一見、駐車場。でも、車はどれもこれも壊れている。
空港に近づくにつれ、歩道のアスファルトに砂地が被っている。
「あ、これ海の砂。」まとわりついて歩きにくい。
レストランと思しき建物の1階のガラスは全面が壊れている。ここまで津波で瓦礫が流されて壊していったのだろう。鉄筋コンクリートの建物だから流されないで済んだのかも。
空港の手前の道路から海側への地域に入ると自衛隊のカーキー色の大型ジープをよく目にするようになった。迷彩服を着た自衛隊の若者2人にすれ違いざま「こんにちは。」と挨拶され、同じく挨拶を返す。アルバム集積場という看板が目に入る。瓦礫の撤去の際に出てきた写真類が保管してある場所だが、立ち寄らずひたすら海岸へと向かう。橋を越すと、どんどん破壊の程度が上がっていく。
「How many airbornes are needed to bomb like this?」あまりに戦場じみた様子に思わず出た疑問。すぐに返事が来た。
「Within 15minutes for 400km-Tens of thousand!」
土台しか残っていない海岸沿いの食堂、招き猫や狸の置物が砂に埋まっている。
そしてコンクリートが剥がれ落ち足場の悪い堤防を越す。元はコンクリートの白い堤防が延々と続いていたはずなのだが、土塀になっている。
砂浜にはどこから来たのか打ち上げられた漁船。
どんどん言葉は少なくなっていった。
海岸沿いの壊滅ゾーンから空港への道へ戻る際、チュニ君が「祈りましょう。」と呼びかけてきた。暫し黙祷。長い黙祷から目を開けて隣のチュニ君に目をやると、いまだに深く目を閉じ祈りの中にいる。ああ、祈り慣れているんだ。
来れなかった友人にメールで写真を送ってみた。すると瓦礫の撤去がかなり進んでいる様子ですね。家から5kの港の近くの地域はまだ撤去がされておらず先週こんな感じでしたという返信がやって来た。