ようやく YouTube に、新作を上げられました。
【落語にしてみた】江戸川乱歩「押絵と旅する男」
江戸川乱歩といえば、過剰なまでに猟奇的でおどろおどろしい描写で知られています。
今回の短編にもそのような描写があったのですが、それを完全に削り取って再構築したら、怪談噺というよりファンタジーになってしまいました。
聞いた話によると、いつも自分の作品に対して評価の辛い乱歩が、この短編については「まあうまく書けたのではなかろうか」と珍しく褒めたといいます。
もしかすると乱歩の猟奇的描写は出版社からのリクエストで(もちろん本人も得意だったけれど)、実は内面的にはファンタジスタの要素も持っていたのではないか、という気がしました。
二等車の客を車掌が確認しにこないはずはなく、弟が後をつけた日に限って「たまたま」相手を見つけるのは出来すぎています。
また覗きからくり屋が連続ものの押絵の中から1枚だけ売ってくれるはずもなく、もう日暮れだというのに浅草から日本橋まで往復して金を持っていっても、とっくに帰っているはず。
そんな矛盾だらけの文章にしてでも、乱歩は「兄が生きたまま押絵の中に入って人形の女性と結ばれる」というプロットを描きたかったのでしょう。
乱歩を見る目が、少しだけ変わった気がします。
さて、次の作品は新美南吉の「丘の銅像」です。
すでに叩き台を作れる直前まで、脚本はできています。
今月は無理としても、来月中には公開できるでしょう。