YouTubeに新作を上げました。
【落語にしてみた】夢野久作「狸と与太郎」
あの大作にして奇書でもある「ドグラ・マグラ」を書いた夢野久作が、こんなに短くてしゃれた佳品を作っていたとは。
出囃子とまくらを除いて、本編が約2分。今回は加筆も削りも演出もほとんどなく、ほぼ原型のまま演じました。
「だったら最初から落語じゃねえか、落語に『してみた』ではないじゃねえか」とのご指摘もあるでしょう。
しかし私の中では、落語と朗読は明確に違うのです。
まだ音声を記録する技術がなかった時代、落語は「速記」という形で文章に残されました。
ではその速記をそのまま覚えて読めば誰でも落語家になれるかというと、そうではない。
この微妙な違いを説明するのは非常に難しいのですが、とにかく違うのです。
立川談志は、落語を「人間の業の肯定」「イリュージョン」と表現しました。
桂枝雀は「緊張と緩和」といいました。
私は死ぬまでに「落語とは」といえる何かを具体的に持てるでしょうか。
残り時間が少ないので怪しいものですが、今後も演じながら探していきます。