【ゴジラ】
8/13午後、久しぶりに映画館に出かけ米2014映画「ゴジラ」を観てきた。内容要約はここにある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/GODZILLA_%E3%82%B4%E3%82%B8%E3%83%A9
米1998年版の「ゴジラ」はニューヨークを襲うという荒唐無稽なものだったが、今回のものは違う。
1954東宝映画「ゴジラ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ゴジラ_(1954年の映画)
の伝統と思想をちゃんと受け継いで、現代的な問題提起をした娯楽作だ。
映画を見て気がついたこと、
1) 1950年代のビキニ水爆実験による放射能のせいでゴジラが生まれるという設定は同じ。
2) フィリピンの炭坑で巨大恐竜の化石が発見され、それを日本人「芹沢」(渡辺謙)を含む科学者が調査する。
この年代をWIKIは1999年としているが、これは主な事件がその15年後に起こるという設定なので2014 -15=1999となっているのであろう。
富士山を後ろに控える駿河湾にある原発が巨大地震により破壊される事件が、フィリピンのエピソードと同時に起こっており、これはむしろ2011/3の福島原発事故をシンボライズしていると見るべきだろう。その15年後なら2026年のことだ。これは迫りくる「東海大地震」への警告も発している。
3) 1954年の「ゴジラ」で芹沢博士を演じたのは平田昭彦だったが、その芹沢が今回も出てくる。そしてゴジラを破壊するために核兵器を使うという米軍司令官に対して、反対する芹沢(彼の発音はわざと日本人英語のGoziraになっている。ゴジラはGorillaとKuziraの合成語だが、英語ではGodzillaが定着している)は、ポケットから古い銀の懐中時計を取り出しふたを開けて、止まった時刻を示し、こういう。
「1945年8月6日、8:15分、ヒロシマ… 父の遺品です。」
メッセージは明瞭だ。芹沢は「自然には復元力がある。原子力の使用はそれを妨げるだけだ」という。
4) 今回の映画では悪(evil)の象徴として「ムートー」(MUTO=Massive Unidentified Terrestrial Object)という雌雄2匹の巨大な有翼の四足動物が登場する。一見巨大昆虫のように見えるが、脊椎棘突起が見え、脊椎動物である。
ゴジラが被爆により生まれた怪獣であるのに対して、ムートーは核燃料そのものをエネルギーとして生きる、より進化した怪獣で、沈没したロシア原子力潜水艦を餌にして生きてきた。ムートーは強力なパルス電磁波を発し、すべての無線、電力を無力化させる能力がある。
これに対してゴジラはムートーと戦う善(goodness)である。但し海中から出るとき津波が起こる。
5) ムートーは「立ち入り禁止区域」になっている「東海原発」を襲った後、ハワイを襲い、ついで米本土ネヴァダの「核廃棄物処理場」に餌を求めて向かう。
後は通常の都市パニックだが、CG映像には迫力がある。
6)日本の東海地方にある「ジャンジラ原発事故」で、2011年に妻を亡くした原発技術者ジョー・ブローディの息子フォードは、15年後、米海軍の爆発物処理専門将校になってサンフランシスコに住んでいる。
映画後半の主役は彼である。
7)ムートーの雌雄2頭がサンフランシスコを襲い、巣作りを始める。米軍は核ミサイル2発を列車で輸送し、ムートーを破壊しようとするが、1発はムートーに食われてしまう。
ゴジラは石油コンビナートを破壊し、ガソリンのプールを作り、ムートーを火攻めにしてサンフランシスコを守ろうとする。ガソリンを吸い込んで自ら火炎放射器となり、ムートーの口から火炎を吹き込んで殺す、というシーンは残酷だが面白い発想だと思った。
8) ムートーを破壊するのに、弾頭の無線遠隔爆破ができないと知った司令官は、爆発物処理班に「高度6000メートルで輸送機から降下し、アナログで爆発させよ」と命じる。「ただし隊員の救出はできない。自力帰還せよ」という。思わずハッと息をのんだ。これは特攻隊の思想だ。これがアメリカ人にも受け入れられるのか…。
ともかく20人ほどの処理部隊は、酸素マスクをつけて輸送機からジャンプし、10人ほどが集合予定地点にたどり着く。鉄橋を破壊され墜落した列車から核弾頭を回収するが、ふたの鍵が壊れていて、爆弾にアクセスできない。ブローディ大尉は、何とか弾頭を自動ナビ操縦船に乗せ、航空母艦に向けて出発させた後、力尽きて埠頭に倒れる…。
その後は、アメリカ映画らしいハッピーエンドになるところが、救いか。
老人割引に「便乗値上げ」が加わり1100円になっていたのが、しゃくだったが、こんどは「日本語吹き替え3D」でもう一度みたいと思った。日本語字幕版は2Dだったからだ。
原発廃止、核兵器廃絶というメッセージが明瞭に伝わってくる娯楽映画の傑作だと思う。
8/13午後、久しぶりに映画館に出かけ米2014映画「ゴジラ」を観てきた。内容要約はここにある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/GODZILLA_%E3%82%B4%E3%82%B8%E3%83%A9
米1998年版の「ゴジラ」はニューヨークを襲うという荒唐無稽なものだったが、今回のものは違う。
1954東宝映画「ゴジラ」
http://ja.wikipedia.org/wiki/ゴジラ_(1954年の映画)
の伝統と思想をちゃんと受け継いで、現代的な問題提起をした娯楽作だ。
映画を見て気がついたこと、
1) 1950年代のビキニ水爆実験による放射能のせいでゴジラが生まれるという設定は同じ。
2) フィリピンの炭坑で巨大恐竜の化石が発見され、それを日本人「芹沢」(渡辺謙)を含む科学者が調査する。
この年代をWIKIは1999年としているが、これは主な事件がその15年後に起こるという設定なので2014 -15=1999となっているのであろう。
富士山を後ろに控える駿河湾にある原発が巨大地震により破壊される事件が、フィリピンのエピソードと同時に起こっており、これはむしろ2011/3の福島原発事故をシンボライズしていると見るべきだろう。その15年後なら2026年のことだ。これは迫りくる「東海大地震」への警告も発している。
3) 1954年の「ゴジラ」で芹沢博士を演じたのは平田昭彦だったが、その芹沢が今回も出てくる。そしてゴジラを破壊するために核兵器を使うという米軍司令官に対して、反対する芹沢(彼の発音はわざと日本人英語のGoziraになっている。ゴジラはGorillaとKuziraの合成語だが、英語ではGodzillaが定着している)は、ポケットから古い銀の懐中時計を取り出しふたを開けて、止まった時刻を示し、こういう。
「1945年8月6日、8:15分、ヒロシマ… 父の遺品です。」
メッセージは明瞭だ。芹沢は「自然には復元力がある。原子力の使用はそれを妨げるだけだ」という。
4) 今回の映画では悪(evil)の象徴として「ムートー」(MUTO=Massive Unidentified Terrestrial Object)という雌雄2匹の巨大な有翼の四足動物が登場する。一見巨大昆虫のように見えるが、脊椎棘突起が見え、脊椎動物である。
ゴジラが被爆により生まれた怪獣であるのに対して、ムートーは核燃料そのものをエネルギーとして生きる、より進化した怪獣で、沈没したロシア原子力潜水艦を餌にして生きてきた。ムートーは強力なパルス電磁波を発し、すべての無線、電力を無力化させる能力がある。
これに対してゴジラはムートーと戦う善(goodness)である。但し海中から出るとき津波が起こる。
5) ムートーは「立ち入り禁止区域」になっている「東海原発」を襲った後、ハワイを襲い、ついで米本土ネヴァダの「核廃棄物処理場」に餌を求めて向かう。
後は通常の都市パニックだが、CG映像には迫力がある。
6)日本の東海地方にある「ジャンジラ原発事故」で、2011年に妻を亡くした原発技術者ジョー・ブローディの息子フォードは、15年後、米海軍の爆発物処理専門将校になってサンフランシスコに住んでいる。
映画後半の主役は彼である。
7)ムートーの雌雄2頭がサンフランシスコを襲い、巣作りを始める。米軍は核ミサイル2発を列車で輸送し、ムートーを破壊しようとするが、1発はムートーに食われてしまう。
ゴジラは石油コンビナートを破壊し、ガソリンのプールを作り、ムートーを火攻めにしてサンフランシスコを守ろうとする。ガソリンを吸い込んで自ら火炎放射器となり、ムートーの口から火炎を吹き込んで殺す、というシーンは残酷だが面白い発想だと思った。
8) ムートーを破壊するのに、弾頭の無線遠隔爆破ができないと知った司令官は、爆発物処理班に「高度6000メートルで輸送機から降下し、アナログで爆発させよ」と命じる。「ただし隊員の救出はできない。自力帰還せよ」という。思わずハッと息をのんだ。これは特攻隊の思想だ。これがアメリカ人にも受け入れられるのか…。
ともかく20人ほどの処理部隊は、酸素マスクをつけて輸送機からジャンプし、10人ほどが集合予定地点にたどり着く。鉄橋を破壊され墜落した列車から核弾頭を回収するが、ふたの鍵が壊れていて、爆弾にアクセスできない。ブローディ大尉は、何とか弾頭を自動ナビ操縦船に乗せ、航空母艦に向けて出発させた後、力尽きて埠頭に倒れる…。
その後は、アメリカ映画らしいハッピーエンドになるところが、救いか。
老人割引に「便乗値上げ」が加わり1100円になっていたのが、しゃくだったが、こんどは「日本語吹き替え3D」でもう一度みたいと思った。日本語字幕版は2Dだったからだ。
原発廃止、核兵器廃絶というメッセージが明瞭に伝わってくる娯楽映画の傑作だと思う。
小人の双子美女も。