ある宇和島市議会議員のトレーニング

阪神大震災支援で動きの悪い体に気づいてトレーニングを始め、いつのまにかトライアスリートになってしまった私。

【総選挙後の憲法改正問題】難波先生より

2014-12-16 08:55:19 | 難波紘二先生
【総選挙後の憲法改正問題】
 12/15の新聞は「日経」の裏の文化面の連載小説「禁断のスカルペル」しか読むところがなかった。東京の投票率を見ると、50%を下まわっていて戦後最低という。J.S.ミルが『代議制統治論』(岩波文庫)で説いたように、直接民主主義が容易に独裁制に転化するという歴史的事実をみると、「民意」を問うには間接選挙がベターなのであり、近代民主主義国家はみな代議制を採用している。
 納税額と関係なく成人が皆1票を持つという普通選挙制では、階層別(年齢別、性別、所得階層別など)の投票率が重要な意味を持つ。投票率が下がると、強力な組織をもつ政党の得票率が向上し、「民意」(それを測る方法が他にあるとして)と解離することはありえる。
 歴史的には、1919年に成立したドイツ「ワイマール共和国」は1933年1月30日、ヒトラー首班内閣の成立により崩壊した。その直後の3月5日の自由選挙で、ヒトラー信任選挙で、ナチスが獲得した票数は全票数の約44%、288議席(定数583の49.4%)で、ドイツでナチスが議会の過半数を制したことは一度もなかった。
 ではヒトラーとナチスはどうやって「絶対独裁体制」を確立したのか。議会に4年間の時限立法として首相に議会の権限を委譲する「全権委任法」を出席議員の2/3以上の多数で可決(憲法改正に必要な賛成数)すれば、合法的に独裁制が成立するのである。このためにナチスは81議席を持つ共産党を非合法化し議席を奪った(議事堂放火事件のでっち上げ))。ついで第二党の社会民主党については、反対する議員の議場への入場を阻止した。
 この手法により、首相に1)国家予算の統制権、2)外国との条約の承認権、3)憲法修正の発議権などを与える「全権委任法」は1933年3月23日、議会で賛成441:反対94という圧倒的多数で可決された。
 石原慎太郎が国政に復帰する前に、シャイラー『第三帝国の興亡』(東京創元社、全5巻)を読みなおしていると「産経」に書いていたし、麻生副総理が「スマートに改憲するにはワイマール憲法のケースを参考にする必要がある」ともTV番組で述べたことがあるから、現行憲法の規定によらず、解釈改憲にもよらず、「集団的自衛権」の行使を法律上可能にする方策を、安倍内閣は検討していると思われる。
 12/15の新聞社説、政治部部長の論説などを読んでも、ポイントはずれのことばかり書いてあるが、実質信任投票に勝った自民党は長期安定政権を樹立したわけで、「戦後レジームの改革」を主要政策に掲げる安倍首相は、憲法改正に向けて新たな一手を打ち出してくると思われる。
 メディアにはもっと大局的で、洞察力のある報道を望みたいものだ。
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1 コメント

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Unknown (Mr.S)
2014-12-16 14:08:14
安倍政権の邪魔をするマスコミは、ヒトラーの手口そのもの。
集団的自衛権が今後どんなに重要かは中国に支配された時に気が付いても遅いんです。
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