12・1・11
徳って……
十兵衛は何故五重塔建立を思い立ったか、
十兵衛の内面に眠っているものに火を点けたものがあるとすればそれは
朗円上人の徳によるものだろうと推測した。
谷中の感応寺を川越の源太が請け負っている。
十兵衛は大工として係わって腕は確かだという程度の評判は得ている。
だが、請負師としての才覚は何処にも示されていない。
のっそりと揶揄され、請負師として仕事を全うするだけの資質には欠けるだろう、
と云うのが一般的な受け止め方、
大工の腕だけで五重塔を完成させるのは全く無謀な試みである。
むしろ請負師としての実績があればまだしも全くゼロの
十兵衛は意気込みだけである。
その意気込みも五重塔の建立が計画されたからである。
大工として一生に一度あるか、無いかの仕事、大工としてやり遂げたい夢を抱く。
感応寺を請け負った川越の源太にとっても大仕事、
十兵衛にとっては夢を抱くことさへ不謹慎な状況の中、
それでも五重塔を建てたい、と思い続ける。
12・1・11
徳って……
十兵衛は何故五重塔建立を思い立ったか、
十兵衛の内面に眠っているものに火を点けたものがあるとすればそれは
朗円上人の徳によるものだろうと推測した。
谷中の感応寺を川越の源太が請け負っている。
十兵衛は大工として係わって腕は確かだという程度の評判は得ている。
だが、請負師としての才覚は何処にも示されていない。
のっそりと揶揄され、請負師として仕事を全うするだけの資質には欠けるだろう、
と云うのが一般的な受け止め方、
大工の腕だけで五重塔を完成させるのは全く無謀な試みである。
むしろ請負師としての実績があればまだしも全くゼロの
十兵衛は意気込みだけである。
その意気込みも五重塔の建立が計画されたからである。
大工として一生に一度あるか、無いかの仕事、大工としてやり遂げたい夢を抱く。
感応寺を請け負った川越の源太にとっても大仕事、
十兵衛にとっては夢を抱くことさへ不謹慎な状況の中、
それでも五重塔を建てたい、と思い続ける。
12・1・11