【小径腎癌の実数と移植可能数】厚労省が「がん拠点病院」を対象に行った、「小径腎癌の手術実態の年度推移」に関するデータが集計された。
元資料のうちから、もっとも重要な部分を紹介する。(添付3)
厚労省によると「都道府県・地域がん診療拠点病院及び国立がん研究センター」を対象に計388医療機関に調査用紙を送付し、262機関(67.5%)から回答を得たそうだ。
まず表2で明らかなように、2005年までは70%台であった「全摘」例が、2009年: 58.4%、2011年: 46.7%と15%程度低下している。
これは2007年に日本泌尿器科学会が「小径腎癌に対する治療ガイドライン」を作成し、部分切除を薦めたためである。
第二に、全摘術の減少にもかかわらず、手術対象となる腎癌の症例実数が急激に増加している。2001年には820例だったものが、2011年には2317例と、2.8倍に増えている。これは世界的傾向で、もともと発がん率は加齢と共に対数曲線で増加して行くから、「高齢化社会」の影響をもろに受けているのである。
「小径腎癌で全摘された腎臓」はバックテーブルで修復して、移植に利用可能であるから、利用可能数を計算すると、表に右端の列に示すように、2001年の582個から2011年には1082個に増えたことになる。これが「がん拠点病院」で「捨てられている腎臓数」である。
これは小径腎癌が出来ている部位や深さに問題があり、「部分切除」では再発や術中ミスの危険性があり、全摘が選択されたものであり、アメリカの「部分切除論者」キャンベルも「4割は全摘するしかない」といっているから、ほぼ理論的限界値に近づきつつあると見て良いだろう。
私と藤田保健衛生大学の堤教授は、「小径腎癌の80%が全摘される」という仮定に基づき、「年間2000個の腎臓が移植に利用可能」という推計値を出していたが、全摘率が40%に落ちても、腎癌の発生率が3倍に増加すれば、利用可能数は減らないわけである。いま、日本の死体腎移植数は、1型糖尿病の患者のために「膵腎同時移植」が優先されているため、一体から1個しか透析患者を救うのに利用できない。だから高原史がいうように、「100年待ち」になったのである。
2011年の実績を見ると、膵腎同時移植20件、腎移植182件である。移植希望登録後の待機患者の年間死亡率は10%である。今年7月末の腎移植待機患者数は1万3, 000人である。年間200個に満たない死体腎で、年間死亡リスク10%の患者をどう助けるのか? 仮に修復腎に1%のリスクがあっても(実際には1%よりはるかに低い)、患者なら移植を選ぶだろう。それを禁止するのは殺人を放置するに等しい。
年間2000個以上の人の生命を助ける「宝の山」がありながら、嫉妬のためにそれを禁止しようとする学会はクレージーだ。
この表を見ると、「修復腎移植」の未来は明るい。死体の臓器にリサイクルは許されて、どうして患者の臓器のリサイクルは許されないのか?誰が考えてもおかしいではないか。患者に十分に説明を行い、納得して提供してくれるのを、学会が禁止する権限がどうして発生するのか?公開シンポジウムで、きちんと説明してもらいたいものだ。
第三に、表1を見てもらいたい。ここには「小径腎癌」と診断されて、術中または術後の病理診断で「良性」と診断された症例のパーセントが示されている。
腎臓はがんの疑いのある場合、針生検は禁忌で、CT等の画像診断によらざるをえない。術中迅速病理診断も100%確実ではない。だから泌尿器科医も病理医も「疑わしきは罰する」という態度をとる。
ベテラン泌尿器科医の話を聞いたら、小径腎腫瘍で術中病理診断が「腺腫」(良性)ということだったので、部分摘出にとどめ、移植に使用したら、2日後、病理が青くなってとんできて、「腎癌でした!」といったそうだ。レシピエントと話しあって、「取り出してほしくない」というのでそのままにしたが、その後何ともないそうだ。
表2の「良性」の列は、4.4~6.1%が全摘後に良性腫瘍と判明したということである。
8月16日の「5学会記者会見」で、高原史は何といったか…
「小径の腎腫瘍には良性腫瘍が10~20%含まれるため、腎全摘をすると過剰治療となる。だから部分切除を選択すべきである。」
この根拠は自前のデータではなく、癌研有明病院からの176例の論文と韓国の論文ではないか。よく恥ずかしくないものだ。大仰な記者会見をするのなら、ちゃんと自前の資料を用意しろ。それが学術団体というものだ。
元資料のうちから、もっとも重要な部分を紹介する。(添付3)
厚労省によると「都道府県・地域がん診療拠点病院及び国立がん研究センター」を対象に計388医療機関に調査用紙を送付し、262機関(67.5%)から回答を得たそうだ。
まず表2で明らかなように、2005年までは70%台であった「全摘」例が、2009年: 58.4%、2011年: 46.7%と15%程度低下している。
これは2007年に日本泌尿器科学会が「小径腎癌に対する治療ガイドライン」を作成し、部分切除を薦めたためである。
第二に、全摘術の減少にもかかわらず、手術対象となる腎癌の症例実数が急激に増加している。2001年には820例だったものが、2011年には2317例と、2.8倍に増えている。これは世界的傾向で、もともと発がん率は加齢と共に対数曲線で増加して行くから、「高齢化社会」の影響をもろに受けているのである。
「小径腎癌で全摘された腎臓」はバックテーブルで修復して、移植に利用可能であるから、利用可能数を計算すると、表に右端の列に示すように、2001年の582個から2011年には1082個に増えたことになる。これが「がん拠点病院」で「捨てられている腎臓数」である。
これは小径腎癌が出来ている部位や深さに問題があり、「部分切除」では再発や術中ミスの危険性があり、全摘が選択されたものであり、アメリカの「部分切除論者」キャンベルも「4割は全摘するしかない」といっているから、ほぼ理論的限界値に近づきつつあると見て良いだろう。
私と藤田保健衛生大学の堤教授は、「小径腎癌の80%が全摘される」という仮定に基づき、「年間2000個の腎臓が移植に利用可能」という推計値を出していたが、全摘率が40%に落ちても、腎癌の発生率が3倍に増加すれば、利用可能数は減らないわけである。いま、日本の死体腎移植数は、1型糖尿病の患者のために「膵腎同時移植」が優先されているため、一体から1個しか透析患者を救うのに利用できない。だから高原史がいうように、「100年待ち」になったのである。
2011年の実績を見ると、膵腎同時移植20件、腎移植182件である。移植希望登録後の待機患者の年間死亡率は10%である。今年7月末の腎移植待機患者数は1万3, 000人である。年間200個に満たない死体腎で、年間死亡リスク10%の患者をどう助けるのか? 仮に修復腎に1%のリスクがあっても(実際には1%よりはるかに低い)、患者なら移植を選ぶだろう。それを禁止するのは殺人を放置するに等しい。
年間2000個以上の人の生命を助ける「宝の山」がありながら、嫉妬のためにそれを禁止しようとする学会はクレージーだ。
この表を見ると、「修復腎移植」の未来は明るい。死体の臓器にリサイクルは許されて、どうして患者の臓器のリサイクルは許されないのか?誰が考えてもおかしいではないか。患者に十分に説明を行い、納得して提供してくれるのを、学会が禁止する権限がどうして発生するのか?公開シンポジウムで、きちんと説明してもらいたいものだ。
第三に、表1を見てもらいたい。ここには「小径腎癌」と診断されて、術中または術後の病理診断で「良性」と診断された症例のパーセントが示されている。
腎臓はがんの疑いのある場合、針生検は禁忌で、CT等の画像診断によらざるをえない。術中迅速病理診断も100%確実ではない。だから泌尿器科医も病理医も「疑わしきは罰する」という態度をとる。
ベテラン泌尿器科医の話を聞いたら、小径腎腫瘍で術中病理診断が「腺腫」(良性)ということだったので、部分摘出にとどめ、移植に使用したら、2日後、病理が青くなってとんできて、「腎癌でした!」といったそうだ。レシピエントと話しあって、「取り出してほしくない」というのでそのままにしたが、その後何ともないそうだ。
表2の「良性」の列は、4.4~6.1%が全摘後に良性腫瘍と判明したということである。
8月16日の「5学会記者会見」で、高原史は何といったか…
「小径の腎腫瘍には良性腫瘍が10~20%含まれるため、腎全摘をすると過剰治療となる。だから部分切除を選択すべきである。」
この根拠は自前のデータではなく、癌研有明病院からの176例の論文と韓国の論文ではないか。よく恥ずかしくないものだ。大仰な記者会見をするのなら、ちゃんと自前の資料を用意しろ。それが学術団体というものだ。
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