【湯島の白梅】
「春は名のみの風の寒さよ…」と、このメルマガで嘆いたら、大阪の細田さんが東京の湯島天神で撮影したという梅の花(紅梅)の写真を送ってくれた。
ほころびかけた梅の花を見ていたら嬉しくなって、つい
<「湯島通れば想い出す、お蔦、主税の心意気…」
という歌謡曲が昔ありました。泉鏡花『婦系図』が映画化された時の主題歌ですが、お若いからご存じないかもしれませんね…。>
とちょっと挑発的な返事を出したら、何と1959年生まれだが、子どもの時に映画を見たことがあるという。
たぶん、衣笠貞之助「婦系図:湯島の白梅」(1955)であろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A9%A6%E7%B3%BB%E5%9B%B3_%E6%B9%AF%E5%B3%B6%E3%81%AE%E7%99%BD%E6%A2%85
父親に連れられて小学校の頃、よく映画館に行ったそうだ。あの頃は、テレビが普及し始めて、対抗するために映画館は2本立て、3本立てだった。
ただ映画は覚えているが、歌は記憶にないとのこと。
この歌は手持ちの「昭和歌謡曲集」に載っていないのでネットを探したら、YOUTUBEに小畑実と榎本美佐江のデュエットがあった。
https://www.youtube.com/watch?v=gazZ2_UVX5g
3番の歌詞を読んで驚いた。
<青い瓦斯灯 境内を
出れば本郷 切り通し
あかぬ分かれの 中空に
鐘は墨絵の 上野山>
これは湯島天神の位置と本郷町の切り通しと上野寛永寺の鐘堂の位置関係がわからないと、理解できない歌詞だろう。「瓦斯灯」はむろん1955年にはないが、鏡花が『婦系図』を発表した明治40年にはあった。
私はこの歌を3番まで聴いたことはないが、画面で歌詞を同時に読んだから理解できたので、本郷の地理が頭に入っていない聴衆には、おそらく意味がとれなかったのではないか、と思う。
ことに「鐘は墨絵の上野山」という一節が難解だ。
「墨絵」とはなんぞや?湯島天満宮を出て、瓦斯灯のついた本郷通りの切り通し坂から見ると、上野の山が墨絵のように見え、寛永寺の晩鐘が聞こえて来る、という意味だろうか?
私見では、本郷から上野の山の方向を見ると、山の向こうに隅田川がある。この「隅江」と「墨絵」がかけことばになっているのではないか、と思う。
2番の歌詞に「堅いちぎりを義理ゆえに 水に流すも江戸育ち」という文言がある。
ぜひ「江戸育ち」の方から、私流の解釈が間違っているかどうか、ご教示を願いたいものだ。
それにしても、昔の流行歌には、けっこうむつかしい文句が入っていたものだなあ…
「春は名のみの風の寒さよ…」と、このメルマガで嘆いたら、大阪の細田さんが東京の湯島天神で撮影したという梅の花(紅梅)の写真を送ってくれた。
ほころびかけた梅の花を見ていたら嬉しくなって、つい
<「湯島通れば想い出す、お蔦、主税の心意気…」
という歌謡曲が昔ありました。泉鏡花『婦系図』が映画化された時の主題歌ですが、お若いからご存じないかもしれませんね…。>
とちょっと挑発的な返事を出したら、何と1959年生まれだが、子どもの時に映画を見たことがあるという。
たぶん、衣笠貞之助「婦系図:湯島の白梅」(1955)であろう。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A9%A6%E7%B3%BB%E5%9B%B3_%E6%B9%AF%E5%B3%B6%E3%81%AE%E7%99%BD%E6%A2%85
父親に連れられて小学校の頃、よく映画館に行ったそうだ。あの頃は、テレビが普及し始めて、対抗するために映画館は2本立て、3本立てだった。
ただ映画は覚えているが、歌は記憶にないとのこと。
この歌は手持ちの「昭和歌謡曲集」に載っていないのでネットを探したら、YOUTUBEに小畑実と榎本美佐江のデュエットがあった。
https://www.youtube.com/watch?v=gazZ2_UVX5g
3番の歌詞を読んで驚いた。
<青い瓦斯灯 境内を
出れば本郷 切り通し
あかぬ分かれの 中空に
鐘は墨絵の 上野山>
これは湯島天神の位置と本郷町の切り通しと上野寛永寺の鐘堂の位置関係がわからないと、理解できない歌詞だろう。「瓦斯灯」はむろん1955年にはないが、鏡花が『婦系図』を発表した明治40年にはあった。
私はこの歌を3番まで聴いたことはないが、画面で歌詞を同時に読んだから理解できたので、本郷の地理が頭に入っていない聴衆には、おそらく意味がとれなかったのではないか、と思う。
ことに「鐘は墨絵の上野山」という一節が難解だ。
「墨絵」とはなんぞや?湯島天満宮を出て、瓦斯灯のついた本郷通りの切り通し坂から見ると、上野の山が墨絵のように見え、寛永寺の晩鐘が聞こえて来る、という意味だろうか?
私見では、本郷から上野の山の方向を見ると、山の向こうに隅田川がある。この「隅江」と「墨絵」がかけことばになっているのではないか、と思う。
2番の歌詞に「堅いちぎりを義理ゆえに 水に流すも江戸育ち」という文言がある。
ぜひ「江戸育ち」の方から、私流の解釈が間違っているかどうか、ご教示を願いたいものだ。
それにしても、昔の流行歌には、けっこうむつかしい文句が入っていたものだなあ…
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