MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

シドニーからの手紙 ( S.T.氏より) ~過去現在未来と響き合う~

2011-01-23 12:14:38 | Weblog
シドニーからの手紙 ( S.T.氏より) ~過去現在未来と響き合う~


2011年のキーワード「響き合う」という新春のメッセージお送りしたところ、シドニーからお便りをいただきました。とても素敵なメッセージですので、ご紹介させてくださいませ。


「(東大寺の鏡池は)何十回となく見ているのに、こんな姿に気がついたことがありませんでした。
やはり立ち止まってじっくり目を凝らし耳を澄ますことが大切ですね。

さて、「響き合う」、良いですね。
耳だけじゃなくて胸やお腹で感じるバイブレーションの素晴らしさが奈良の最も良いところの一つかもしれませんね。
それに、音は時間ですから、過去現在未来をつなぐのに響きの比喩はとてもしっくりきます。

西洋では「建築は凍れる音楽」とか言うそうで、フェノロサが薬師寺東塔を指してそう言ったという話があります。

以前から納得できない話だと思っていましたが、その理由がよく分かりました。
東塔は凍ってなどいない。千三百年の豊穣が今も響きわたっています。こちらの心持ち次第では未来に向けて共鳴することもできます。
そういうことを伝えるのに、響きの比喩は良いですね。

また、人間の情報処理能力を越える大量の情報が眼から入ってきて、私たちを惑わせています。

心を落ち着かせてじっくりとものを考えるには、自分の気持でも、他人の意見でも、自然の音でも、未来の可能性でも、耳を澄まして聞こえてくるものにもう少し集中したほうが良いかもしれませんね。

そういう意味でも写真家が響きをテーマにする、というのは、とても大切なことですね (S.T.)」

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私は、S.T.さんと同様、胸やお腹で感じる素晴らしいバイブレーションのようなものをいつも奈良で感じています。それを写真に託すことができたらと思い、アメリカから一旦日本に取材のために戻り、2005年から奈良を撮り続けてまいりました。

奈良では、1300年の豊穣は今も響き合っています。

1301年目の奈良に足を運んで、ぜひ体験してみてください。

心の眼と耳を澄まして、聞こえてくるものに、身をゆだねてみてください。
きっと過去現在未来へと響き合い始めている自分を感じていただけることと思います。

2011年1月23日

伊藤みろ

写真:元興寺から眺めた空

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[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン 刊行日: 2010年2月24日
定価: 2,000円(本体1,905円)判型: A5上製 ページ数: 144ページ
ISBN: 978-4-270-00564-4
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[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進。作品は寺社をはじめ、世界の図書館や大学、財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。
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