遠足
孫悟空が お釈迦さまと初めて出会ったときのことを
知っている人は多いと思います。
有名な中国の小説『西遊記』の中の話である。七十般変化の術と觔斗雲(きんとうん)の法とを習得して 天空を騒がせていた孫悟空がお釈迦さまと出会い
「 わしは 七里を一瞬にして飛ぶことができる 」
と自慢気に言ってのけた。
「 では 世界の果てまで行って帰ってくることができるか 」
とお釈迦さまが言うやいなや たちどころに孫悟空は觔斗雲に乗って はるかかなたに飛びたった。世界の果てに 五本の柱がある。五本の柱にたどりついた孫悟空は鼻高々に 「孫悟空 ここに至る 」 と書きしたためる。
そして 帰ってきて 世界の果てまで行ったと報告する。
しかし 悟空が駆けめぐっていたのは お釈迦さまの手のひらの上にすぎない。そして 五本の柱とは お釈迦さまの指にすぎなかった というのである。
お釈迦さまの手のひら ・・・ これが人生そのものです。
大言壮語して 世界の果てまで行っても
・・・ たかだか 手のひらの上のマラソン じゃないですか。
・・・ どこに行っても おなじです。
「 千里同風 」 ・・・
文字どおり ・・・ 千里四方どこに行っても 同じ風が吹いている
・・・ ということです。