行雲流水

仏教をテーマとした記事を掲載しています。

むなしさを超える

2016年06月28日 | 禅の心
仏教や日本文化には消極的であったり、虚無主義的であるというイメージがあります。特に般若心経の「空」という文字や、諸行無常という言葉には、「むなしさ」というニュアンスが多く感じられるのは否めません。
 般若心経では「色即是空」と言います。 美しいお嬢さんが若くして亡くなって、火葬炉から出てきた真っ白な骨灰を見て、みな虚無感に浸ります。生と死は一つのものの裏表なのだと実感する瞬間です。ただ、虚しいと言っているだけでは虚無主義・ニヒリズムに陥ってしまいます。般若心経では、「色即是空 空即是色」と続きます。むなしさを元に戻す作業が必要だというのです。真っ白な骨になってしまう存在だからこそ、短い命でも、生きていることは素晴らしいのだと。実はこのことは、ただ単に人生を肯定するよりも強い肯定になるのです。
人生は素晴らしい。
人生は素晴らしくはないことはない。
般若心経の考え方は、二重否定なのです。
子供の無邪気な明るさと、辛酸なめ尽くして、一度は自殺を考えていたような人が苦難を乗り越えて明るいのとでは、全く性質が違います。
人生、様々な苦難を経験してこそ明るい心をつかめるのかもしれません。

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善き人のかほり

2016年06月24日 | 禅の心
華の香は 風に逆らひてはいかず

栴檀も多掲羅(たがら)も末利迦(まりか)もまた然り

されど

善き人のかほりは 風にさからひつつもゆく

善き士(ひと)の徳(ちから)は すべての方に薫る




人徳というものはその人の体から自然に漂っていくものです。



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【寒山詩】ゆったり生きよう  

2016年06月21日 | 禅の心
重巌我卜居 

鳥道絶人迹

庭際何所有

白雲抱幽石

住茲凡幾年

屢見春冬易

寄語鐘鼎家

虚名定何益



(寒山詩-1)



重巌に我れ卜居す

鳥道人迹を絶つ

庭際何の有る所ぞ

白雲幽石を抱く

茲に住して凡そ幾年ぞ

屢しば春冬の易わるを見る

語を寄す鐘鼎の家

虚名定からず何の益かあらん



山深く巨岩の重なったところに、私はやっと住居を選び定めることができた。

ここは鳥だけが通う険しい細い道で、まだ人の訪れたことのない静寂なところである。

家の庭のほとりで、自分を楽しませてくれるものは何であろうか。

そこには白雲が無心に苔むした巨石を抱きかかえるように漂うだけで、ほかに煩わしいものは何もない。

ただ雄大な自然があるだけである。

私はこの岩穴に居を構えて何年になるのか覚えていないが、春が来てまた冬になることを何度か経験した。

世間のお金持ちの方々に申し上げたい。お金もうけや、名声を求めることははかないことで、何の益もないのですよ。


80年あまりの人生をあくせく、ガツガツ生きるのはやめましょう。死ねばあの世にはお金を持っていくことはできません。

自分らしく、ゆったりと生きましょう。




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世間の視点をうたがえ

2016年06月17日 | 禅の心
イソップ童話だったでしょうか。
親子がロバを連れて歩いていました。
父親は、子どもをロバに乗せました。
それを見ていた通りすがりの人が言いました。
「子どもを甘やかして・・・・・。」
父親は子どもをロバから降ろして、自分がロバに乗りました。
それを見ていた別の旅人が言いました。
「自分だけ楽をして、子どもがかわいそうに・・・・・」
父親は子どももロバに乗せて、2人でロバに乗ることにしました。
それを見ていた別の旅人言いました。
「2人も乗ったらロバがかわいそうじゃないか・・・・・」
父親と子どもはロバから降りると、ロバの4本の足に棒を縛り付けて、子どもと2人でロバを担いで行きました。

世間の意見は所詮こんなものだと言うことです。
たとえるならゆとり教育が見直されたかと思うと、また極端な偏差値教育、学力偏重教育に向かいつつあります。
自分というものをしっかりもって生きることが大事なのではないでしょうか。

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覚醒剤より怖いもの

2016年06月14日 | 禅の心
他人の悪口は甘い味がするものです。

他人の悪口を口に出すことによって、

一時的には、気持ちが落ち着きます。

しかし、他人の悪口を言い続けていると、

自分自身の心を壊していき、

嫌な人間になってしまいます。


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