12・1・3
私が住む鎌ヶ谷グリーンハイツの近くに所謂「捌けの道」があります。
夏の日照り続きでもこの道はいつも湿っています。
それでは十兵衛の話に入ります。
会社倒産から立ち直るキッカケとなった、
その時のことを私は思い出した。
「そうか!そうだったのか!」とあの時の
謎が解けた思いがした。
昭和58年千葉市で経営していた不動産会社を倒産、
以来しばらくは裁判とヤクザに追われる日々が続いた。
昭和60年ごろのことだった。
例によってヤクザの事務所に呼ばれた。
早く解放されたいのでついつい、迂闊な約束をする。
そして約束が果たせないで再び三度脅される。
そうしたことが繰り返されていた。その日は、
開き直った程の意識はなかったが、
「私も儲けようと思って始めた不動産会社です、
だが見込み違いがあって失敗し、皆さんにご迷惑をかけています」
いつもだったら、2こと3こと云い訳けの言葉を発すると、
ぎょろりと睨んで「なに~この野郎!」と脅かされる。
だが、その日に限って私の云っていることを黙って聞いている。
「あなた方も私を通じて儲けようと思ってやった商売、
見込み違いで儲けられなかった」
そして語気を少し強めて、
「お互い見込み違いをしたのは5分と5分じゃないですか!」
ヤクザの親分は腕組みをしてしばらくは黙ったまま、何も云わない。
たかだか2,3分の間だったが、
2,30分ぐらいに感じたられるほど長い沈黙が続いた。
「よし!分かった!」
組んでいた腕をほどき、両手を膝にのせて、
「こっちは一切手を引く!」そして、
「お前も頑張れ!」と激励してくれた。
頭を大きく下げ、事務所をでた。
その日以来本当にヤクザとの関わりは一切なくなった。
あっ気ないほど簡単な幕切れ、
不思議で、不思議でならなかった。
私の云ったことにそれほど説得力があったとも思えない。
強いて云えば、「5分と5分じゃないか!」と
私の言い分をハッキリと云った。
だが、そんな云い分が通るようなヤクザの世界じゃない。大概は、
「なに~この野郎!」と一喝されるのがオチ、
だが、いつもとは全く様子が違う。
相手が引いてくれた。
私に譲ってくれた。
まさに源太と十兵衛、力加減から云ったら天と地、その位の差がある。
寝ても覚めても五重塔のイメージがこびりついて離れない。
挙句、50分の1の模型を作った。
十兵衛に似た仕草が私にもあったのです。
私が住む鎌ヶ谷グリーンハイツの近くに所謂「捌けの道」があります。
夏の日照り続きでもこの道はいつも湿っています。
それでは十兵衛の話に入ります。
会社倒産から立ち直るキッカケとなった、
その時のことを私は思い出した。
「そうか!そうだったのか!」とあの時の
謎が解けた思いがした。
昭和58年千葉市で経営していた不動産会社を倒産、
以来しばらくは裁判とヤクザに追われる日々が続いた。
昭和60年ごろのことだった。
例によってヤクザの事務所に呼ばれた。
早く解放されたいのでついつい、迂闊な約束をする。
そして約束が果たせないで再び三度脅される。
そうしたことが繰り返されていた。その日は、
開き直った程の意識はなかったが、
「私も儲けようと思って始めた不動産会社です、
だが見込み違いがあって失敗し、皆さんにご迷惑をかけています」
いつもだったら、2こと3こと云い訳けの言葉を発すると、
ぎょろりと睨んで「なに~この野郎!」と脅かされる。
だが、その日に限って私の云っていることを黙って聞いている。
「あなた方も私を通じて儲けようと思ってやった商売、
見込み違いで儲けられなかった」
そして語気を少し強めて、
「お互い見込み違いをしたのは5分と5分じゃないですか!」
ヤクザの親分は腕組みをしてしばらくは黙ったまま、何も云わない。
たかだか2,3分の間だったが、
2,30分ぐらいに感じたられるほど長い沈黙が続いた。
「よし!分かった!」
組んでいた腕をほどき、両手を膝にのせて、
「こっちは一切手を引く!」そして、
「お前も頑張れ!」と激励してくれた。
頭を大きく下げ、事務所をでた。
その日以来本当にヤクザとの関わりは一切なくなった。
あっ気ないほど簡単な幕切れ、
不思議で、不思議でならなかった。
私の云ったことにそれほど説得力があったとも思えない。
強いて云えば、「5分と5分じゃないか!」と
私の言い分をハッキリと云った。
だが、そんな云い分が通るようなヤクザの世界じゃない。大概は、
「なに~この野郎!」と一喝されるのがオチ、
だが、いつもとは全く様子が違う。
相手が引いてくれた。
私に譲ってくれた。
まさに源太と十兵衛、力加減から云ったら天と地、その位の差がある。
寝ても覚めても五重塔のイメージがこびりついて離れない。
挙句、50分の1の模型を作った。
十兵衛に似た仕草が私にもあったのです。