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走るナースプラクティショナー ~診断も治療もできる資格を持ち診療所の他に診療移動車に乗って街を走り診療しています~

カナダ、BC州でメンタルヘルス、薬物依存、ホームレス、貧困層の方々を診療しています。登場人物は全て仮名です。

もっと沢山 その3

2015年05月02日 | 仕事
ジルの入院を確認したのは翌日の朝一番。ほっとしたのもつかの間同じ日の夕方ジルから電話が入る。退院したから、明日予約を入れておいたわと。24時間以下の入院、、、、。

ま、電話の声はいつものジルだから大丈夫かと思った。

しかし翌日のジルは入院前と同じようにベンゾをもっと沢山出してくれと懇願する。双極性障害のハイになっているから神経が高ぶっていて眠れない。この時期は長く続くのよと言うジル。双極性障害の薬は全てマックス、、、、。退院時のサマリーも無ければ処方もなし、指導もなし。あああ、どうしよう。自分の思い通りにならぬストレスで症状が悪化するか、、、、。

精神科医のオンコールに相談する。適切な指導を受けた。しかし、それに納得しないジル。特にメインの精神系の薬の増量を嫌がる。理由は汗をかきたくないから。それに太るのと。

確かにそうである。そういう副作用もある。眠れないから辛いと言いながらも唯一服用できる薬を拒否。副作用のない薬なんて存在しない。作用が副作用より利益が高ければこうりょする。治療はこの天秤の繰り返しだ。説明をしても考えを変えないジル。しかしベンゾを増量することは彼女の依存を悪化させるだけ。私もオンコールも考えは一緒だ。

症状が悪くなれば救急へ行く。それだけだ。

ジルのお姉さんにあなたの治療の選択や状況について連絡をしたいと許可を願うがそれも拒否。こういう時こそ家族のサポートが大切で、家族も知りたいと思うのに、、、、
仕方ない。こういう時でも患者の意思の尊重は医療者として大切だ。

さあ、どうなることやら。


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