ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【移民】難波先生より

2013-04-03 12:56:24 | 難波紘二先生
【移民】シンガポールのリ・カンユー元首相が、こういう発言をしている。
 <3月21日、シンガポールの聯合早報は、リー・クアンユー(李光耀)元首相の「シンガポールの成功は国民がわれわれに寄せる信頼から生まれた」と題した論説を掲載した。リー元首相はそのなかで、「国には人が必要であり、若者が先端科学技術製品や素晴らしい飲食サービスにお金を払い、国の経済を動かすことが必要だ。日本のように移民を拒絶していたら、国家は滅亡してしまう。そうなる前に、日本は政策を変えるだろう」と予測している。
 リー元首相は「日本社会の深刻な高齢化や経済の停滞という今日の苦境は、移民の拒否に関係している」と指摘。日本は少子高齢化に悩みながらも、移民に対しては非常に保守的で厳しい政策をとっている。>
 https://mail.google.com/mail/?hl=ja&shva=1#drafts


 私は若いときに、オーストラリアに移民しようかと真剣に考え、調べたことがある。1970年代のことだ。当時オーストラリアは専門職や技術職の移民を歓迎していた。私の分子生物学の恩師がシドニーの研究所で働いていたことも関係した。
 日本では移民というと、かつてのアメリカやブラジルなどへの移民を連想しがちだ。
 今は、時代が違う。「安い労働力」を輸入しようと思わず、大卒の技術者や専門職に移民の道を開くことから始めたらよいのである。人手不足が問題になっている看護師などは短大卒でもよかろう。要は、日本語が読み書き、話せればよいだけだ。

 米国の場合、毎年若い移民が何十万に人とやってくる。彼らが所得税、消費税、社会保険料を払ってくれる。アメリカだって「少子高齢化」現象は起きているが、「社会」としてそうならないのは、若年層を移民が補充しているからだ。日本も早く見ならったらよかろう。


 高橋幸春『蒼氓の大地』(講談社)を読了した。高校生の頃「戦艦シュペー号の最後」という映画があった。ドイツ戦艦シュペー号が大西洋で英国海軍と戦い、傷ついて中立国ウルグァイのモンテビデオ港に入港するが、必要な修理を終えた後、英国海軍の軍艦が包囲する中、単艦で出港し自沈するという物語だ。ナチス宣伝相ゲッペルスも出てきた。
 私はブラジルも同様に第二次大戦では中立国だったものと誤解していた。多数の日系移民を抱えながら、ブラジルは日本と国交を断絶し、日本大使館、総領事館を閉鎖し、移民の旅行を禁じ、資産を凍結した。母国との通信も禁じた。
 これが敗戦時に日本移民の90%が日本の敗戦を信じない「勝ち組」と、ポルトガル語紙やラジオ放送の報道を信じた10%の「負け組」に分かれた大きな要因であり、その後の両派の武力闘争の原因であることがよくわかった。


 広島と天草にルーツを持つブラジル移民たちやその血縁のものでアメリカに移民した人たちのその後を、何世代にもわたって追跡調査するのは大変だったとろう思う。しかしこの作品を読むと、移民がその国家の一因として統合(integrate)されて行くというのは、こういうことだと思う。今では日系人はブラジル社会の重要な成分となっている。
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