【社説】新聞の社説を読んで感銘を受けることは滅多にないが、6/28付「毎日」の社説は良かった。
アベノミクスと安倍首相が「私を勇気づけてやまない先人」と呼ぶ高橋是清のインフレ政策との関連を指摘したものだ。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130628k0000m070105000c.html
ちょうど「買いたい新書」の書評、
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1370218837
で、城山三郎「男子の本懐」を取りあげ、「既視感」があると書いたので、そう思ったのかも知れない。
<本書は「静の浜口雄幸, 動の井上準之助」という異質な二人が協力して, 昭和初期の国家財政破綻と通貨安定策にとり組んでいく過程を描いた, 異色の政治・経済小説だ。おそらく城山の代表作といえよう。10年に亘るデフレと円高→関東大震災→国債の日銀引き受けによる通貨総量の増大→円安誘導。デジャ・ヴュを覚える由縁だ。>
と論じておいた。
「高橋是清は、インフレの兆しが出てきたところで歳出削減にカジを切ろうとするものの失敗し、結果として軍事費の膨脹とインフレに歯止めがかからなくなる」
と「毎日」社説は書いている。(それにしても悪文だなあ)
日銀は必要な紙幣を印刷すればよいので、国から直接国債を買おうが、市中銀行が買った国債を買おうが、日銀が国債引き受け量を増やせば、流通紙幣量が増え、インフレが起こることは間違いありません。これは「通貨論」の基礎の基礎です。最悪の場合は第一次大戦に敗北したドイツのようにハイパーインフレションが起こり、レストランに入った時と出るときでは値段が違う、という事態が起こる。
結果としてドイツ政府は戦時中に発行した国債の価値を紙屑同然にしたわけです。政府負債が実質ゼロになったから、10年後にヒトラーが台頭して、新たな軍備増大計画を実行する財源が得られたのです。
結果として、国債がやがて紙切れになる日が刻刻と近づくというわけです。賢明な人は国債を売って、インフレで目減りしないものに乗り換えるでしょう。住宅ローン金利が上がりましたが、そうなれば持ち家志向から、ライフサイクルに応じた借家志向に消費者のトレンドが変わるでしょう。すでに団地はゴーストタウン化しつつあります。
「文藝春秋」7月号の特集は越後湯沢(川端康成「雪国」の舞台。ここの老舗旅館「龍言」は「ミクロスコピア」の藤田恒夫先生のご贔屓で、よく編集協力者の泊まりがけ宴会をやった。)ではリゾートマンションが「姥捨て山」になっていると報じている。40平米足らずのマンションが200万円弱で取り引きされている、という。バブルの時2000万円で買い、ローンを組んだ消費者こそ良いカモにされたわけだ。
安倍自民党は「96条(改憲手続き)先行改憲」を引っ込め、「消費税10%へのアップ」を隠し、国際的にも問題にされている「使用済みウランからのプルトニウム抽出」を自前で行う(すでに60トンのプルトニウムが溜まっているのに)ために、青森県六ヶ所村の再処理施設の完成と原発再稼働を行おうとしている。
高橋是清のように凶弾に倒れることはないだろうが、矛盾だらけの政策なので、自己矛盾によりいつ破綻が起きても不思議はない。デフレの原因は「現役世代」人口の減少による消費減少だ、という人口学者による指摘にも耳を傾けるべきだろう。確かに65歳以上の高齢者は収入にかぎりがあるし、交際費もかからないから、現役世代ほどお金を使わないことは、70歳以上の高齢者である私自身がよく知っている。
金の流通速度が落ちれば、経済の貧血つまり「デフレ」が起こる。が、基礎代謝率を下げれば(例えば体温を下げる)貧血を乗り切れるように、デフレになっても生活に困らない方法があるのだ。要は「収入に見合った支出」を行い、「足(た)る知る」生活に移行すればよいのだ。
質素な生活に戻れば、国民病である糖尿病患者も減る。昔、「朕はたらふく食っておる。汝臣民飢えて死ね」という過激なプラカードが、メーデーの皇居前広場に登場したことがあった。
たらふく食って、取りすぎのカロリーをスポーツクラブに通って運動して消費するような生活が、経済的にも時間配分の上でも永続性がないのは、明白ではないか。
アベノミクスと安倍首相が「私を勇気づけてやまない先人」と呼ぶ高橋是清のインフレ政策との関連を指摘したものだ。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130628k0000m070105000c.html
ちょうど「買いたい新書」の書評、
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1370218837
で、城山三郎「男子の本懐」を取りあげ、「既視感」があると書いたので、そう思ったのかも知れない。
<本書は「静の浜口雄幸, 動の井上準之助」という異質な二人が協力して, 昭和初期の国家財政破綻と通貨安定策にとり組んでいく過程を描いた, 異色の政治・経済小説だ。おそらく城山の代表作といえよう。10年に亘るデフレと円高→関東大震災→国債の日銀引き受けによる通貨総量の増大→円安誘導。デジャ・ヴュを覚える由縁だ。>
と論じておいた。
「高橋是清は、インフレの兆しが出てきたところで歳出削減にカジを切ろうとするものの失敗し、結果として軍事費の膨脹とインフレに歯止めがかからなくなる」
と「毎日」社説は書いている。(それにしても悪文だなあ)
日銀は必要な紙幣を印刷すればよいので、国から直接国債を買おうが、市中銀行が買った国債を買おうが、日銀が国債引き受け量を増やせば、流通紙幣量が増え、インフレが起こることは間違いありません。これは「通貨論」の基礎の基礎です。最悪の場合は第一次大戦に敗北したドイツのようにハイパーインフレションが起こり、レストランに入った時と出るときでは値段が違う、という事態が起こる。
結果としてドイツ政府は戦時中に発行した国債の価値を紙屑同然にしたわけです。政府負債が実質ゼロになったから、10年後にヒトラーが台頭して、新たな軍備増大計画を実行する財源が得られたのです。
結果として、国債がやがて紙切れになる日が刻刻と近づくというわけです。賢明な人は国債を売って、インフレで目減りしないものに乗り換えるでしょう。住宅ローン金利が上がりましたが、そうなれば持ち家志向から、ライフサイクルに応じた借家志向に消費者のトレンドが変わるでしょう。すでに団地はゴーストタウン化しつつあります。
「文藝春秋」7月号の特集は越後湯沢(川端康成「雪国」の舞台。ここの老舗旅館「龍言」は「ミクロスコピア」の藤田恒夫先生のご贔屓で、よく編集協力者の泊まりがけ宴会をやった。)ではリゾートマンションが「姥捨て山」になっていると報じている。40平米足らずのマンションが200万円弱で取り引きされている、という。バブルの時2000万円で買い、ローンを組んだ消費者こそ良いカモにされたわけだ。
安倍自民党は「96条(改憲手続き)先行改憲」を引っ込め、「消費税10%へのアップ」を隠し、国際的にも問題にされている「使用済みウランからのプルトニウム抽出」を自前で行う(すでに60トンのプルトニウムが溜まっているのに)ために、青森県六ヶ所村の再処理施設の完成と原発再稼働を行おうとしている。
高橋是清のように凶弾に倒れることはないだろうが、矛盾だらけの政策なので、自己矛盾によりいつ破綻が起きても不思議はない。デフレの原因は「現役世代」人口の減少による消費減少だ、という人口学者による指摘にも耳を傾けるべきだろう。確かに65歳以上の高齢者は収入にかぎりがあるし、交際費もかからないから、現役世代ほどお金を使わないことは、70歳以上の高齢者である私自身がよく知っている。
金の流通速度が落ちれば、経済の貧血つまり「デフレ」が起こる。が、基礎代謝率を下げれば(例えば体温を下げる)貧血を乗り切れるように、デフレになっても生活に困らない方法があるのだ。要は「収入に見合った支出」を行い、「足(た)る知る」生活に移行すればよいのだ。
質素な生活に戻れば、国民病である糖尿病患者も減る。昔、「朕はたらふく食っておる。汝臣民飢えて死ね」という過激なプラカードが、メーデーの皇居前広場に登場したことがあった。
たらふく食って、取りすぎのカロリーをスポーツクラブに通って運動して消費するような生活が、経済的にも時間配分の上でも永続性がないのは、明白ではないか。
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