走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

灯台下暗し 仲間の理解も得られない

2017年04月13日 | 仕事
先週あった会議に地元の病院のディレクターが参加していました。私はかねてから聞きたかった事をストレートに聞きました。

救急室へオーバードース(OD)で運ばれた人に渡す拮抗剤キットの配布率はどれぐらいですか?

で、答えは、、、、

配布率は恥ずかしいぐらい低いのよ、と。理由はスタッフの多くが渡したくないと断るからだ。ハームリダクションの理念が理解できないから配布に反対というわけだ。

えええええーこれには驚き!以前にも書いたがハームリダクションに反対する人は多い。依存に加担している、依存を勧めていると勘違いするからだ。最悪の中で最悪を防ぐだけなんだけど、、、。灯台下暗しとはこの事。上層部はこれを真摯に受け止め、ハームリダクションの教育から始めるそうだ。

そういえば最近の救急隊の宣伝がひねくれている。

息子が息をしていない!と母親が電話する。交換台がただいま忙しいので電話に出れません。こちらからかけ直します。今の待ち時間はおよそ50分。と録音の声が流れます。

母親が息子は息をしていないのよーと叫ぶ。

そして人口急増とODクライシス(緊急事態)で救急隊は大変忙しくなっています。ご理解とサポートを!とくる。

んん〜これではODが一般の人のケアを遅らせている犯人のような(実際そうなんですが)印象を与える。

2008年に起こった事件を思い出す。救急室の待合室で車椅子に乗った先住民の方が亡くなった。彼は救急室に来てから34時間 (セキュリティーカメラにずっと写っている)。医療者に診てもらう事なく発見された。救急室で顔の知れた彼(頻回に受診するので)。この時の来院の理由は膀胱炎だった。2度車椅子の上で嘔吐したのにも関わらず、診られることもなかった。ガードマンは先住民は酔っ払いが多いから、そのせいだろうと思ったと裁判で証言した。先住民の代表者は彼が白人だったらこの事件は起こらなかった。ホームレスや薬物依存者と決めつけられ、誰も気に留めなかった。人種差別によるものだと主張する。

もちろんチェックインのシステム改善がこの後に起こっているが、なんとも悲しい話だ。

薬物が危険とわかって使用している人を助ける?自業自得よ!そう言うスタッフの態度が目に浮かぶ。教育を受けた医療者がこうだ。一般の人のほとんどが同じように思っているだろう。

交通事故による死亡者が増えシートベルトが義務化になったように、死因の上位順位を入れ替えさすほどの勢いのODによる死亡。個人の責任ですでは済ませる事ができない公衆衛生医療の面もあるんですけど!

難しい、、、、



お隣さんとのフェンスの入れ替え。古いのが取り壊されるとお庭が二倍になったよう。

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