ラヴェンダーの咲く庭で

「みゃーきんぐ・ぷあ」から変更。保護猫と綴る日々の備忘録、独り言にすぎない半径5mの記録です!基本、読み専です。

餓鬼

2016-12-18 08:25:36 | 日常
快晴。

老人性鬱で精神科に入院の義母が寝たきりまで半年、余命一年と15日に主治医に宣告され、
実際に弱っているという旦那の報告を聞いて、重い腰をあげてお見舞いに出かける。
脳の病気や老醜だけでない、様々な複雑な問題が加算されて、私は自分の父親を(看るではなく)「見る」のが嫌になってしまっているが、
旦那もようやく私の気持ちが理解出来たと言い出す。
旦那がぐずぐず母親に会いたくない、見たくないと言い出すが、そんなに変貌しているのならいつコロッと最期になるかわからんので嫌でも行く。


刈り取りを終えた田畑が素敵だ。

隣の市は本当にヤシの木だが、ここは棕櫚の木で南国ムードを作り上げている。

去年あたりから有名な、相変わらずジプリの世界のハート型が映るという某農業用水あたりは大賑わい。

しかし寄ったためしがない、毎度ここを通る時は葬式とかが目的で向かうわけで、レジャーとかの心の余裕が無い。

さて、病院で面会したお義母さん、抗精神薬が効きすぎたようだ、
素人目には首下がり症候群、pisa症候群、嚥下困難は当てはまりそうで、パーキンソン病の人のようにも見える。
喋れない、飲み込めない、残念ながら精神に効かない、副作用だけでるという投薬より、
口腔機能訓練、パタカラ体操でもした方が良さげだが、だれが率先してやる気のない病人に教えるのだ。

到着した時が食事時の11時半、面会室に連れて来られたお義母さん、その後食事のトレーが目前に運ばれて、
旦那曰くお前らやってみろ、お世話しろとばかりにテーブルに置かれ、ガチャンと扉が閉ざされた。
以前から、介護の人のやるごちゃまぜご飯を批判していたお義母さんはいきなり、私達夫婦の前でトレーの上のお粥と刻んだおかずを一気に混ぜ初め、
その吐いたもののようなドロドロの器を私の前にどん!と置いた。

私の母は癌で食事がとれなくて、よくかわりに「病院食を食べてみなさい」と私達夫婦に言ったものだ。
だから、お見舞いの度に手を付けない食事を夫婦で片付けたりしたが、
それを思い出したのか、旦那が私に食べろと義母が言っていると解釈も一瞬の事、
義母は私に食べさせろ、私が食事介助しろと、鯉のように涎と食物の食べかすで汚れた口をぱかっと開いて向いてくる。
手を綺麗にして食事介助をするも、
飲み込むときに食道に送るように正面もしくは下にうつむかない、
気道の確保ではないが、何故か口に物を詰めては上を向いて食道を閉ざし、⇒気道でむせ、
また椅子に腰かけて90度近い体制をとらせても、仰向こう、のけぞろうともぞもぞする?

結局コイツでは役に立たんと、私の手からスプーンを奪って、「そんなに一度に多すぎます」という私の静止も聞かずに、口に食事をハムスターやリスのようにただただ溜め込んでいく。
(旦那は脇でワーワー騒いでいるだけ、汚いものに一切手を出さないのが上手いというかズルイw、猫のゲロや粗相を見てワーワーと変わらないw)
そして、食道がんで亡くなくなり、死後に賞を受賞した看護師で作家の山内令南さんの「癌だましい」さながらの、
飲み込めない人の飲み込みたい食餌シーンが目の前で繰り広げられた。
口にぐちゃぐちゃの食べ物が詰まって、私は掃除機のノズルを差し込んで吸引せねばとハラハラするも、
お義母さんは喉の奥に自らグイッと指を突っ込んで、拒食症のような嘔吐反射もなしに、口に入れたものを胃の方に落としこんた。
落としきれない物はエプロンやティッシュが食べている、一回の食餌でテイッシュ一箱使う。
洋服や口は今の食餌以前の食べかすで汚れきっている。
現在、指で落とした僅かな物のカロリーのみ生きている、お義母さんは癌の悪液質の最期のようにガリガリだ。
旦那に会うと「死にたい、死にたい」だが、
私に会うと、
ノートを広げて病院の悪口、老人ホーム希望の他に、買ってきてもらいたいもの、特に食べたいものを生菓子、せんべいなど繰り返し書いた、食べる事は生きる事、意欲アリ、
お義母さんはシベリアやユダヤ人の捕虜のようにひたすら飢えていた。
オムツだけでも一葉は飛ぶ、それを一旦街に出て買ってきて見せても、
まだ折り返し買い物に行け、病院の職員に10人に菓子を買ってこい、それを配りたいとか、
お爺さんに寿司を買いに行けなど、あえば私にねだる事しかない。
(金がないのに見栄っ張り、病気前からばらまくのが好きな人。)
私にはまだまだ「生きたい」のだとしかみえないのだが…。

胃瘻には反対の自分だが、義母にはとりあえず胃瘻、お腹いっぱいになれば幸福感が増すかも、落ち着くかも、身なりもゲロの分綺麗になるだろう。
(喉が動かない、嚥下できないのを何故か相変わらず出っ歯のせいにしていたが、歯のせいではない。喉に問題があると思う。)
食べれなくても、お皿の前に集合する飼い猫をみれば、猫にも獣医さんに診せて鼻からチューブや強制給餌、輸液をする自分だ、
現在、餓鬼になっている義母を見て、心から「胃瘻でもいい、お腹いっぱいになって」とそう思ってしまった…。
旦那はひたすら病院の職員の態度の悪さなど不満が爆発寸前、(実際、私が経験した2つの特養、1つの老健よりもひどい)
もうキュアよりケアの段階、老人ホームに入れてあげたい、その方が幸せだと。

夕方まで、お義母さんが満足するまで筆談で傾聴、
それから帰路に就く。

長閑で美しい田舎だが、落ち込み過ぎて旦那は一切口も聞けない。
陽気なバイク乗りさん。私達もはしゃぐ日が来るのか?



さて、プンプン八つ当たりしている旦那を腫れもののように扱い、何とか無事に到着、
庭で罠に4匹目のドブネズミがかかっているΣ( ̄□ ̄|||)


イライラしている旦那とともにサイクリングロードの土手へ放しに行く。
その後どうしたいのか話し合うのだが、なぜか私に当たるような態度、
暇に任せて実際に私の父の時のように、入れるところ、値段を机上の空論であっても具体的にその晩から探し始めたのは私。
当分、あの餓鬼になったお腹をを減らした義母の顔が浮かびそうだ。
そして、(お金を貰うプロなら頑張るが、)単なるお見舞いでは、ゲロの山と涎の残像で今夜の食欲は失われた。
コメント
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