(本頁は「男鹿三山の花図鑑(6)盛夏編」の続きです。)
秋めいてくると男鹿三山では新たな花が次々と咲き出す。
その中には男鹿の固有種も幾つか混じっている。他の低山に較べると、男鹿は花の種類も量も多いなと感じる。
キツネノカミソリ Lycoris sanguinea
早春に出たカミソリのような葉は夏の間に枯れており、何も無いところからニュッと花茎を伸ばし、開花する。
五社堂の下や海岸林に多い。
2019/08/24 五社堂下のキツネノカミソリ群生
2020/08/10 キツネノカミソリ 2019/08/24 ツリガネニンジン
ツリガネニンジン Adenophora triphylla var. japonica
寒風山には多いが、男鹿三山には少ない。ただし五社堂上ではソバナと同じ場所で咲いている。
ソバナ Adenophora remotiflora
ツリガネニンジンに似るが、茎葉は常に互生。男鹿では森林内で見かける。
2019/08/24
オトコエシ Patrinia villosa
毛無山の登山道沿いにはオトコエシが多いが、オミナエシは見かけない。
なおオミナエシは寒風山に多く、男鹿三山では東斜面に少し有る程度。
2019/08/24
ミヤマセンキュウ Conioselinum filicinum
秋めいて来ると多く見かけるセリ科。丈は1m前後。
モミジガサ Parasenecio delphiniifolius
シドケの名で山菜として利用される。ただし同じ場所にトリカブトも多いので、採取時は注意されたし。
2019/09/04 ミヤマセンキュウ 2019/08/24 モミジガサ
ヒヨドリジョウゴ Solanum lyratum
ナス科、つる性の多年草。葉は卵形で下部に付いたものは基部が著しくくびれる。
2019/08/24
地味なラン科二種。
ミヤマウズラ Goodyera schlechtendaliana
コイチヨウラン Ephippianthus schmidtii
山頂近くの遊歩道沿いに多い。7月下旬頃から咲き出し、初秋まで長期間見られる。
2019/08/24 ミヤマウズラ 2019/08/02 コイチヨウラン
コバノフユイチコ(マルバフユイチゴ) Rubus pectinellus
ご覧の通り、冬ではなく晩夏に結実する。
2019/08/24
トチバニンジン(チクセツニンジン) Panax japonicus
初夏に咲く花は極めて地味なのでつい見過ごしてしまうが、花後に花茎を伸ばし、先に赤い実をつける。
これは暗い林の中でもよく目立つ。薬用植物として有名なチョウセンニンジン(オタネニンジン)と同属。
なおトチバニンジンにも薬効が有ると聞く。
2019/09/04
トチバニンジンの実の一部が黒くなるタイプを
「ソウシシヨウニンジン(相思子様人参) 」と呼ぶと友人から教えられる。
なんとも味わい深い呼び名だ。男鹿で見たものはほとんどがこのタイプだった。
秋はキク科の草花ばかり。特に五社堂の上の坂道には量が多い。
シラヤマギク Aster scaber
ゴマナ Aster glehnii
2019/09/04 シラヤマギク 2018/09/15 ゴマナ
タムラソウ(タマボウキ) Serratula coronata subsp. insularis
草原性の植物。男鹿では寒風山にも有るが、男鹿三山では五社堂上の坂道で多く見かける。
花はアザミに似るが、別属で葉には棘が無い。
トガヒゴタイ Saussurea muramatsui
男鹿で発見された花の一つだが、青森、秋田、山形の低山に広く分布している。
丈は20センチ位から1メートル超と幅が有る。花は地味な色合いなので見逃されやすい。
2018/09/15 タムラソウ 2019/10/02 トガヒゴタイ
イヌドウナ Parasenecio aidzuensis
2020/09/23
秋には男鹿の固有種が咲き出す。
オガアザミ Cirsium horiianum
葉は特徴的だが、花は小さくて冴えない。中腹より上に多い。
なお男鹿には固有のアザミが他にもう二種ある。
アシノクラアザミ Cirsium ashinokuraense、トガアザミ Cirsium togaense だが、私はまだ見ていない。
2019/09/04 オガアザミ
キク科以外の草花。
サラシナショウマ Cimicifuga simplex
2018/09/15
ナンバンハコベ Cucubalus baccifer var. japonicus
ギンリョウソウモドキ(アキノギンリョウソウ) Monotropa uniflora
初夏に咲くギンリョウソウによく似るが、果実は朔果(乾燥すると裂けて種子を飛ばすタイプの果実)。
ギンリョウソウの実は液質で裂けない。
ナンバンハコベ 2018/09/15 ギンリョウソウモドキ 2018/09/15
ダイモンジソウ Saxifraga fortunei var. incisolobata
山頂部の斜面に比較的多い。
エゾフユノハナワラビ Botrychium multifidum var. robustum
冬緑性のシダ植物。ハナワラビとは、夏の終わりに出る胞子葉に黄色い胞子嚢が付き、
これが花のように見えることから付いた名前。山頂部の道端に多い。
2018/09/15 ダイモンジソウ 2019/10/02 エゾフユノハナワラビ
次は「(8)秋の残り花と草木の実」。
オガアザミは、聞いたことあります。
みているかも知れませんが、区別がつきません(^^;
ハナワラビは、五社堂~毛無山で見た事あります。
参考になりました。
そうなんですよ。
キク科ばかりですが、四種類もあります。ただしみんな地味ですね。
オオサクラソウやデワノタツナミソウは綺麗ですが、
これは他の山にも有りました。
でも道端にうじゃうじゃ生えているのは男鹿だけです。