ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書評など】吉見俊哉「<文系学部廃止>の衝撃」等/難波先生より

2016-07-11 15:26:52 | 難波紘二先生
【書評など】
1)この間に、エフロブ「買いたい新書」書評にNo.327, 吉見俊哉「<文系学部廃止>の衝撃」, 集英社新書, 2016/3, 254頁,\760)を取り上げました。
 いま、1991年からの大学教育の「大綱化」および「大学院重点化」と大学院の部局化、2004年の「国立大学法人化」により大学の教育と「競争的資金」の獲得はすざまじい状況に追い込まれています。
 研究者は国際誌に英文論文が掲載されないと科学研究費がもらえないし、大学院に進んでもかつての3倍近くの大学院生数になっていますから、「博士にはなったけれど」という状況が生まれています。日本で論文不正が多発するようになったのも、91年以来の研究環境の激変が背景にあります。
 理系重視の傾向が高まり、必然的に文系学部の縮小再編が起こっています。ぜひこの大学の激変状況を多くの人に知って欲しいと思います。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1466832132

2)同じくNo.328にF.リッチョーニ &T.ペティナート(青木薫・訳)「マンガ:エニグマに挑んだ天才数学者チューリング」,講談社, 2015/4, 290頁, \1,500)を取り上げました。
 アラン・チューリングはケンブリッジ大卒の天才数学者で、ドイツ軍の暗号エニグマ(謎)を解読し、ドイツUボートの活動を不能にした業績と人工知能(AI)の原理を考案したという卓抜した業績をあげましたが、同性愛者であることが偶然に発覚し、英国刑法で訴追され、強制的に「化学去勢(エストロジェン注射により女性化させる)」を受けさせられました。
 その結果、女性化乳房症と勃起不能になり、1954年、絶望のあまり青酸カリ入りのリンゴを囓って自殺しました。わずか42歳でした。
 暗号解読については、サイモン・シン(青木薫訳)「暗号解読:ロゼッタストーンから量子暗号まで」( 新潮社, 2001/7, ¥2,600)、A.チューリングについては、J.ディヴィッド・ボルター(土屋俊、山口人生・訳)「チューリング・マン」(みすず書房, 1995, ¥4,944)などの評伝がありますが、本書はマンガですからわかりやすく、チューリングへの入門書として有用と思います。
http://www.frob.co.jp/kaitaishinsho/book_review.php?id=1467335077

★愛媛銀行のメッセ(フィランソロピー)事業として「えひめふるさと塾」が開設されました。そのブログ「哲学カフェ一遍」に、私の時事随想も宇和島の近藤先生の「宇和島歴史紀行」などと並んで掲載されています。
http://ehime-furusatojuku.com/contents/pcafe/
 編集長は松山市在住の作家で愛媛銀行顧問の青山淳平氏です。青山さんには腎移植移植に関する小説もあります。(青山淳平:「小説・修復腎移植」, 本の泉社, 2013/9)

 一遍(1239-89は鎌倉時代の僧で「時宗」の開祖です。伊予の国の豪族河野道広(河野水軍の一族)の子で、その生涯は、
一遍・持阿(大橋俊雄校注)「一遍上人語録:付<播州法語集>」(岩波文庫、1985/5)
聖戒 編(大橋俊雄校注)「一遍聖絵」(岩波文庫、2000/7)
で容易に辿ることができます。
 「一遍聖絵」には踊り念仏を始めた一遍が全国を廻り、奥州江刺(えさし)にある祖父河野四郎通信の墳墓を訪ねたとあります。大橋俊雄「一遍聖」(講談社学術文庫, 2001/4)によると、高さ3m、一辺が11.5mの「下方上円噴」で方形の底辺外側に空堀があり、円錐の土盛り部には割石が敷きつめられ、空堀の外も同様に石が敷かれているという。まさに「古墳」である。「聖塚」という名称で、岩手県北上市稲瀬町に現存しているという。
 
 一遍に先立つことおよそ100年(1133~1212)、法然が登場。「他力本願」を説き、浄土宗を開きました。ところが比叡山の敵意を買い、後白河法皇の官女を門弟が出家させたことから、門弟は六条河原で斬首の刑に処され、法然も僧侶の得度免許を取り上げられ、「藤井元彦」という俗名を強制的に与えられ、讃岐国に流罪となりました。
 この時先頭に立って川船が出る伏見まで法然が乗る輿を担いだのが、「信濃の国の御家人・角張の成阿弥陀仏」(大橋俊雄・校注「法然上人絵伝(下)」, 岩波文庫, 2002/5)。法然はその後淀川河口から船で神戸港に渡り、そこから船で讃岐に流されている。
 この御家人角張が何と、「旧石器遺跡捏造」を最初(2000年夏)にHPで告発した「アルカ考古学研究所」(長野県小諸市)社長の角張淳一氏の祖先なのである。それは彼から直接聞いた。
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2017-05-07 10:22:16
教養という事の意味を分からない政治家、官僚ばかりが跋扈し、
教育がお金儲けの手段としか受け止められなくなっているんでしょう。
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