MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

「いかに生きるべきか」のメッセージ ~ 平城京遷都祭「祈りの回廊 発展フォーラム」で映像作品を上映

2010-12-31 21:29:22 | Weblog
「いかに生きるべきか」のメッセージ ~「祈りの回廊 発展フォーラム」で映像作品を上映

 2010年は、私にとって、書籍発刊や映像作品発表、個展開催などで、平城京記念のプロジェクトに捧げた1年でした。

 全国的な盛り上がりを見せた奈良県・平城京遷都祭主催の最終イベント「祈りの回廊 発展フォーラム」(12/23) では、大仏さまと春日大社舞楽を紹介する二本の映像作品を上映させていただきました。ともにアートを通して平和を伝えるドキュメンタリー&クロスメディア作品として、私自身がプロデュース・撮影・執筆した初監督作品(EOS静止画・動画によるショートムービー、企画制作:メディアアートリーグ)です。

 二つの作品には、この7年間、奈良の伝統と向き合う中で、育ませていただいた神仏への感謝、歴史の重み、平和への願いのすべての「思いの丈」を込めました。監修のご支援をいただいた東大寺や春日大社の先生方、南都楽所の笠置侃一先生からのご指導には、本当に感謝の気持ちで一杯です。

 さて、平城京遷都1300年を記念する、11月からの一連の作品展ならびに作品上映(個展「光の道:祈りと芸能のシルクロード」は、かつて東ベルリンで体験したベルリンの壁崩壊から21年、NYで目撃した「9.11」同時多発テロ事件から数えますと、10年来のひとつの目標を遂げた「折り返し地点」のように思えました。

 これからどこまで辿り着く事ができるのか、私が少なくとも、奈良での取材活動を通して、仏教や神道の教えと神仏習合の伝統を知って、自信を持って伝えることができることがあるとすれば、人として目指すべき、「光の道」があるのでないか、ということです。

 私自身、自分の生きる意味を求めて、ドイツやアメリカで永住権を取得しましたが、いまは誰もがもつ「心、本来の輝き」とともに、「苦」をも私自身の「人格の一部」として認め、それを大きな感謝に変えることができることを、奈良で学びました。

 この経緯は、拙書「心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い」(フォトエッセイ、武田ランダムハウスジャパン)にも詳しく書かせていただきました。同書では、私自身の「魂の旅」の経緯を綴らせていただいただけでなく、奈良を代表する森本公誠東大寺長老、西山明彦唐招提寺執事長、辻村泰善元興寺住職、岡本彰夫春日大社権宮司の先生方から、「奈良の1400年の叡智」として、仏教や神道の教えを通して、「いかに生きるべきか」のメッセージを頂戴いたしました。奈良に関心を持つ方々だけでなく、多くの方々に「いかに生きるべきか」についてのひとつの指針として、ぜひ読んでいただきたいと思います。

 もとより「いかに生きるべきか」は、人として本来、何が大切かを見失いがちな現代社会では、答えのない問いかけかもしれません。私自身の体験から申し上げることをお許しいただければ、仏教や神道は、そうした問いかけへの答えとなりうるのではないでしょうか。仏教は「すべてが繋がっている」ことを諭してくれます。一人一人が煩悩の垢を削ぎ落として、心を磨くことで、誰もが仏陀(悟れる者)になりうる道を示してくれます。また神道は、自然に遍満する神々の息吹によって、すべてが活かされていることの感謝を教えてくれます。

 新年では、これら奈良発の日本の精神文化の作品を、日本語だけでなく、さらに広く海外へと英語で発信する予定です。奈良に遺された叡智を世界の多くの方々と共有し、宗教や文化の違いを超え、平和のための相互理解に役立てていきたいのです。そのために私自身、この7年間、NYから日本に一旦拠点を移し、奈良を中心に取材活動を展開してきました。

 世界に平和が訪れることがあるとしたら、それは仏陀の教えのように、人が光となる道である「光の道」を目指して行くことを措いて他はないのではないでしょうか。このことは「光の子となるために、光のあるうちに、光を信じなさい」と説き、自ら「いかに死にゆくか」を示すことで、「いかに生きるべきか」を示したイエスを範とする、キリスト教でも同じことなのではないでしょうか。
 
 Peace is in the way for light ..... 2010年大晦日に、平和への祈りを込めて

伊藤みろ

写真:東大寺二月堂からの夕陽
Photo and Text by Miro Ito, All Rights Reserved.

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[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン 刊行日: 2010年2月24日
定価: 2,000円(本体1,905円)判型: A5上製 ページ数: 144ページ
ISBN: 978-4-270-00564-4
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[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進。作品はすべて寺社をはじめ、世界の図書館や美術館、大学や財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。
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