ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【タバコのフィルター】難波先生より

2016-07-26 16:20:10 | 難波紘二先生
【タバコのフィルター】
 ずいぶん昔のことだが、福島医大から筑波大学の病理学教授に転じられた小島瑞先生、千葉放医研の熊取先生の二人にくっついて、新橋の飲み屋に行ったことがある。小島先生は愛煙家で、その頃は両切りのピースの吸口に楊子でリング状に穴を開けて吸っておられた。
 「不思議なことをされるものよ」と思ったが、失礼になってはと質問は差し控えた。
 熊取という姓は変わっているので、「まるで猟師みたいな姓ですね」というと気さくな熊取先生は「そうだよ、元は紀州の猟師なんだ」と答えられた。
 私はその頃、日本の悪性リンパ腫分類を変え「国際基準」に合わせるように、同志たちと努力していたので、血液病理学と放射線医学の大先輩がこうして可愛がって下さるのを大変うれしく思った。

 その後、愛用のタバコの銘柄はいろいろ変わったが、最近はJTの「MEVIUS Extra Lights」(ロングサイズ、タール3mg, ニコチン0.3mg)というのを吸っている。ハワイから戻った娘一家が「ジージは臭い」というので閉口して、タール1mg,ニコチン0.1mgの「MEVIUS ONE」ロングサイズに変えたり、同じロングサイズでも「MEVIUS ONE IMPACT」(タール1mg, ニコチン0.1mg)に変えてみたりして、いろいろ嫌われないように努力している。

 そしたら「新発見」があった。(写真1)
(写真1)
 同じタバコでもMEVIUS ONEとIMPACTではフィルターの色が違う。それで吸口から1cmのところにリング状に穴が明いているのがはっきりと見える。EXTRA LIGHTもMEVIUS ONEも、老眼ではそれらがはっきり見えない。

 そこでUSB顕微鏡でフィルターの部分を拡大観察してみた。(写真2)
 そしたら茶色のIMPACTの吸口部には大きな丸い穴が一重のリングになって明いていた。
他方、白いEXTRA LIGHTの方は、細長い穴が二重リングになって明いていた。
 私は煙草を吸う時に吸口を深くくわえるから、この穴の機能がわからなかった。
 「これは昔、小島先生が楊子で開けていた穴と同じ機能を持つに違いない」と思い、実験してみた。フィルターとタバコ本体との移行部を指で挟み、吸口には軽く唇を当てるだけにした。
(写真2)
 これだと咥えタバコでの仕事はやりづらくなる。タバコの安定性が悪くなるからだ。
 こうして吸ってみると、なんとフィルターの穴から煙が出る。
 この煙はほんの少量で、写真撮影はむつかしいが、要するにタバコを吸う際に、余分な空気をここから取り込み、気道に吸い込む煙をなるたけ少なくするための工夫だとわかった。タバコを口から離した際に、フィルター孔から煙が出るのは、フィルター内に残っている煙がここから出るためと思う。
 小島先生は1980年代にこれをやっておられたのだ、と初めてヨウジ孔の意味がわかった。

 ただこの孔の機能を生かすにはフィルターの先端をつまみ、タバコを浅くくわえて、指と唇の間にリング状の穴を開放して吸わないと意味がない。コーヒーをすすった後、濡れた唇で深くくわえると、このフィルター孔が目詰まりして、意味がなくなる。
 つまり私の場合、従来の「くわえタバコ」を止めないとフィルター孔の機能を発揮できない。
 やれやれ、タバコを止める前に、まずタバコの吸い方を変えないといけない。(写真3)
(写真3)
 白い2本はいずれもMEVIUS Extra Lightのフィルターで、青いマークのあるところからチャコール・フィルターが始まる。ここに点線があり、ここまでは実際にきざみタバコの葉が詰まっている。茶色いImpact Oneのフィルターも同様である。吸った後の吸口面を比べると、コーヒーを飲んでうっかり吸気孔の部分をくわえてしまった一番手前のフィルターには、吸口断面に一段と濃いタール着色がある。

 写真4はフィルター部分だけを切り取ったものの比較で、指で青いマークのある位置を挟んで、フィルター吸口をほとんどくわえないで吸ったものであり、写真3の向こう側2本の縦方向の写真である。
 右の茶色いImpact Oneの方にはタールのシミ以外に黒い汚染部が周辺部に限局性に認められる。これはフィルターのタバコ側ではおよそ4つの境界不鮮明な黒点として見られる。同様の黒点は白いExtra Lightのフィルター・タバコ起始部にも認められるが、吸口ではこれが消えている。
(写真4)
 ひょっとすると、これはチャコール・フィルターが関係しているかもしれないと思い、タール3mgのチャコール・フィルター付タバコを吸ってみた。今度は吸気孔部を唇に挟まないように注意した。
 写真5はこのフィルターと写真4の左側の白いフィルターを比較したもので、タバコのタール分はどちらも3mgだ。左の吸口にはほとんどタールのシミがないが、右の深く咥えて唇で吸気孔を潰して吸ったものにはクッキリとタールのシミがでた。
(写真5)
 これら2本のフィルターの先端部断端を比較すると、どちらも同じように黒い点状の斑点が認められ、ブラインドでは両者の区別がつかなかった。
 以上の実験から、チャコール・フィルターの場合、設計者の意図通りに吸気孔を唇で塞ぐのを避けて喫煙すると、吸口にタールの黒いシミが残らないことがわかった。

 それにしても最近のタバコフィルターには吸気孔があること、これを唇で塞がないようにしてタバコを吸うとタール分が口内に入るのを著しく減少させる効果があることを初めて知った。
 いや、たかが「タバコを一服」というけれど、意外に技術がいるものですな…
 それにしてもJTも生き残りをかけて、技術的改善を行っているな、と思いました。いまや喫煙家は昔のレプラ患者みたいに隔離差別されている。「喫煙の技法」を説く医師がいてもよさそうに思うな…。
 春の値上げ前にまとめて買ったMEVIUS Extra Light(タール3mg)がまだ5カートンも残っている。MEVIUS One(タール1mg)と併用して吸っているためだ。
 だがこれで「禁煙戦略」は定まった。
1) フィルターの孔を保ったまま喫煙し、タール1mgのタバコに徐々に移行する。
2)次に、やがて売り出されるJTか、すでに売られているマルボローの「電子タバコ」IQOSに移行する。
3)これで煙害は防げるはずだ。(もっとも何事も「三日坊主」の私には自信がないが…。)

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