気心は未だ若い「老生」の「余話」

このブログは、閑居の間に
「言・観・考・読・聴」した事柄に関する
 雑感を主に綴った呆け防止のための雑記帳です。

老生の初期胃癌体験記(3/X)

2017-01-20 20:32:45 | 健康

1.築地国立がんセンター中央病院での医療相談を予約

112日、同センターの相談外来に電話して「相談外来日の予約」を入れた。8日以降であれば予約は可能だとのことなので予約日を11月8日にした。

今日では常識になっているのか、別の医師に「第2の意見」を求めるこの「カンドオピニオンの申込み」もかなり混んでいることをこの時初めて知った。

電話予約の際、「がん相談外来」時に持参を要するものは、・保険証及び診療情報提供書(紹介状)の他、画像検査結果(CD.DVD等)、病理診断書等であること。なお、相談外来料金は27,000円でこの料金は保険対象外であるとのことだった。

 

2.国立病院に対する変な嫌悪感の払拭

がん専門の病院に世話になることなど思ってもいなかった。これも何かの因縁だろう・・そんな思いで国立がんセンター中央病院の「相談外来」を受けたのは118日午後2時過ぎのことだった。

同院は、都内中央区築地・中央卸市場通りの北側に位置し、自宅から同院迄は、JR京葉線と地下鉄日比谷線を乗継いで約50分の位置関係である。名の通りのセンター病院であるだけに規模・内容面では多分国内Topクラスなのだろう。

18階建て、578床、医師数約180人、1日約1300人程の通院外来者、年間約5400件の外科手術、手術事故皆無の「がんの総合病院」であるとのことだ。

しかし、当方には同院を治療先に選ぶに当り、ひとつ懸念していたことがあった。それは、過去に当方が、2~3の国立病院に入院中の知友人を何回か見舞った時に特に感じていた「国立病院は冷たくて愛想が良くない。」という嫌悪感であった。

だが、そんな懸念は、総合受付での第一印象で瞬時に変わった。民間病院以上に、親切・丁寧ではないかと実感した。

この感触は、その後の外来相談窓口及び外来担当係のナースとの事務的な会話の間も同じだった。それに加えて当日外来相談だったN医師(後に当方の手術を担当された消化器内視鏡科の医師)の当方と同席の妻に対する接し方・話し方・患者思いのアドバイス等を聞き知って、当方の古い誤解・感覚は完全に払拭された。

今まで経験したどの病院よりも「親切・丁寧で患者目線での対応」が行き届いていると実感したからである。

外来相談室に入って直ぐ、同伴の妻も「この病院の皆さんは、確かに愛想がいいし、親切だ・・」と感じたようだ。同院に対する当方達のこの好感触・信頼感・安心感は、今も全く変わってはいない。

 

3. 患者目線での丁寧な説明受け

同院外来相談室で消化器内視鏡担当科のN医師から●簡単な自己紹介●外来相談の目的、内容、通常の診断との違い、●当院で受診・治療する場合の手順等についての説明があった。

その後、●前病院作成の画像検査結果について画面上で詳しいコメントと手書きによる図解説明を受けた。その内容は、●画像から観た患部の程度・当方の症状と今後の治療方法●似た症例の手術例●検査・入院治療を当院で受ける場合の予定等多々あった。最後に質問懇談の機会もあり、外来相談の時間は約1時間余に及んだ。

諸説明を受け当方はすべて了解・納得出来たので、同院で検査・治療を改めて受けたい旨申し出た。終始懇切な説明をして呉れたN医師から、懇談の最後に、同医師が当方の手術担当医となると告げられ妻共々「ならばなお安心だ」と思った。


4.患部の画像と図解説明の一部

前病院での胃カメラ検査画像の枚数は約50もあった。以下の画像はその一部である。細部説明は割愛する。問題の患部は赤く血が滲んだように映っている部分である。その大きさは15㎜大位だとのことだった。この画像CDは再検査後、記念資料として当方に返却され手元で保管している。

 

 

 

 

 

 

 

 


老生の初期胃癌体験記(2/X)

2017-01-20 13:00:25 | 健康

1.侮る莫れ・・軽微で早期であっても「がん」は「癌」

これ迄「がん」で他界した当方の縁者知友人の中には、受診・治療が後手になったり、治療先が結果的に適当でなかったりして逝ってしまった人もいる。

当方の実母や叔父・伯母の多くも「がん」で亡くなっているし、強健だった二人の親友も「がん」で早世している。そんなこともあり当方の意識の中には、「がん」は、「不治の病・怖い病気」だとの認識が消えていない。

医学の進歩は目覚ましくても「がん」の特効薬として一般に認知されている医薬は未だない。だから、「がん」の中では、自分の「がん」は、序ノ口的な位置づけの「胃癌」ではあるが、当方は「大事を取って定評のある医療機関で、後顧の憂いなき治療を受けたい」旨妻子にも伝えていた。

 

2.地元総合病院でのレントゲン(胸部及び腹部)検査及びCT検査

胃癌判明後、Tクリニックの内科担当医から、地元のT&U病院を紹介され、そこで、疑わしい病変が他にないか否かを確認する検査を受けることになった。

当方係りつけのクリニックには、このT&U病院からの派遣医師が多い。Tクリニックで胃カメラ検査を担当して呉れたM医師は、同院・消化器内科内視鏡担当の主治医だったので、データは共有されており、同院での胃カメラ再検査はなかった。

10月24日、造影剤を用いてのCT検査及びレントゲン検査それに問診等を一日がかりで受けた。10月31日、M医師から一連の検査結果について画像等を基に詳しい説明を聞いた。

その結論は、「他臓器には、がんと思しき病変は特に認められない。しかし、左肺に気管支炎の影が認められる・・」とのことだった。気管支炎の影のことも気になったが、それよりも、もし、他の臓器や部位にも癌化した病変があれば、その後の治療手順も変わったことだろうし、検査・入院期間もかなり長くなったことだろう。

 

3.気管支炎の疑いとピロリ菌検査の陽性反応

気管支炎の疑いについては、確かに9月初旬頃からそれらしい自覚症状は出ていた。風邪で咳・痰が抜けず、食欲もあまり進まない時期が1週間余も続いていたけれども、家庭薬の服用で治まりつつあったので受診はしていなかった。

10月31日の検査結果説明受の際も、医師からは「抉(こじ)れれば肺炎で入院を要する病気」であり、悪化した場合の症例を聞かされ注意を受けた。

自分は過去に急性肺炎歴もあり、程度の差はあるが似たような症状は何度も体験済みなので、「気管支炎の症状」を軽く診て受診しなかったのは間違いだったと反省させられた。

血液検査では、「ピロリ菌の陽性反応」も出た。胃炎や胃潰瘍など胃の病気に深く関って いるとされるこの胃内雑菌の存在も確認され、除菌は胃癌の手術後、期間をおいて別途治療するよう診断された。

 

4. 治療先の選択とセカンドオピニオンの利用

諸検査結果説明を全て終えた1031日の午後、M担当医から最後に、じ後の治療予定について説明を受けた。その際、「手術は6ケ月以内ならば内視鏡による手術は可能だ。時期が遅れれば転移のリスクも上がるので、早めの手術が望ましい。手術時期をいつ頃にするか」について調整を求められた。

M医師の経歴は公表されているし、クリニックで胃カメラ検査を受けた時以来、この医師なら信頼出来るとの予感もあった。なので、当方はT&U病院での手術を希望した。ところが妻・長女達は、より信頼性の高いとされる専門医での治療を受けるよう具申して来た。

 

5.医師も了解の「セカンドオピニオン」風潮

妻子同席の場で、妻が「先生、今日までお世話になっているのに、失礼ですが、今からでも他の病院で再度診て頂くことは可能でしょうか・・」と質問した。

M医師は表情さえ変えず、「当院でもご主人の胃癌の治療は私とそのスタッフで十分可能です。でもセカンドオピニオンを選択されるようであれば、紹介状も書きます。がんセンター病院等を希望されますか・・最近は時折、そうしたご家族もおられます・・」と返答して呉れた。

昔は、途中からの無断転院や二股受診などは、医者に対する背信行為だとの不文律もあったやに聞いていたので、嫌味のないM医師の対応に内心「ほっとした思いと意外な思い」がした。

そんなやり取りの後、M医師を交えその場で相談の結果、国立がんセンター中央病院(都内築地)で外来相談・診察を最初から受け直すことになった。

2日後の112日、同病院で、国立がんセンター病院消化器内視鏡科あての紹介状と今までの諸検査データを収録したCDを受取り、受診先の転院準備を終えた。