今日巌前坐
坐久梱雲収
一道清鈴冷
千尋碧埠頭
白雲朝影静
明月夜光浮
身上無塵垢
心中那更憂
注 朝影-朝日の光。
今日、巌前に坐すれば
坐すること久しゅうして栖雲収まる
一道清仙静冷やかに
千尋碧時の頭
白雲朝影静かに
明月夜光浮ぶ
身上塵垢無し
心中、那ぞ更に憂えん
きょう、岩の前に坐った。長いあいだ坐っていたら、もやがおさまった。見えてきたのは、清ら
かに流れる1すじの清く澄んだ谷川と、千尋の高い緑の山の峰、白雲に朝日の光は静かにうつる。
明月は夜光の珠のように輝く。わが身上に一点のよごれもない。まして、心中になんの憂いがあろ
うか。 .
巌前とは、寒山子が住んでいた寒山の山中の「寒巌」と名づけた岩窟の前でもあろう。寒は、寒
さであるが、この寒さの中に、貧しさ・きびしさや孤独の意味がこめられ、・安易な気持ちがきびし
く否定されている。
岩の前で曹らく坐禅をつづけると、心中のもやもやした心のうずまきが収まった。すると心中に
一道の清らかな谷川にも似た道が開けてきた。
緑の高峰にかかる白雲にそそぐ朝の陽光のように、また夜光の殊にも似た明月のように、わが身
ヽ ヽ
上にも心中にも、いささかのかげもない。
寒山子はこのように坐禅のよろこびをうたいあげるが、ここで「坐禅」のことを少し学習してみ
よう。
坐久梱雲収
一道清鈴冷
千尋碧埠頭
白雲朝影静
明月夜光浮
身上無塵垢
心中那更憂
注 朝影-朝日の光。
今日、巌前に坐すれば
坐すること久しゅうして栖雲収まる
一道清仙静冷やかに
千尋碧時の頭
白雲朝影静かに
明月夜光浮ぶ
身上塵垢無し
心中、那ぞ更に憂えん
きょう、岩の前に坐った。長いあいだ坐っていたら、もやがおさまった。見えてきたのは、清ら
かに流れる1すじの清く澄んだ谷川と、千尋の高い緑の山の峰、白雲に朝日の光は静かにうつる。
明月は夜光の珠のように輝く。わが身上に一点のよごれもない。まして、心中になんの憂いがあろ
うか。 .
巌前とは、寒山子が住んでいた寒山の山中の「寒巌」と名づけた岩窟の前でもあろう。寒は、寒
さであるが、この寒さの中に、貧しさ・きびしさや孤独の意味がこめられ、・安易な気持ちがきびし
く否定されている。
岩の前で曹らく坐禅をつづけると、心中のもやもやした心のうずまきが収まった。すると心中に
一道の清らかな谷川にも似た道が開けてきた。
緑の高峰にかかる白雲にそそぐ朝の陽光のように、また夜光の殊にも似た明月のように、わが身
ヽ ヽ
上にも心中にも、いささかのかげもない。
寒山子はこのように坐禅のよろこびをうたいあげるが、ここで「坐禅」のことを少し学習してみ
よう。