MIRO ITO発メディア=アート+メッセージ "The Medium is the message"

写真・映像作家、著述家、本物の日本遺産イニシアティブ+メディアアートリーグ代表。日本の1400年の精神文化を世界発信

いかに生きるべきかのメッセージ 2「未来と響き合う」~ 奈良1300年の伝統から未来へ

2011-01-10 12:53:47 | Weblog
 いかに生きるべきかのメッセージ 2 「未来と響き合う」~ 奈良1300年の伝統から未来へ 

 2011年のキーワードを私なりに考えてみました。
 それは「未来と響き合う」ということです。

 見えるものと見えないものとの間で、過去の心と響き合うことで、私たちが「どこから来たのか」、私たちの姿そのものも見えてきます。「系図」への回帰とでも呼んだらよいのでしょうか、日本での取材活動を通して、そんな貴重な体験を作品として、育てることができました。

 実際、奈良に遺されたアジアの太古の伝統から、世界の人々と響き合う作品を創るために、この7年間、取材を深めれば深めるほど、1300年という歳月を経て、受け継がれてきたものが持つエネルギーの強さに圧倒されるのを感じます。時空の壁を突き破って届けられた「タイムカプセル」のように、太古の時代の神々や人々の心をしっかりと凝縮させているからです。

 大仏さまは、見えない仏の心と人のこころが響き合う、「つながり」を光の道として、語りかけてくださいます。
 そしアジアの王朝芸能として、1500年以上の歴史を持ち、日本にだけ遺された貴重な舞楽。
舞楽では、仮面や舞、音楽を通して、見えないものとかたちあるものが響き合い、呼応し合う「和楽」(笠置侃一先生のお言葉)がその原点にあります。

 この二つをテーマに、人類が共有しうる平和へのメッセージとして、二本のショートムービー&クロスメディア作品(「大仏さまは生きている」「仮面のいのち 春日大社の舞楽 若宮おん祭の舞楽」)を制作・監督し、昨秋の個展「光の道:祈りと芸能のシルクロード」に引き続き、昨年末、奈良県・平城京1300年遷都祭主催の「祈りの回廊 発展フォーラム」で上映発表いたしました。作品は寺社に寄贈させていただいたことをはじめ、これから世界の多くの方々と共有していきたいと願っています。

 奈良を訪れると、1400年の古(いにしえ)の心から見つめられると同時に、そのメッセージを、さらに未来へと思いを伝える勇気をいただきます。無常な生の有限な時間のなかだからこそ、精神の光という、変わらないものを見つめることの大切さを知り、見えないもの、本物のもつ力を感じます。

 私にとって、そのことに出合えるのが、大仏さまであり、神の「まほろば」である奈良の祈りと芸能の伝統なのです。
 
 本年も、シルクロードの終着の地である奈良、日本の1400年の精神文化の伝統から、世界に向けて平和を発信したいと存じます。

2011年1月吉日

伊藤みろ

写真:東大寺鏡池
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[ フォトエッセイ]
書名: 心のすみか奈良 いのちの根源なるものとの出合い
古寺・古社・古儀に学ぶ「いかに生きるべきか」のメッセージ
著者: 伊藤みろ(写真・文)
企画・編集: メディアアートリーグ
出版社: 武田ランダムハウスジャパン   刊行日: 2010年2月24日
定価: 2,000円(本体1,905円)判型: A5上製 ページ数: 144ページ
ISBN: 978-4-270-00564-4
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[メディアアートリーグについて]
アートを通して世界へ平和を発信する目的のもと、日本に遺され守られている「人類遺産」としての世界的な文化を、海外に紹介する活動。伊藤みろが写真家・アーティスト・プロデューサーとして推進。作品はすべて寺社をはじめ、世界の図書館や美術館、大学や財団などに寄贈。文化を写真や映像作品、書籍として伝承し、世界で共有する活動。
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