ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【アブとハチ】難波先生より

2015-05-12 15:29:31 | 難波紘二先生
【アブとハチ】
 4/21の朝も気温11℃と寒かった。勝手口の外壁にミズアブの仲間と思われる体長1cmくらいの虫が止まっていた。接写してよく見たら、黒い棍棒状のハルテーレ(平均棍)が胸部後端から突き出していた。(写真1)こんなに短くては、「バランス」にもジャイロコンパスにも役立ちそうにない。
 
 4/22の昼前、用足しに生ゴミ捨て場に行ったら、赤紫の小さなトランペットみたいな花が咲いていて、沢山のアブが吸蜜していた。(写真2)

 捕虫網ならぬ「漁網」でやっとこさ一匹をつかまえ、アセトン小瓶にいれて、USB用の標本を作った。動きが速いから、写真ではハルテーレの有無と形状がわからない。
 低倍のUSB倍率でのぞいて驚いた。羽根が4枚ある。これは「アブ」ではない。

 体長14mm位で、体長より長い黒紫色の触角を持っている。(写真3)
 

 春に出現し、これに該当するものは私の図鑑では「ニッポン・ヒゲナガハナバチ(Tetralonia nipponensis)」しかない。Tetra-は「4つの」という意味だが、loniaという言葉の語幹が、ギリシア語、ラテン語の辞書で見つからないので、属名は意味不明だ。
 腹側を観察すると、口器はカラスのくちばしみたいに、固くてまっ黒で、長く飛び出していた。胴体にも脚にもびっしりと長い毛が生えていて、「ああ、これで花粉を媒介するのか…」と納得がいった。腹側の体毛には花粉粒子の付着も認められた。
 胸節をていねいに観察したが、ハルテーレに相当する器官は見えなかった。これはハルテーレが「後翅の退化したもの」であるなら、翅を4枚持つ「脈翅類」であるハチ類にないのは当然だ。

 今まで、「尻で刺すのがハチ、血を吸うが針で刺さないのがアブ」とぼんやり覚えていたが、今回の観察で翅が2枚しかない「双翅目」と4枚の「脈翅目」、それにハルテーレ(平均棍)の有無が関係することがよくわかった。
 年取ってもこうやってお金をかけないで、勉強することがあるのは楽しい。
 
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