Mの実験室 -科学教育啓発活動記録-

科学教育啓発活動を展開中! 科学実験・工作教室の活動記録、予定を書き込んだ日誌です。関連話題も掲載しました。

サイエンス・アート

2012-12-30 | お知らせ、報告、日記

「サイエンス・アート」なる言葉に魅力を感じていた。
この意味をしっかり理解していないのだが、何となく魅惑的である。
科学実験教室、科学工作の延長上でサイエンス・アートに向かいたいと思っていたところである。
以下の論文タイトルが目に留まったので、備忘録的に記す。

「サイエンス・アートが社会に果たす役割」
科学技術コミュニケーション
2012年12月号 31-43
CoSTEP

http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/50971/1/JJSC12_003.pdf

 


「知の拠点」大学のあり方

2012-12-20 | お知らせ、報告、日記

「知の拠点」大学のあり方
 (日本経済新聞 2012年12月20日朝刊29面より)

「大学が社会的な課題をくみ取る必要がある」、大学に企業や地域社会が求める人材供給する『知の拠点』としての役割を強めるよう求めた。
「与えられたことを覚える受験の延長で大学教育がなされ、学生が自分で物事を考える力が落ちている。立ち止まって、本当にそうかな、と考えるようにしていないと。事なかれ主義というか、主張がとがっていないことがよしとされる風潮が背景にある」

経済界が大学に求めるものは。「幅広い教養と語学力は欠かせない。ゼミで一つのテーマを深め論文を書く作業を通じて、専門的な考え方を整理する能力も身につけて欲しい」「実務に必要な知識は銀行に入ってから、深めていかないと役立たない。我々が求めるのは実務に役立つように勉強できる基礎能力だ。」

「理系については修士を取ってほしいと考える大企業が多く、それに対応する必要はある。ただ専門性を鋭く追求するのはいいのだが、複眼的な発想はいる。バラスのとれた教養レベルは確保しないと」

大学生の質が落ちているとの議論がある。上位の同じ数を比べると、レベルが落ちているわけではない。
大学進学率は1960年に17%、2011年で53%。起きているのは大学の大衆化だ。大学数はこの20年間で300近く増えた。
国際的には進学率はオーストラリア94%、韓国71%、米国70%、英国61%、中国17%、OECD平均59%となっている。


科ボ研2012

2012-12-08 | お知らせ、報告、日記

出張先: 第12回全国科学教育ボランティア研究大会in愛知
日  時: 2012年12月8日(土)9日(日)
会  場: 名城大学

「科ボ研」、正式名称を「科学教育ボランティア研究大会」と言う。全国の科学教育ボランティア活動に参加している方々およびこれから参加しようと思っている方々に呼びかけて2001年から開かれている大会であり、昨年にひき続き参加した。

大会の概要
この大会は、実験教室等の科学教育ボランティア活動についてその目的や方法、思いや期待、理想と現状、成功や失敗の経験などを話し合い、今後の発展につなげていくとともに参加者同士互いの親睦を深めようという集まりである。本大会のキャッチフレーズは、「科学教育ボランティア活動を活性化するために交流を深めよう!教育ボランティア活動の全国ネットワークを創ろう!」である。

第1回大会以来、ボランティアによって企画運営され、毎年全国から百数十名という多数の参加がある。参加者の内訳は、小・中・高校教員を中心に、ボランティア活動されている学生、一般と様々な面々である。大学等の研究者、技術職員の参加も若干名あった。今年のテーマは、「見つけよう 育てよう ボランティアの芽 ~未来を担うボランティアを育てるには~」であり、科学館、大学、ボランティアグループからの活動紹介があった。分科会のテーマは次の通り。「学生ボランティアの今」、「楽しい実験ネタ」、「サイエンスショー」、「ネタをどうシナリオにするか?-物理的な実験を集めて」.ポスターセッションでは、様々な実験ネタの披露が行われた。詳しくは、科学教育ボランティア研究大会HPをご覧いただきたい。過去の大会記録も掲載されている。
http://www2.hamajima.co.jp/~sevrc/

大学技術職員の参加メリット
大学の社会貢献は、教育や研究と並んで大学に求められる重要な役割の一つである。本学技術支援センターでも、社会貢献WGを立ち上げ活動しているところである。そこで、全国的な科学教育活動の実態を把握しつつ、大学としての活動計画を策定することは重要である。研究者のアウトリーチ活動(研究成果公開活動)に関連したオリジナルなテーマで実験教室が開催出来たら良いのだが、力量不足で実現出来ていない。したがって、書籍、インターネットを使ってテーマ選定し、自分なりの工夫を加えて実施しているのが、実情である。この大会は、全国区で活躍されている方々が多く集まり、情報収集先としては好適である。多くの新しい実験ネタに出会え、実験教室を開催するにあたってのシナリオ作りなどのスキルアップが図れる。加えて、活発な活動を行っている方々と直接お会いしお話することで元気が貰え、モチベーションアップに繋がる。

 学術研究機関に積極的なアウトリーチ活動が求められる昨今である。我々技術職員の「科学教育啓発活動」も大いに奨励される状況となってきた。この科ボ研は、科学教育活動を行っている方に是非お勧めする大会である。しかし、このような活動が評価されるためには技術職員として専門的な技術をもって、日頃の業務を怠りなく遂行することが大前提である。このことを肝に銘じつつ、継続的な活動を行っていきたいと考えている。

今回出会った、魅力的な実験ネタ
1.銅板のめっき 3枚の銅板から2枚を亜鉛めっき、亜鉛めっきされた1枚を熱処理し真鍮に。綺麗にめっきされており感心した。銀鏡反応による銀めっき、ニッケルの電気めっきの経験があるが、このめっきの法が易しそうで魅力的だ。是非、挑戦してみたい。

2.ペーパークロマトグラフィー
 吸取紙をびょうぶ折りする方法は、操作が簡単で良い方法である。
 花模様にするアート作品作りは、綺麗だ。黒色水性ペンをあてる、科学捜査官仕立てのデモ実験は、原理の解説に役立ちそうだ。

3.回転浮沈子
 浮沈子の実験は広く行われていることから、避けてきたテーマである。
 回転不沈子、初めて知ったので、一度試してみたい。

4.びっくりするほど大きな音がする笛
 糸巻きの紙管、サランラップの芯、風船でつくる笛。とても大きな音が出ることにビックリした。
 ベトナムの民族楽器を参考に考案されたそうである。

 


放射線に関する市民講座

2012-12-04 | お知らせ、報告、日記

「放射線に関する市民講座 放射線て何?」に出席した。
市民50~60名の参加で、平均年齢が60歳を超えているようだ。
1時間40分程度の講演であった。
私は、放射線業務従事者指定特別教育講習を毎年義務として受講しているが、今回の講演内容はそれと同程度で教科書的であった。

主催者側挨拶の中の「正しく怖がる」の表現がうまいなあと感じて調べてみた。
寺田寅彦の随筆にこのようなフレーズがあるようで、以下の記事が興味深い。http://www.sakaki-kunihiko.jp/page048.htm
正しいと正当、怖がると恐れるの比較が興味深い。

 「放射線とどうつきあいますか?」のタイトルで短文を書いた。
今回の福島原発事故の報道で、正当に恐がっていますか?との疑問を持っていました。科学技術コミュニケーター養成プログラムを受講中で、課題レポートとして書いたものが電子書籍として以下に掲載されている。
http://costep.hucc.hokudai.ac.jp/ebooks/2012senkab/#page=51

 低線量被ばくの危険性についてのニュース報道は、科学記事検証が必要であるとの指摘がある。原発の問題は、科学に問うことができるが、科学だけでは答えを出すことのできない問題で、これをトランス・サイエンス(trans-science)と呼ぶそうだ。科学者に決めてもらうのではなく、科学的知見を参考に市民社会が自分で決めたのだと思えるような制度が必要だと思う。そこで、コンセンサス会議(科学技術の話題について市民パネル(約15人)が、専門家と対話しながら数日間かけてじっくり話し合い、市民パネルの中で合意を形成し、公表・提言したりするための会議手法)が必要となる。先ずは、市民の参加と対話が不可欠で、科学コミュニケーションによる市民の科学リテラシー向上を図ることが重要と思う。今回の講座がそれにあたるのだろうが、多くの参加者は物足りないと感じられたかもしれない。