モジリア

74歳のブロガー。ギネスを目指す!(^^)!
おじさんが読む「赤毛のアン」

寝転がって・・・

2012年01月04日 | 何故 十兵衛は?
12・1・4  



当時、混沌とした竹藪同様だった



私が経営する不動産会社で、M君は一言で云うと鈍な男、
先回りして機先を制するようなところは全くない。

他と比べて優れたところを探しても見当たらない。

だが販売力だけは優れていた。

ただ、ノートなどの紙片に度々ラクガキをしていた。

馬鹿なことをしているな、程度に私は見ていた。

そして倒産後厄介になった不動産会社に
M君と同じようにラクガキ癖がある男がいた。

パープーのマッちゃん、とかげ口に云われた男だが、
不動産を売るのは上手い。

モソモソッという感じの男だが、兎に角よく売って来る。

ラクガキと販売力に因果関係があるのか、無いのか分からない。

だが、ラクガキすることと、販売力があることは共通している。

真似してみよう、と思った。

駅から販売物件まで、ラクガキの絵地図のようなものを度々描いた。


 私の道連れで倒産した工務店の元社長は
その不動産会社にいつも来て、私の隣に座っている。

昼にはホカホカ弁当を買ってきて一緒に食べる。
夕方になると、じゃあ……と云って帰る。

「こんな物件があるんだが……」と
ボロ屋の中古物件を持ち込んできた。

元社長と親しくしていた不動産屋の持っている物件、

暗に、チョッと細工をして儲けよう、と云う話、

もっと云えばこれを手掛かり足掛かりに立ち直ろうとしていた。

ヤクザから解放されたのもこの時期だった。

中古住宅を撤去して土地付き新築住宅とした図面で売り出した。

客がついたら、
客と物件をどこかの不動産屋に持ち込んで差益を得る計画を建てた。

相当乱暴な商売だが、そうしたことが出来る環境があった。

パープーのマっちゃんはその日に売って来た。

その物件が発端となって、
こうしたパターンの商売が続いた。

平面、立面、転回図、仕様書、工程表に販売図面と
駅から物件までの簡単なラクガキ絵地図、売れなかった場合の
値下げ計画まで織り込んだ計画を建てた。

間違いなく次から次へと売れた。

ラクガキと一連の計画図面が効を奏して、
工務店元社長氏は間もなく会社を再建させた。

私は重大な病を得て入院、副腎皮質ホルモン剤のお陰で
症状は治まり、元気?を取り戻す。

要所要所にチョッと役立つような商売が不思議と転がり込んでくる。

「寝っ転がって商売をやってる」と
同じ病室の患者が羨ましがっていた。

 川越の源太は結果的に十兵衛に道を譲り、道を空ける。
十兵衛の思いはこうした形で実現して行った。