放射線量の場所がありますが、健康上、問題はありません。防護基準など科学的根拠に基づいて、放射線をよく理解して下さい」
― 県北・県中地区など放射線量が高くなったことで、県外に転出する人が増えています。現在の線量の中、県内で暮らし続ける人の健康に影響はありますか。
「放射線防護の基準上、両地区の現在の線量では健康への影響はまずないと考えられます。安全の確保のため、福島医大が中心になって中長期的な健康管理となる県民健康管理調査を行い、残る人たちの健康を責任を持って守るとともに県民全ての健診受診率の向上を目指し、予防医療の体制をとります」
― 県民が日常生活を送る上で気を付けなくてはいけないことは何でしょうか。
「現状では長袖やマスクなどは必要なく、洗濯物を外に干すなど事故以前の普段通りに過ごしてもいいと思います。ただ、生活空間の中で局地的に放射線量が高い場所があります。数マイクロシーベルト程度であれば大丈夫ですが、人が多く利用したり、長時間過ごしたりすることも考えて、各自治体が国の支援の元で、除染に取り組み、線量を低減しなくてはいけない」
学校の屋外活動制限の基準値について、文部科学省は毎時1.0マイクロシーベルトの新たな値を設けました。
「これまでの毎時3.8マイクロシーベルト基準は屋外に長時間いた場合に積算線量が高くなると想定していますが、子どもが高い場所にずっといるわけではありません。毎時3.8マイクロシーベルトでさえ、健康に影響を与える値ではなかったので、毎時1.0マイクロシーベルトはさらに安全といえると思います。ただ、安心のために細かいモニタリングや施設の除染活動は必要になると思います。
―食品に含まれる放射性物質で、食品衛生法上の暫定基準値がありますが、基準値を下回れば問題ないのでしょうか。
「暫定基準値は水、牛乳、穀物、野菜、肉・魚の五種類ごとに、それぞれ一年間食べ続けた場合に年間の内部被ばく量が各1ミリシーベルトに達するとして算定されています。1ミリシーベルトはまず健康に影響のある値ではありませんし、1キロの量を毎日食べ続けた場合の被ばく量として安全を考慮した基準になっているので、仮に暫定基準値近い値であっても健康への問題はまずないでしょう」
―放射線医学総合研究所(放医研)などで内部被ばく量を調べた県民は生涯の積算被ばく量が「1ミリシーベルト未満」で、生涯余分に受ける被ばく量はどれくらいまでなら安心でしょうか
「生涯追加累積被ばく量は100ミリシーベルト以下ならまず健康への影響はないと考えられますが、明確な基準は今後、国などが政策的に決定するべきでしょう。11、12の両日に福島医大で開かれる国際専門家会議で世界トップレベルの研究者たちと基準などを話し合いたいと思います」
―福島第一原発周辺の緊急時避難準備区域の解除が今後、行われる予定ですが、住民はただちに帰還しても安全ですか。
「福島第一原発に近いことで不安になるかもしれませんが、現在の放射線量を見る限り、健康への心配はないでしょう。安全だということを常に証明するために細かいモニタリングをしたり、県民の健康を調べたりする行政による『見守り』の態勢が必要になります」