ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【シーラカンス】難波先生より

2013-07-25 12:09:04 | 難波紘二先生
【シーラカンス】英語ではCoelacanthと書く。肺魚の親類だが学名の意味は不明だ。三葉虫とならんで、「生きた化石」とも呼ばれる。厳密にはCrossopterygiia(肉鰭類)に属する。


 マダガスカル島周辺の東アフリカの深海とインドネシアの深海に棲息していることが知られている。


 7/23の「中国」と「産経」がまったく同じ記事を載せている。(添付1)
よって元は共同通信の配信とわかる。「毎日」は載せていない。
 記事自体はインドネシア種と東アフリカ種のDNA差はほんどないことを報じ、それが米科学誌に掲載になったことを書いているだけのガセネタ。
 どうせ日付まで書くなら「サイエンス」と書いたらどうだと思う。


 DNA差が5%以内なら普通は同一種として扱う。但し種の区分に「交配可能かどうか」は決定的に重要で、オサムシなど生殖の構造の違いで種が分かれている。身体の他の部分の遺伝子に大きな違いがなくても、生殖器のかたちを決める遺伝子が違えば、交尾できないので別種が生まれる。



 記者が書き落としているのは、写真が「メスの体内から見つかった稚魚」であることの意味だ。これはシーラカンスが「卵胎生(Ovoviviparity)」であることを意味する。硬骨魚類ではウミタナゴ、爬虫類ではマムシが知られている。シーラカンスが卵胎生であることは、今度はじめて明らかになったのではないか?


 もう一つ、重要なことがある。「肉鰭類」というのは、胸びれと腹びれがあり、いずれも中に骨があり、外に筋肉がついていて、海底を歩行することができる。元は肺を持っていたので、有明海のムツゴロウよりも効率的に陸上を歩行できた。


 だから両生類の祖型なのだが、面白いことに指が六本ある。(添付2)
 時々人間にも「多指症(Polydactylia)]といって、6本指の人が生まれるが、シーラカンスと同じ遺伝子が働くためである。記事には「人間の四肢形成」のことが書いてあるが、記者が理解して書いたとは思えない。


 通信社の仕事はニュースを流すことで、ニュースの重み付けをし、解説を付けるのが新聞社の仕事である。まったく同じ記事を配信元の表示もなく載せ、解説も載せられないようでは新聞社といえない。最近では社説まで、共同通信配信のものを使う地方紙が増えているというが、なにあれはだれも読まないからどうでもよい。お飾りだ。それよりも社会面に載せる記事はもっと慎重に扱ってもらいたい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【擱筆】難波先生より | トップ | 【Carpe diem】 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

難波紘二先生」カテゴリの最新記事