盗人宿

いまは、わかる方だけ、おいでいただければ。

浮いて待て

2018-08-31 17:54:35 | にゃんころ
確かにボタンの横に「非常の場合以外は絶対に押すな」と書かれていたら、心の奥底で「押したらどうなるんだろう、押してみたい」と誰でも思うことは思いますよね(押さないけど)。

いや、知人にいわれたんですよ。

 「あれだけしつこく『近寄るな』といわれても、台風の海岸や川辺や用水路の様子を見に行って
  流される馬鹿がいる。あれはもしかして『近寄るな』といわれ続けるから余計にちかづきたがる
  のではなかろーか。
  しかもほとんどが老人であるのは、『いままで大丈夫だったから今回も大丈夫』という根拠の
  ない自信がそうさせるのではないだろーか」

いわれてみたら、そうかもしんない。
人間、指示待ち世代も困るけれど、何でも自信過剰な向こう見ずも困ります。

私は常日頃から、正月に喉に餅を詰まらせて死ぬジジババを、「餅老人」として春の季語にしてよいのではないかと考えています。
あれだけ毎年ニュースになるんだから「今年は小さく切って食べよう」と思えばいいものを、なまじ去年まで大丈夫だったから今年も大丈夫と思ってしまうのです。
食って詰まってから悔やんでも後の祭り。

秋の「きのこ老人」も、入れていいんじゃないかなあ。
毎年必ず、毒キノコを食って死ぬ馬鹿がいるでしょ。
しかもこれまでずっと山菜採りなどをしてきた人。
これもやはり「これまで大丈夫」の経験が過信を生み、油断を生んだが故の笑えぬ喜劇です。

さて、それではこの「流される馬鹿」を夏の季語にするには、何がいいでしょうか。

・水際老人
・河川の様子
・台風招き
・河原流れ
・過信老人(春にも秋にも使える)
・死に急ぎ(同上)
・末期の流れ
・過信水

うーん、どうにもスマートじゃないなあ。

私はスキューバダイバーですが、いくら水泳の手練れでも平常心を失うと、踝程度の深さの水でも溺れます。
不意に足元をすくわれたり鉄砲水で水に入ってしまった場合、いちばん難しいのがパニックにならない事です。

人間、暴れずに大の字で(私が「大の字」というと、違う意味であることが多いのですが)仰向けになれば、よほど重い服でない限りは顔が自ら出た状態で浮きます。
靴は脱いで空気をいれて両手で持てば、浮き袋の役を果たします。

これは「浮いて待て」といわれる日本で考案された危機脱出法で、とにかく浮いて呼吸を確保して救助を待つのです。
海外でもそのまま「UITEMATE」の名称で各国で指導が行われています。
ただし濁流に飲み込まれたりしたらこの姿勢は難しいので、何かにつかまる努力をした方がよいでしょうね。

いずれにせよ、なまじ自分がまだ元気だと思ってるじじい、ばばあ。
「行くな」といわれたら、行くな。
勝手に流されるぶんは自業自得だが、捜索で二次災害が起きたらどうするんだ。
いいからおとなしく、安全を確保して嵐が過ぎるのを待ちなさい。

それから、台風がきたら海に出て行くサーファー、お前らも家や避難所でおとなしくしてろ。
海上保安庁はお前たちのために命と税金をかけているのではない。

甘い?

2018-08-30 20:58:37 | にゃんころ
最近テレビだけでなく日常生活で、美味であると褒める事を「甘い」という人が多いと思いませんか?

確かにフルーツトマトなど意図的に糖度を上げることを目的とした食べ物なら、「甘い」は褒め言葉です。
しかし「甘いカニ」「甘いマグロ」なんて、うまいはずがないでしょう。
完全に「旨味・滋味」の呼び方を間違えているのです。

一般に哺乳類は生まれると、母乳やミルクなどで育ちます。
味のうち、まず「甘味=おいしい」と学習するわけです。
ある程度成長すると、乳でないもの(人間なら離乳食、肉食動物なら獲物、草食動物なら草など)を口にし始めます。
この味は嫌だ、おいしくない、といっても母親はもう乳をくれないので、無理にでも飲み込まないと餓死するだけです。

そうやって「辛味や酸味、苦味などもおいしい」と覚えていくのです。
同時に、苦味の中には毒のあるものが多いので、「この苦味は安全、この苦味は危険」なども同時に学んでいきます。

つまり、味の褒め言葉にまず「甘い」と口にしてしまう人は、甘味以外のうまさを何らかの事情で学べなかった「幼児舌」の持ち主なのです。
「何らかの事情」とはたいてい親による偏食、つまり子供のわがままに釣られて甘い食べ物を与え続けたり、子供が小遣いで何を買っているか目を光らせていない結果です。

テレビで「甘いー」「溶けるー」「まいうー」「外はかりかり中はとろとろ」しかいえなくても、グルメレポーターと呼ぶのだそうです。
料理を褒めるのに、そんな中途半端な表現はうんざりだし、表現したいのならひとことだけ、

 「おいしい」

これでいいんです。

もちろん作る方は、そうはいきませんよ。
何の風味がどれくらい効いているから何の味がどこまで活きるのか、しっかり理解して説明できるのが理想です(家庭料理はそこまで必要はないですけど)。

いずれにせよ、何でもかんでも「甘い」といいたがる人の舌は、信用しないのが吉です。

そろそろのはずですが

2018-08-29 14:01:40 | にゃんころ
小惑星探査衛星「はやぶさ2」が、8月中に小惑星リュウグウに1回目の着陸をするはずなのですが、まだなのかなあ。

もともとはやぶさ2は「ニュースの少ない衛星」です。
というより初代はやぶさのニュースが多すぎました。

リアクションホイール(姿勢制御に使う機械)はひとつを残して壊れる、化学スラスタ(同)は全滅、燃料は漏れる、通信は途絶える。
太陽電池で少しずつ充電し、再び信号を送ってきたのは3ヶ月後でした。

しかしその後もバッテリは壊れる、燃料はイオンエンジンのガスだけ、あさっての方向を向いたまま姿勢制御ができず、ようやく独楽のように回転させて安定させました。
ところがバッテリは予備回路でしか充電できず、充電に2ヶ月かかりました。

着陸を試みたものの転んでしまい、小惑星イトカワのサンプルを採取できたかはわからずじまい。
そのまま地球に帰還することになりました。

そして帰路について、ついに致命的な事態が起こります。
イオンエンジンが故障してしまったのです。これでは地球にたどり着く推力が足りません。
そこですでに故障しているエンジンAの部品1と、エンジンBの部品2を予備回路(よくつけておいたもんだ)で接続し、新たなエンジンαを作るという離れ業を使って乗り切りました。

ずいぶんと大雑把に説明してきましたが、実際はもっと複雑なトラブルでした。
興味をお持ちの方は図書館で関連図書を探してください。

2003 年に打ち上げられ、2007 年に帰還するはずがトラブル続きで 2010 年に帰還。
天文ファンはトラブルのニュースが流れるたびに一喜一憂し、何度も諦めかけては立ち直りました。
これも JAXA が「もしもの時」を徹底的に想定し、そのための回路や機能を搭載していたからこそ成し得た快挙です。

この話を元にしたおもしろい動画が作られました。

 https://www.youtube.com/watch?v=9cPLeWfil_w

誤字が1ケ所ありますが(×古川◯古河)、なかなかよくできています。

サンプルが入っている(であろう)カプセルを地表に返す軌道で切り離し、はやぶさは満身創痍でその役目を終えました。
後は大気圏で燃え尽きるだけです。
その時 JAXA ははやぶさに最後の「仕事」を与えました。

カメラを地球に向けて、燃え尽きるまで撮影しろ、と。

数枚撮影された写真は何も写っていませんでしたが、最後の1枚にだけ不鮮明ながら地球が写っていました。

JAXA の関係者は相次ぐトラブルにひたすらできる限りのことをし、運を天に任せましたが、考えてみれば小説や映画にこれほど格好のドラマチックな出来事はありません。
はやぶさを題材にした図書や映画がいくつも作られました。

立場を逆に考えてみましょう。
ドラマチックというのは、それだけ予定通りに行かなかったという事です。
これがはやぶさではなく新幹線で起きていたら、とんでもない話で非難轟々でしょう。
トラブルは、ないに越したことはないのです。

JAXA の責任者ははやぶさ2の打ち上げにあたり、「もうドラマはいらない。初代は『いける星』に行った。今回は『行きたい星』に、何のドラマもなく淡々と行って帰らせる」といいました。
現在まで、まさにその通りになっています。便りがないのはよき便り。

だから今月末にやるはずの1回目のタッチダウンの情報がないのが、気になるのです。

……あれ?
ネットのニュースでは1回目が 10 月だと書いてある。
私は確かに8月が1回目だとテレビで聞いたぞ。
どっちなんだ?

まあ「ニュースがない」んだから、私の勘違いでしょう。

シンクロでない?

2018-08-28 22:05:30 | にゃんころ
シンクロナイズドスイミングの名称が「アーティスティックスイミング」に変更されました。

決めたのは国際水連で、変更時期は未定とのことでしたが、現在行われているアジア大会ではすでに変更されています。
特に採点基準が大きく変わったわけではないようです。

……これから何て呼べばいいんだろう?

いや、正式名称を呼べばよいのでしょうが、これまで何十年も「シンクロ」といえばあの競技だったのに、いちいちそんな長い名前を呼べますか?
放送や報道するほうも大変だろうし、私たちも日常生活でわざわざ呼んでられませんよ。

単語を切り貼り(たとえばインターカレッジを「インカレ」など)しようにもどこをどう切ってどうつなげればいいか見当もつきません。
せいぜい頭文字をとって「AS(エーエス)」とでも呼ぶくらいしかありませんよ。
そもそもなぜ名前を変えたんだろうか。シンクロナイズドスイミングで世界的に浸透していたのに。


それで突然思い出した。
団体競技で「何々ジャパン」ってつけるの、やめない?

単に「日本」でいいし、どうしても何々ジャパンと呼びたいなら監督の名前でいいじゃん。
スキージャンプの「日の丸飛行隊」は何だか戦争を連想させるし、あれも勘弁かな。
愛称をつけたいなら、もっとセンスより競技の実力をつけてからですね。

ただ、「カーリング娘。」はよくできてると思う。実力もあるし。

無理もない

2018-08-27 17:30:39 | SM
このブログに毎日だいたいいくつアクセスがあるか、ご存知ですか。

平均して 20 台半ば、多い時で 30 台、少ない時は1桁です。

別にそれでいいというか、そりゃ大勢の人に読んでもらえるに越したことはない。
実際、ホームページのほうは 10 年間で 24 万以上のアクセスを頂戴しました。
もちろん読者の方が 24 万人いるわけではなく、何度も読んでくださる方がたくさんいるからてす。

別に私は1日何万アクセスとか「ブロガー」とかになりたくはありません。
しかし私のホームページとこのブログには、何度も読み返すだけの価値がある。
私はプロの物書きとして、胸をはってそういい切れます。

ただし「一部の人にとっては」です。

バブルの時代に「SM ブーム」というのがありました。
「女王様」と称する、黒革のボンデージウェアに鞭を持った網タイツの女性が、毎日のようにテレビのバラエティに登場しました。
「ブーム」とは、必ず終わるからブームといいます。
この傾向はほんの数年で消えていきました。
こんなのは主と隷の関係とは無縁の、形だけのものです。

ではさらに時を遡って、鎌倉、平安、奈良、いや飛鳥時代かもしれません。
権力者の男性(卑弥呼は信仰の対象として除外)は配下の女性を無理やりに手篭めにし、戦があれは敗者の女は強姦され慰み者にされ、勝者の子供を無理やり生まされたりします。

これらは SM と呼んでよいのかもしれませんが、少なくとも主と隷の関係とは無縁のものです。
被虐者が幸せを得られないからです。
縛られ、弄ばれ、おもちゃにされ、時には鞭で打たれ、それでも被虐者がそのことを望みそのことを幸せを抱けるからこそ、主と隷の関係は成立するのです。

私は鞭を3本持っています。
1本は4本の革を自分で編み上げた一本鞭。
よく映画や時代劇に出てきたり、カウボーイが使ってるやつですね。
これは本気で打つと後遺症が残るくらいの威力なので、適度な精神状態でないと使えません。

2本目は1枚の革を9本に割いて(スルメの足が1本足りないような状態)そのスルメの胴体にあたる部分(割いてないところ)を木の棒に巻いて接着したもの。
通称「ナインテール」といって、ただ痛いだけの叩き方もできれば、皮膚を裂くこともできてしまう物騒なものです。

そして3本目は、競馬で騎手が馬を叩いている、いわゆる乗馬鞭です。
これは自作できない(特殊なグラスファイバの棒や繊維が必要)ので、乗馬用品店でプロが使うものを買いました。
これで打つと先端部分の形の跡が体にくっきり残ります。これが美しくて私は好きなのです。

これらの鞭を使ったり、商品ならモザイクを入れないといけない姿で縛られて撮影されたり、バイブレータで半ば強制的にオーガズムに達せられたり、好き勝手に弄ばれても幸せを感じる。
これが一方的な被虐や折檻などとの決定的な違いです。


もしも SM に興味のある女性がいれば、相談には乗りますよ。
しかし主たる男性を見つけるのは至難の技です。
男の 99% 以上は「なんちゃってご主人様」でしかありませんからね。
最低でも私くらいの理論武装は、できなければ話になりません。
仲のよいご夫婦など、可能性はあるかと思いますが。

という訳で、このブログを彼氏や彼女に紹介しようという猫好きの人はいないだろうし(ホームページのほうならいるかもしれませんが)、訪問者数が劇的に増えることもないでしょう。
それでもいいんです。私は書ければ満足なのですから。

いちばん最後?

2018-08-26 14:28:24 | にゃんころ
物書きをやっておりますと、世間で使われる表現がいろいろと気になってまいります。

「いちばん最後」なんかがその典型ですね。
いちばん終わりのことを最後というのですから、2番目の最後というものはありません。
つまり「いちばん最後」とは「腹痛が痛い」といっているのと同じです。

「全然平気」も、全然平気ではないです。
本来「全然」の後ろには否定形、つまり「全然〇〇ない」と使うものです。
だから「全然大丈夫」や「全員似合う」は,大丈夫でもないし似合ってもいないことになります。

「勝利する」も耳障りですね。
「~する」は「行為の後ろにつく」もので、名詞の後ろにはつきません。
「運転する」「ドライブする」とはいうけど、「自動車する」とはいわないでしょ。
日本には昔から「勝つ」「勝利を収める」という立派な日本語があるのですから。

もともとこの「勝利する」を使い始めたのは、数十年前の学生運動の連中です。
「次の闘争には必ず勝利するぞ」と。
で、その連中が社会人になっても使いまくったものだから、まるで正しい日本語のように市民権を得てしまい、若い連中が「ネットする」「パソコンする」とかいうようになってしまったわけです。

まあこれは他にも下地があって、昔から「電話する」といいますよね。
私は親から躾けられて「電話をかける」といいますが、「電話する」は先ほどの「自動車する」と同じ意味で間違っているのです。

このあたりはすべての日本語が正しく使われているわけではないし、私も日本語学者ではないし、明治や大正の時代はいまと違うことばが使われていたのでの、あまり細かくいうのもどうなのかと思います。


ただ、どうしても許せないのは、「感動をありがとう」「勇気をもらった」です。

感動や勇気とは、もともと自分の中から湧き上がってくるもので、誰かに与えてもらうものではありません。
アジア大会で池江が6冠を達成して、そりゃ感動もするし勇気も湧いてきます。
しかし、それは池江が天性の才能と猛烈な練習によって得られたものを見て「間接的に」感動し勇気が湧くものであって、彼女から直接貰ったものではありません。

「感動した」「自分も勇気を持てた」でよいではありませんか。
相手がくれたのは、感動や勇気の「きっかけ」にすぎないのですから。


それからネットを使う人の多くに見られる傾向ですが、自分の発言のなかに「(笑)」を使う人がたくさんいます。
本来「(笑)」はインタビューなどで他人の発言を聞き、その相手が笑った時に使う技法であって、自分の発言につけるものではありません。
「わっはっは」「うふふ」とでも書けばよいではありませんか。

「w」に至っては、どれだけまともな事が書かれていても、使っているだけで「あ、この人は馬鹿だな」と思われてしまいます。


ほんの一部にすぎませんが、自分は使わないけれど他人が使って気になる、というより恥はかきたくないなあと思う表現に言及しました。
もちろん私も言語学者から見れば(ここも「言語学者が読めば」が正しい)、赤ペンが山ほど入るでしょうが、まあ数をこなせば同じミスでも「全体的な確率」は下がるので、あまりにみっともない間違いには気をつけながら毎日タイピングをしているわけでございます。

もう8月もあとわずか。残暑はまだまだ続きそうですが、世の中は夏休み明けに否応なく進みつつあります。
私は何十年も体重 50kg 前後を保ってきましたが、先日計ったら 43kg でした。
「10kg 減ったら癌を疑え」といわれるので、こんど精密検査を受けようと思っています。

という奴に限って、受けないんだよねえ。

夜 会

2018-08-25 14:42:14 | にゃんころ
風の噂に「中島みゆきが TOKIO に楽曲を提供している」と聞いたので、「宙船」をアルバム盤で聴いてみました。

さすが中島みゆき、と思う前に感じたのは、「あれ? 長瀬ってこんなにうまかったっけ?」でした。

私は小学生時代からいろいろな楽器をやっていまして、高校と大学ではバンドを組んでドラムを叩いていました。
プレーヤーとしての腕がプロで通用しないことは自覚していたので、主に PA(音響)を手がけ、システムを組んだり他のバンドの演奏時にミキシングコンソールを操作していました。
大学時代は音響会社でアルバイトをして、武道館のコンサートのスピーカーを積んだりしました。

その会社の社長から「お前、うちにこいよ。仕事はきついし給料は安いし、何よりお前の持ってるコウモリの耳は商売道具になるからな」と、そのままであれば音響屋になっていたはずなのですが、私はその道には進みませんでした。

私にはアレルギーがあって、すぐに鼻が詰まるのです。

皆さんも経験あるでしょ、風邪をひくと鼻が詰まって音がもやもや聞こえることが。
すぐにああなってしまのですよ。
私には絶対音感がありますし、ものすごい聴力の持ち主ですが、聞こえたり聞こえなかったりしたら話になりません。
音楽や音響は仕事にはできないから、あくまで趣味にしようと割り切っていました。

コンサートやレコーディングに関わっていたので、そっち方面は詳しいです。
話し始めると長くなるので、今回は「宙船」に絞りましょう。

長瀬の歌声を聴いて最初に感じたのは「音程が正しすぎる」ことです。

人間、どれほどうまい人でも、必ず声に自然な揺らぎがあるものです。
音痴でずれるのではなく、ほんの少しずれるからこそ生じる魅力。
彼の歌には、それがないのです。

もちろん、ずれているのを1音ずつ修正できる、そういう機械がスタジオにあるのです。
音程もタイミングも自由に変えられる機械が。
私がいじっていたのは40年前なので、いまではもう「完璧」な歌唱にできるでしょう。

それがいけないのです。
もう少しいいかげんに、わざと音をわずかに外したりタイミングをずらしたほうが、人間臭さが出て魅力があったりするものなのです。
演歌なんか特にそうでしょ。

長瀬の歌には、それがない。
採点するカラオケなら高得点でしょうけど、魅力がない。

そして次にライブ盤を聴いて、安心しました。
「あ、やっぱり長瀬は下手なんだ」と確認できました。

YouTube で、演奏はパクで歌だけライブ、という典型的な映像でした。
これはよくある手法で、楽器の指の動きと実際の音が全然違うのです。
まあ TOKIO はあの歳で「アイドルバンド」ですから、レコーディングには優秀なスタジオミュージシャンがつきます。
彼らの楽器の腕を云々するのは、酷というものでしょう。

そして最後に中島みゆきのアルバム盤を聴いて、ぶっ飛んだわけです。
何とすばらしい曲であることか。

中島みゆきを100点満点とすると、
TIKIO のアルバム 45点  ライブ 5点
というところでしょうか。


「中島みゆきオールナイトニッボン月イチ」は、来月が最終回だそうです。
もうとっくに還暦を過ぎて、次回の「夜会」の仕込みもせねばならず、深夜に生はもうきつくなったのでしょう。
録音でもいいのになあ。

あ、スカパーの基本セットを契約している人に、朗報。
中島みゆきの「夜会」、ここ数年の後半の作品が 11 月にチャンネル銀河で放送されます。
(前半の作品はすでに7月に放送されました)。
朗読劇でも、ライブでも、ミュージカルでもない。
すばらしい作品群です。ぜひ録画してお楽しみください。

あと3ヶ月、忘れないようにね。

早起きしたら

2018-08-24 07:04:52 | にゃんころ
読みが外れて、台風そのものは通り過ぎたものの、東京は暴風雨でございます。

いつも申し上げているように……あれ? ここではいってなかったっけ。

・台風は右フック
・風速は簡単に時速に換算できる

右フックというのは、台風は渦ですから風速はどの場所もほぼ同じです。
ところが「移動している」ので、進行方向の右上(真北に進んでいるなら北東の部分)には移動速度が加わって威力が増すのです。

逆に左側は移動速度のぶん相殺されて、威力が落ちます。
よく「直撃を受けたのにたいした事なかった」というのは、主にこれが原因です。

風速に関してはよく「45m」「注意しろ」とかいわれますが、秒速でいわれてもいまひとつピンときません。
世の中、秒速より時速でいうことの方が、多いですからね。

時速(m/s)を秒速(km/h)にするには、3,600 倍して 1,000 で割ればよいのですが、いちいちそんな計算をするのは面倒なので、

  4を掛けてそこから1割を引く

で求められます。

たとえば 45m といわれたら、4を掛けて180。そこから1割の 18 を引くと 162(だいたい160)。
時速 160 キロといえば、トラックが横転するほどの暴風です。
20m でも時速 72 キロ、傘が簡単におちょこになります。

別に試験問題ではないのですから、一の位まで正確に求める必要はありません。
「だいたいどれくらい」がわかればよいのです。

ついでに、少しは役立つ豆知識。
毎秒 1m は 3.6km/h。少しゆっくりめに歩くくらいです。
その 10 倍、毎秒 10m は 36km/h。ウサイン・ボルトはこれより少し速いくらい。
その 10 倍、毎秒 100m は 360km/h。カーレースの最高速くらい。

今年の天気は難儀ですねえ。梅雨は短かったし台風は多いし。
えーと、暴風雨なのを見て話し始めたのですが、他に何かいいたかったんだよなあ。
歳をとると記憶が怪しくなって……


あっ!













菅井きんさんが亡くなったんだった。

私は必殺シリーズは最初の必殺仕掛人(中村主水はまだおらず、林与一と緒形拳だった)からリアルタイムで観てきたので、仕置人での鉄の必殺技(首や背骨を外す様子のレントゲン動画)や、昼あんどんの中村家が登場したのは強く印象に残っています。

でも「婿殿!」の菅井きんさんを覚えている人は多くても、「太陽にほえろ!」で松田優作(ジーパン)の母親役だったのを覚えていない(それ以前に知らない)人も多いんじゃないかな。
まあジーパンがとっとと殉職してしまったので出演も短く、覚えてなくてもしかたないでしょうけどね。

必殺シリーズといえば、「新・必殺仕事人」で初めて出てきた三味線屋の勇次が、何といってもかっこいい。
三味線の黄色い弦を逆光で浮き上がらせる照明が、実にかっこいい。
中条きよしはこの役がなければ単なるエロ中年ですが、この役ひとつで許す。

いずれにしましても、菅井きんさんのご冥福をお祈りします。

本来であれば

2018-08-23 20:31:37 | にゃんころ
数ページの書類を十数種類、今週中に書いて提出するはずでしたが、その大部分の締め切りが再来週以降に変更になったので、そっちの方が五月雨になってしまいました。

そこで以前にも少し触れましたが、MLB・エンゼルスの(というより去年までファイターズにいた)大谷の事を、もう少し掘り下げて考えてみましょう。

私は大谷は投手としても打者としても、MLB で充分に通用すると評価しています。
そして日本のプロになった時から一貫して「二刀流」に反対してきました。

栗山監督やマスコミは盛んに「ベーブ・ルース以来 100 年ぶりの快挙」と持て囃したがります。
しかしルースは「最初は優秀な投手で、途中から優秀な打者になった選手」であって、投手としても打者としても凄かったのはほんの1年か2年です。
「ない」といってもよいでしょう。

たとえば 1917 年の成績を見てみます。

  38先発 35完投 24勝18敗 野手出場52試合142打席 本塁打2 打率.325

投手としてはものすごい成績ですが、野手としては規定打席にまったく足りません。
では次に、1920年の成績を。

  1先発 0完投 1勝0敗 野手出場142試合616打席 本塁打54 打率.376

今度は打者として猛烈な成績ですが、投手としてはほとんどゼロに近い。

ウィキペディアに各年の成績一覧が掲載されているので、よく読んでください。
ルースは投打共に凄かった選手ではありますが、投打「同時に」共に凄かった選手ではありません。

話を大谷に戻しましょう。

今年は早々に投手として脱落しましたから、体が完治して投打共に完璧ならば、という「たられば」の話をします。

監督は彼を中6日(週1回)で投げさせようとしています。
つまり1週間を、

  登板  完全オフ  ベンチスタート DH  DH  DH  DH

で回そうという目論見です。

すると、まず投げる方は規定投球回数が「試合数×1.0」ですから、試合数と同じで 162 イニング。
中6日で投げると 23 試合に投げられますから、すべて9回まで完投すれば規定投球回数に達しますが、実際は1試合で5か6イニングが平均なので、6とすると 138 イニング、とてもじゃないが足りません。
規定回数に達していないと、たとえ防御率がいちばんよくてもカウントされません。

打撃のほうも、規定打席は「試合数×3.1」なので ほぼ 500 打席。
週4日の DH で1日4打席とすると、代打を入れてもせいぜい400打席、こちらも足りません。

つまり彼らのいう「二刀流」とは、投打どちらも中途半端な選手、ということです。
どちらかに集中したルースとは全然違う。
これは彼にとってもエンゼルスにとっても、実にもったいないと私は思うのです。

彼は背丈があるので、ファーストなら向いているでしょう。
投手も打席に立つナショナルリーグのチームに移って中4日で投げて、たまに守備についてやはり打席に立つ。
これで規定投球回数も規定打席もクリアできる。
それができて初めて「二刀流」といえるのではないでしょうか。

まあいずれにせよ、今年は来月の下旬に1回投げるくらいでしょう。
同じ治療をしたマーくんはなかなか勝ち星が伸びないし、ダルビッシュは今季絶望、岩隈も戻ってこられない。
来年、全員がベストの状態で開幕を迎えられたら、またこの話題でもしましょうか。


とか何とかいってると

2018-08-23 14:19:48 | にゃんころ
いきなり時間がぽっかり空いてしまうものでして。

MLB・ナショナルリーグ西地区のアリゾナ・ダイヤモンドバックスは、ポストシーズンに向けて熾烈な戦いをしています。
きょうの試合が終わった時点で勝ち越し 15。地区優勝、いけるんじゃないかなあ。

ダイヤモンドバックスといえば十数年前、ランディ・ジョンソンとカート・シリングを擁して創立4年目でワールドシリーズを制したことで有名です。
相手はクローザーのリベラが全盛期のニューヨーク・ヤンキース。
いま考えればよく勝てたものです。
現在は平野がいることで、ご存知の人もいるでしょう。

そのダイヤモンドバックスに、ジェリー・ナロンというコーチがいます。
この人は「ある事」で地味に有名人です。

彼の書くメンバー表は、とても美しいのです。

 https://news.yahoo.co.jp/byline/kiyokotaniguchi/20180821-00093887/

試合の時は、互いに打順やポジションやブルペンメンバーなどを書いたメンバー表を作ります。
毎試合使い捨てなので適当に走り書きすれば用が足りるのですが、彼はそれをよしとしません。
まるで中世の公文書のようです。

そして彼は、英語圏でない国からきた選手を、その国の字で書くのです。

きっかけはイチローが渡米した時で、普通なら「SUZUKI」と書くところをカタカナで「イチロー」と書いた。
それ以来、日本や台湾の出身選手の名前は(どうやって調べるのかは企業秘密だそうですが)、漢字で書いています。

これを逆に日本にあてはめたら、つまり日本でアルファベットで書いたら、逆にそぐわないでしょう。
アルファベットしかないアメリカで、アルファベットでない名前を尊重してくれる人がいるから「ちょっといい話」になるわけです。


あれ? ダルビッシュはどっちなんだろう?