モジリア

74歳のブロガー。ギネスを目指す!(^^)!
おじさんが読む「赤毛のアン」

ヤクザが引いてくれた?

2012年01月03日 | 何故 十兵衛は?
12・1・3




私が住む鎌ヶ谷グリーンハイツの近くに所謂「捌けの道」があります。
夏の日照り続きでもこの道はいつも湿っています。

それでは十兵衛の話に入ります。

会社倒産から立ち直るキッカケとなった、
その時のことを私は思い出した。

「そうか!そうだったのか!」とあの時の
謎が解けた思いがした。

昭和58年千葉市で経営していた不動産会社を倒産、
以来しばらくは裁判とヤクザに追われる日々が続いた。

昭和60年ごろのことだった。
例によってヤクザの事務所に呼ばれた。

早く解放されたいのでついつい、迂闊な約束をする。
そして約束が果たせないで再び三度脅される。

そうしたことが繰り返されていた。その日は、
開き直った程の意識はなかったが、

「私も儲けようと思って始めた不動産会社です、
だが見込み違いがあって失敗し、皆さんにご迷惑をかけています」

いつもだったら、2こと3こと云い訳けの言葉を発すると、
ぎょろりと睨んで「なに~この野郎!」と脅かされる。

だが、その日に限って私の云っていることを黙って聞いている。
「あなた方も私を通じて儲けようと思ってやった商売、
見込み違いで儲けられなかった」

そして語気を少し強めて、

「お互い見込み違いをしたのは5分と5分じゃないですか!」

ヤクザの親分は腕組みをしてしばらくは黙ったまま、何も云わない。

たかだか2,3分の間だったが、
2,30分ぐらいに感じたられるほど長い沈黙が続いた。

「よし!分かった!」

組んでいた腕をほどき、両手を膝にのせて、

「こっちは一切手を引く!」そして、

「お前も頑張れ!」と激励してくれた。

頭を大きく下げ、事務所をでた。

その日以来本当にヤクザとの関わりは一切なくなった。

あっ気ないほど簡単な幕切れ、
不思議で、不思議でならなかった。

私の云ったことにそれほど説得力があったとも思えない。
強いて云えば、「5分と5分じゃないか!」と

私の言い分をハッキリと云った。

だが、そんな云い分が通るようなヤクザの世界じゃない。大概は、

「なに~この野郎!」と一喝されるのがオチ、

だが、いつもとは全く様子が違う。

相手が引いてくれた。
私に譲ってくれた。

まさに源太と十兵衛、力加減から云ったら天と地、その位の差がある。

寝ても覚めても五重塔のイメージがこびりついて離れない。
挙句、50分の1の模型を作った。

十兵衛に似た仕草が私にもあったのです。