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ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【書店】難波先生より

2012-09-20 13:00:02 | 難波紘二先生
【書店】久し振りに東広島市の「森書店」という、古くからある個人書店に行った。「産経」の書籍広告から予想はしていたが、「領土問題」、「日中関係」、「日韓関係」、「東京裁判の見直し」、「古事記、日本書紀の解説書」のたぐいが、バッと平棚を占めているのにはビックリした。「竹島問題」と「尖閣問題」で、日本は一挙に右寄りに動きつつあるようだ。18日「産経」は一面に「天孫降臨と神武東征」を歴史的事実として報じていた。


 宝島社のMOOK「日本人が知らない領土の真実」(\1,200)というのだけを買う。佐藤優「読書の技法」(東洋経済新報社, \1,500)を「月平均300冊、多い月は500冊以上」読む、というあきれた帯の文句に釣られて買う。蔵書数4万冊で、自宅と自宅近くの仕事場と箱根の別荘に置いてあるそうだ。


 文科系では福田和也と佐藤優がいま、一番多読で、多産だろうか…
 近くに、福田和也「病気と日本文学:近現代文学講義」(洋泉社新書, \920)があったので、これも買う。(これは戻って一瞥したら、「羊頭狗肉」の本だった。「と」を使うのなら「病気」と「文学」の両方に比重が平等にかかっていないといけない。これは「病気になった日本文学者の作品」を解説したものであり、その「病気」とは通説を一歩も出ていない。)秦郁彦「病気の日本近代史」(文藝春秋, 2011)にあやかったタイトルだが、内容はぜんぜん違う。


 文藝春秋編集部にいた和賀正樹氏が「熊野・被差別ブルース」(現代書館, 2010)という本を出しているのに気づき買う。故中上健次の兄貴分だった「新宮の突破者」田畑稔を取材することにより、中上がとり組んだ「差別」の問題を明らかにし、新宮という土地と中上健次の世界を明らかにしようという試みだ。和賀さんには「覚悟としての死生学」(文春新書)を出すときにお世話になった。
 那智新宮には何回か行ったことがあるが、中上作品は読んだことがなく、天然記念物「浮島の森」のすぐ傍が、中上が生まれ育った「路地」()だということを初めて知った。


 広島大文学部卒の作家大下英治が「小沢一郎と田中角栄」(角川SSC新書,2012/6, \950)を出している。大下は田中角栄とその弟子である小沢一郎を、「反米自主独立の政治家」と位置づけており、その視点から近年、いくつかの政治小説を書いている。「福田vs小沢 大連立の乱」(徳間文庫, 2007)は安倍内閣の辞任を受けて成立した福田内閣のときに、読売のナベツネのあっせんで、民主党代表小沢一郎と自民党党首福田康夫が大連立を協議し、合意に達したものの、民主党の多数が反対し、小沢が代表を辞任することでけじめをつけた、という事件だ。
 
 小説だが人物も場所も実名で出てくるし、何より書き下ろし出版だから、ほとんど同時進行で取材・執筆がおこなわれている、と考えられた。これは取材源にそうとう深く食い込んでいないとできない。
 そういうわけで「小沢一郎と田中角栄」も読むのが楽しみだ。


 オランダ・アムステルダム大学名誉教授のK.V. ウォルフレンが「日本を追い込む5つの罠」(角川新書, 212/3, \940)という本を出している。「5つの罠」には1)TPP, 2)緊縮財政, 3)反「脱原子力」, 4)沖縄問題, 5)「権力の濫用」に対する国民の無関心が、あげられている。これまで彼が「日本権力構造の謎」、「人間を幸福にしない日本というシステム」、「誰が小沢一郎を殺すのか?」などで展開してきた議論を5つにしぼったものだ。
 領土問題はふれてない。


 いささか付け焼き刃的だが唐亮「現代中国の政治:<開発独裁>とそのゆくえ」(岩波新書, 2012/6, \800)も買う。中国人だが早稲田の教授をしている。1963年生まれなので「文革」の被害にはあっていない。
 この「開発独裁」というのは一党独裁制のもとで経済だけが市場原理で動く(実際はそんなことはありえない)という現在の中国社会原理をさしている。著者は「中国経済は30年間にわたり年平均9%の成長を続け、1人あたりGDPが2011年に5,000ドルに達した」という。そこから「中間層の成長による社会の民主化」を展望しているが、PER CAPITA $5,000という数値は先進国の数字ではない。GDPが世界第二位なのは人口が日本の10倍あるためで、国民ひとりひとりはきわめて貧しい。


 国民総所得(GNI)の1人あたり額で比較すると、中国の7,640ドルは世界第80位で、81位のトルクメニスタン($7,490)より上、79位のエクアドル($7,880)より下であり、統計のある164ヶ国中中位を占めるにすぎない。(164ヶ国の中央値$6,965、平均値$10,822)「中間層」が育つには、PER CAPITA GNIが1万ドル以上必要である。中国はまだそのレベルに達していない。


 「地球の歩き方:中国 2012~13版」ダイヤモンド社, \ 1,800 も買った。危険で現地に行けないので、当初の「旅行計画書」にそって誌上トリップをする予定だ。
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