走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

職能団体の重要性

2020年01月02日 | 仕事

日本の看護界の課題シリーズ最終回

正看護師も含むOO看護師の明確な区別化とスタンダードとスコープの作成
学士課程の見直し : 3+1 の教育課程から真の4年課程への移行
3年制と4年制看護教育課程の区別化
学士、修士、博士教育課程の教育機関以外の団体によるクレデンシャル化
看護の団体の3本化(教育機関、免許管理団体、職能団体)と役割分担と協働

最終回は
看護の団体の3本化(教育機関、免許管理団体、職能団体)と役割分担と協働
のついて

これに関して書いた過去の記事は
リーダーたちの尽力
団結すると
問題の画像度をあげる
看護の団体
憧れの大先輩

日本の方はこの団体の意味もごっちゃになっていると思う。

教育機関は教育に対して責務があり、免許管理団体は国民を看護師から守る(看護師の質が悪ければ国民は看護師から害を被ります)団体。看護について政治やメディア、国民に対して看護師とはなんぞや?と宣伝してくれたり、看護師を代表して看護師の意見を持っていくのは教育機関でも免許の管理団体でも無いのです。前者の2つが後者の業務を行うと本来の使命と利害関係が発生するからです。

今までのシリーズで言い続けた事のおさらいにもなるので、ここで整理してみます。
教育機関はクレデンシャルで最低水準以上の教育を提供する団体。
免許管理団体は、資格試験と免許更新を通して最低水準以上の働きを国民に対して太鼓判を押す団体。その為のレギュレーションで、看護師に期待されること、施行して良いこととそうで無いことをスタンダード化しモニターする団体。

第1回目の日本APNシンポジウムで話しましたが、BC州が短期間でNPの導入を成功させた理由はこの3本柱が機能していたからです。

例えば、NP制度ができた時、NPはMRIの指示が出せませんでした。厚労省や放射線医師会、免許発行団体はなぜ許さないかの理由がもちろんありました。しかしNPが導入され、実践が始まるとMRIの指示が出せない為に患者ケアに支障が出る事が分かってきました。その意見をまとめてシステムを作った側に交渉したのが職能団体です。そして今はNPもMRIの指示が出せるようになり、免許管理団体はスタンダードを書き換えました。

以前、准看護師、看護師、精神科看護師、ナースプラクティショナーで団体は分かれていましたが、政府の職能団体のレギュレーションが変わり、昨年統合され看護師全ての職能団体となりました。ウエブサイトはこちらです。このような団体はアメリカも同様にあります。
その職能団体が学会などを行います。
もちろん日本にはすでに日本専門看護師協議会や日本NP教育大学協議会がありますが、両者とも学術大会を企画実施する活動が主となっているようです。日本看護連盟は政治色がとても強く出ています。私が言っているのは教育機関から独立し、政治団体からも独立した職能団体を言っているのです。

看護師は患者のアドボカシーとなる事が多いですよね。患者は医療システムの中で声をなくし気味になります。いわゆる医療弱者とでも呼びましょうか?だからその代弁者となるのが看護師。日本の看護師は医師と同じ土俵に立っているとは言えません。未だに医師を頂点とするピラミッド型の医療が行われている日本。看護師は底辺にいると言っても良いでしょう。そんな日本の医療システムの中で弱者である看護師のアドボカシーは誰がしているのですか?

それが職能団体なんですよ。臨床で得た情報を高いレベルに持っていく事が出来るのが職能団体なんです。それが出来るのは貴方の母校でも免許を管理する団体ではないんです。学会は職能団体の一部の事業でしかありませんから。

3つの団体がオーバーラップがないように機能をそれぞれ果たすと、協働作業が行いやすくなります。既にある団体は何が目的で存在しているのかご再考をお願いしたいと思います。もしそのまま続けるのなら、日本には新しく職能団体を作る事が看護の質や地位を向上させる重要な鍵になると思います。シリーズ終わり。

元旦は雨予報が晴れに変わり気持ち良い日でした。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。