1.前病院と同じ検査を再度受検し予想外の結果に当惑
11月14日、がんセンター中央病院に通院し、半日がかりで・血液検査・心電図検査・呼気検査・レントゲン検査及びCT検査を受けた。
受検者からすれば、「また同じ検査を何故受けるのか・・」との素朴な疑問も若干あった。だが、担当病院及び担当医の論理からすれば、転院して来た患者に対する再検査は当然のことなのだろう。
1週間後の11月21日、検査結果について説明を受けた。そこで、担当医から次の2点について意外なことを告げられた。
①その一つは、CT検査報告書には、「上行結腸に25㎜大の隆起性病変を認め、周囲には小リンパ節が散見され、結腸癌の可能性がある」と記されています。平たく言えば、大腸癌の疑いがあるということです・・・との告知だった。
前病院でのCT検査では「異常なし」だったのに、何故違う結果が出たのか、不思議だった。当方の質問に対するN医師のコメントは、「・・大腸癌と断定された訳ではありません。
この疑いを確認するため、後日大腸内視鏡検査をします。CT検査器機の性能の違いで、当院で新たな疑いが出る場合もあります。」とのこと。
更に続けて、「因みに一般病院でのCT検査は、1㎝単位で体の輪切り撮影をするのに対し、当院のCTは1mm単位で撮影されています。今回の検査結果は、そうした違いによるとも考えられます。来週の大腸内視鏡検査で疑いが確かにあるのか否かが確認できます・・」と告げられた。
②二点目は、レントゲン検査結果に出ている左胸の炎症跡のことについてであった。「画像上の影は、ごく最近、気管支炎だったことを示すもの」です。
「概ね自然治癒しているとのことなので問題ないと思われるが、抉(こじ)れれば高齢者にとっては命取りになる病気です。本来なら、胃癌の処置の前に入院して治療を要する大変な既往症だった」との指摘だった。
「大腸癌の疑い」と告げられた時は、「胃の他に大腸癌もかよ・・」と聊か心の動揺を隠せなかった。気管支炎については、医者の治療を受けずに、幸運にも治りつつあると実感していたので叱責気味に語る医師の話は、痛いほど胸に響いた。
同席していた妻も、「大腸癌だったらどうなるのか・・」とても心配気げな様子だった。
2.検査入院(11月23日~11月26日)
(1)60年振りの入院・飲み辛かった腸内洗浄剤
・先に「セカンドオピニオンの相談」を受けた後の検査入院の予定は、その段階で既に決められていた。なので、入院の心積りは出来てはいた。
だが、大腸検査の追加で入院期間は、1日増えて3泊4日になった。大学卒業時の22歳の時、京都市内の国立病院で「肥厚性鼻炎」の手術を受けた時以来の入院だった。
・入院当日の午後から所定量の腸内洗浄剤「モビプレップ1L」と水(ペットボトル1本分500ml)を各日、指定時間内に飲むよう指示された。指示通りに飲んだけれども、これは高齢者にはとても苦痛を伴う飲量だった。
程なくして下痢が始まり、排便の効果が出た。数度目の排便で便の色が無色透明になった。ナースコールをしてその都度便色を確認して呉れていた看護士から、「これで腸内洗浄も完了しました」とのことだった。
(2)モニター画像を見ながらの大腸検査
翌24日10時、お尻に大きな穴の開いたパンツだけの検査着に着替え、正式には「下部消化管内視鏡検査」と称する検査を受けた。
担当のN医師が、小指程の太さの内視鏡スコープを肛門から1.5m程先の盲腸付近まで挿入し、その後ゆっくりそのスコープを抜きながら、病変の有無をサブの医師と話しながら確認しているようであった。
麻酔なしでの検査だった。検査の様子を足元の上1m程の所にあるモニターで見れたので、検査状況はよく分かった。実にリアルで、腸内の色も鮮明だった。異次元の画像を診せられている思いもした。
検査の間、2~3度チクリと痛みを感ずる時もあった。生体検査用に疑わしい部分を抽出したとのことだった。検査時間は、約30分間ほどだった。
検査の終わり頃、担当医が当方の顔を覗き込みながら「Mさん・・よかったですよ・・大腸は綺麗で病変は認められません。生体検査の結果待ちとなりますが、視認した限りではまず大丈夫ですよ・・」と告げられ安堵した。
後日、「生体検査結果も異状なし」と知らされ、心底救われた思いがした。
それにしても、先のCT検査所見結果との食い違いの原因は何なのか、その詳しい説明は聞いてはいない。
(3)一夜明けての上部消化管内視鏡検査(胃カメラ検査)
前日の大腸検査に続いて 今回で三度目(前病院で2度目-1度目は3年前と今回:11月25日)、通算3度目の胃カメラ検査を受けた。
検査中の姿勢は、終始左胸を下にして横向きに固定された状態だったため、検査中の様子をテレビモニターで見ることは出来なかった。
検査は約20分程で終わった。その所見は、基本的には前病院での診断結果とほぼ同じで、剥離すべき患部の拡がり(大きさ)や深さ(深達度)も浅いので、予定通り内視鏡による手術で十分可能だとのことだった。
(4)退屈なく過ぎた4日間
点滴続きで食事が許されたのは、入院2日半日後の11月25日の昼食からだった。半粥だったが残さずおいしく食べれた。
口と尻からの胃腸検査が続き体の疲れもあった。けれども平衡感覚は確かで院内散歩も出来たし、読書も出来た。検査入院中、「百田尚樹」著「海賊とよばれた男(上下巻)」を大変興味深く読了した。