高山植物カテゴリーの投稿は一区切りついたので、中締めの意味で今回、目次頁を再投稿した。
(記事の配列は記載した月日に関係なく、主な花の名、総称の五十音順とした。)
高山に咲くアザミとトウヒレン
(アザミ)、チョウカイアザミ、オニアザミ、ハチマンタイアザミ、ウゴアザミ、ガンジュアザミ、
ナンブタカネアザミ、アオモリアザミ、ナカバキタアザミ、オクキタアザミ、ヤハズトウヒレン
雪形の精いろいろ(イワイチョウ、コシジオウレン、ヒメクワガタなど)
イワイチョウ、ワタスゲ、ハクサンオオバコ、ヒメイワショウブ、ショウジョウバカマ、アオノツガザクラ
壁の花むしろ・イワウメとお仲間たち。
イワウメ、コメバツガザクラ、ナガバツガザクラ、イワヒゲ
イワカガミはどこでも元気。
イワカガミ、オオイワカガミ、ヒメイワカガミ
東北には無い高山植物(1)ウルップソウ、ツクモグサ・・。
ウルップソウ、ツクモグサ、チョウノスケソウ、ハゴロモグサ
東北まで南下してきた北の娘たち/エゾツツジ、イワブクロなど。
エゾツツジ、イワブクロ、エゾノツガザクラ、チシマツガザクラ、チシマフウロ、サマニヨモギ、トウゲブキ
キオンとトウゲブキ
キオン、トウゲブキ、マルバダケブキ、オタカラコウ、メタカラコウ
東北の高山のキキョウ科
(キキョウ)、イワギキョウ、チシマギキョウ、ハクサンシャジン(ツリガネニンジン)、ミヤマシャジン(ヒメシャジン)
高山に咲くキク科あれこれ
(キク科)、ミヤマアズマギク、ウサギギク、チョウジギク、ミヤマアキノキリンソウ、
カンチコウゾリナ、ミヤマコウゾリナ、ヤマハハコ、タカネヨモギ、ヒトツバヨモギ
キヌガサソウは何処に咲く。
キヌガサソウ、クルマバツクバネソウ、ツマトリソウ
キバナシャクナゲ//東北には無い高山植物(2)と東北だけの花。
キバナシャクナゲ、ミヤマタンポポ、クモマグサ、イワツメクサ、タカネツメクサ、オヤマノエンドウ、ヒナザクラ・・・
旧ユリ科、キンコウカやイワショウブ、ネバリノギラン他。
キンコウカ、ヒメイワショウブ、チシマゼキショウ、ノギラン
コバイケイソウとアオヤギソウ
コバイケイソウ、タカネアオヤギソウ、シュロソウ
女王コマクサは荒地の魔女かも・・・
コマクサ、タカネスミレ、オヤマソバ、イワブクロ、コミヤマハンショウヅル、ハクサンチドリ
シオガマ//はまでうつくしい?(1)ヨツバシオガマとミヤマシオガマ
タカネシオガマ、キバナシオガマ
シオガマ//はまでうつくしい?(2)深山や亜高山帯のシオガマ類
シオガマギク、トモエシオガマ、エゾシオガマ、オニシオガマ、イワテシオガマ
高山に咲くシソ科とブルーの穂花
(シソ科)、ミソガワソウ、タテヤマウツボグサ、イブキジャコウソウ、クガイソウ、ヤマルリトラノオ
シラネアオイとサンカヨウ
スミレ//高嶺のすみれは黄色がお好き。
タカネスミレ、キバナノコマノツメ、オオバキスミレ、ミヤマツボスミレ、
ツルタチツボスミレ、ウスバスミレ、ミヤマスミレ、ムシトリスミレ
セリ科の高山植物はいかがかな。
(セリ科)、シラネニンジン、ハクサンボウフウ、イブキゼリモドキ、ミヤマセンキュウ、ドクゼリ、エゾニュウ、
ミヤマトウキ、オオバセンキュウ、エゾノヨロイグサ、オオカサモチ、ミヤマウイキョウ
チングルマ三昧
ニッコウキスゲがいっぱい
ハクサンイチゲがタクサン・・・。
ハクサンフウロとチシマフウロ
オガフウロ
ハヤチネウスユキソウ//ジャパニーズ・エーデルワイス(2)
ウスユキソウ、タカネウスユキソウ
雪の子・ヒナザクラ(他にヒメコザクラ、ユキワリコザクラなど)
ヒナザクラ、ミチノクコザクラ、エゾコザクラ、ハクサンコザクラ
ミヤマウスユキソウ//ジャパニーズ・エーデルワイス(1)
ミヤマキンバイとミヤマダイコンソウ
エチゴキジムシロ
ミヤマキンポウゲとシナノキンバイ
チシマノキンバイソウ、キンバイソウ
リンドウ//東北の高山に咲く謎のリンドウ
エゾオヤマリンドウ、エゾリンドウ、オヤマリンドウ、トウヤクリンドウ、ミヤマリンドウ、
タテヤマリンドウ
2017/07/10 コマクサ
1993/07/16 ツクモグサ
2020/09/16 ミソガワソウ
以上。
今年正月から続けて来た高山植物シリーズだが、
そろそろネタも尽きたので、今回で中締めにしようかと思う。
ミソガワソウってご存じだろうか。
ウィキペディアによると、
『ミソガワソウ(味噌川草、学名:Nepeta subsessilis )は、シソ科イヌハッカ属の多年草。
(以下、略)花期は7-8月。茎の上部の葉腋ごとに数個の花をつける。(以下、略)
日本固有種。北海道、本州の中部地方以北・奈良県、四国の石鎚山に分布し、
亜高山帯の草地や深山の渓流沿いなどに生育し、群生することが多い。
名前の由来は味噌川草の意味で、木曽川の源流部である長野県の味噌川に由来する。』
とあった。
この花、東北の山ではあまり見かけない。
私自身は八幡平、焼石岳、鳥海山の一部で見かけた程度。
いずれも一般登山道から離れた場所だった。他には早池峰山にも有るとされる。
2020/09/16 焼石岳にて。ミソガワソウ。
2020/09/16 ミソガワソウ
2020/09/16 ミソガワソウ
2020/09/16 焼石岳にて。ミソガワソウの群生。
鳥海山のものは花色が薄いように感じる。
2021/09/03 鳥海山にて。ミソガワソウ。
2021/09/03 鳥海山にて。ミソガワソウ。
2014/08/04 八幡平にて。ミソガワソウ。
タテヤマウツボグサ Prunella prunelliformis は、ウツボグサに比べ、全体に大型。
葉柄はごく短いか、無柄。花柄が短く、花穂がウツボグサほど長くならず、短い。
花冠は長さ2.5~3㎝。本州(福井県以東)に分布する。
2017/09/01 月山にて。タテヤマウツボグサの群生。
2014/08/02 月山にて。タテヤマウツボグサ。
2015/09/05 八幡平山頂部にて。ウツボグサ?。
右上のウツボグサは八幡平山頂部の遊歩道脇で見たものだ。
当初、高山性のミヤマウツボグサ Prunella vulgaris var. aleutica かと思ったが、
人通りの多い場所なので、低地性のウツボグサ Prunella vulgaris var. lilacina が運ばれて来た可能性もある。
イブキジャコウソウは、日本各地の海岸から高山まで岩場や草地に広く生育する小低木だが、
東北の山では少ない。
高山で簡単に見られるのは、早池峰山くらいかもしれない。
他には蔵王連峰の一部(不忘山、雁戸山など)で知られる。
2017/08/03 早池峰山にて。イブキジャコウソウ。
2017/07/20 早池峰山にて。イブキジャコウソウ。
シソ科の高山植物は意外と少ない。本頁で取り上げた三種以外は、ミヤマクルマバナくらいだろうか。
この種類は東北では難関の朝日連峰や飯豊連峰に産し、私自身はまだ見ていない。
本頁では、シソ科に雰囲気が似た青紫の穂花を二種類取り上げてみる。
旧ゴマノハグサ科、現在は新分類体系APGⅢでオオバコ科に属するクガイソウとヤマルリトラノオだ。
いずれも主に山地帯に生育する種類だが、東北の一部の山では亜高山帯の草地に群生し、
お花畑を構成する要素なので、高山植物として取り上げてみた。
クガイソウは、
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
『クガイソウ(エゾクガイソウ)Veronicastrum sibiricum f. glabratum は、
山地の日当たりの良い草地に生える多年草。(以下、略)
北海道、本州の山地に広く生え、サハリンにも分布する。』
とあった。
しかも従来有ったクガイソウとエゾクガイソウが合体していた。
よってここでは、単にクガイソウと呼ぶことにする。
2018/07/27 焼石岳にて。クガイソウ。
2017/08/06 焼石岳にて。クガイソウ。
2017/08/06 焼石岳にて。クガイソウ。
2021/07/24 真昼岳にて。クガイソウ。
次の青い穂花は従来、ヤマルリトラノオと呼ばれていたものである。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、この仲間の分類は少々ややこしくなっているようだ。
『エゾルリトラノオ Veronica ovata var. miyabei は葉の表面はほとんど無毛で、
裏面に密に短毛が生え、鋸歯はあまり尖らず、本州(岩手県)と北海道南部に分布する。』
とあったが、掲載されている写真は秋田県太平山のものだった。
『これに似ているが、葉の裏面にほとんど毛の生えないものが近畿地方から山形県の
主に日本海に近い近い山地に有り、これをヤマルリトラノオ Veronica ovata var. japonica
と呼ぶ。』とあった。
本頁で取り上げたものは、葉の裏面の毛の有無を確認していないので、
どちらなのかわからないが、
ひとまず従来からの名称、ヤマルリトラノオで通してみる。
個体差は有るが、穂花の色は野草には珍しいコバルトブルーだ。
2016/07/31 真昼岳にて。ヤマルリトラノオとキオンの群生。
2016/07/31 真昼岳にて。ヤマルリトラノオ。
2016/07/31 真昼岳にて。ヤマルリトラノオ。
2016/07/31 真昼岳にて。ヤマルリトラノオとキオンの群生。奥のピンクはハクサンフウロ。
2019/07/26 和賀山塊薬師岳にて。ヤマルリトラノオ。右奥にウスユキソウ。
以上。
山形の月山はハクサンフウロの多い山だ。
2014/08/02 月山にて。ハクサンフウロ。
2014/08/02 月山にて。ハクサンフウロ。
2014/08/02 ミヤマアキノキリンソウとハクサンフウロ。
山頂台地ではハクサンフウロだけの群生も見られた。
2017/09/01 月山にて。ハクサンフウロ群生。
2017/09/01 月山にて。ハクサンフウロ群生。
ハクサンフウロは鳥海山にも多かった。
2020/07/30 鳥海山にて。ハクサンフウロ。
2020/07/30 鳥海山にて。ハクサンフウロとハクサンシャジン(左)。
ハクサンフウロは茎が弱いので他の草にもたれかかるようにして咲くことが多い。
奥羽山系はどうだろうか。
焼石岳から真昼岳、和賀山塊の稜線には多いが、
秋田駒ヶ岳から八幡平にかけてはあまり多くなかった。
2016/07/31 真昼岳にて。ハクサンフウロとタカネナデシコの混生。バックにヤマルリトラノオ。
2017/08/06 焼石岳にて。
2019/07/26 和賀岳にて。ハクサンシャジンと一緒。
秋が近づくと、ハクサンフウロの葉は色付き出す。数多ある草紅葉でも最も鮮烈な紅だ。
2020/10/02 鳥海山にて。ハクサンフウロの草紅葉。
2018/10/21 和賀岳にて。
2020/10/02 鳥海山にて。黄葉はハクサンシャジン。
早池峰山は花の豊富な山だが、ハクサンフウロはほとんど見かけない。
かわりにチシマフウロが咲いている。
2017/07/20 早池峰山にて。チシマフウロの群生。
2017/07/20 早池峰山にて。チシマフウロ。
2017/07/20 早池峰山にて。チシマフウロ白花。
2017/08/03 早池峰山にて。チシマフウロ。
白神岳のチシマフウロは青紫色が濃い。
2017/07/06 白神岳にて。チシマフウロ。
2017/07/06 チシマフウロのふぎれタイプ。
北海道にはチシマフウロが多いが、大雪山で見たものは白っぽい花ばかりだった。
変種でトカチフウロと呼ばれていると知る。
2017/07/28 大雪山にて。トカチフウロ。
最後に高山ではないが、男鹿の寒風山(355m)で見たフウロソウの仲間を。
秋に行ったら、ハクサンフウロによく似た花が有ったが、花は既に終わり近かった。
2020/09/23 男鹿半島寒風山にて。
翌年はホンの少しだけ早く行ってみたら、最盛期に間に合った。
この花はオガフウロかもしれない。
2021/09/19 男鹿半島寒風山にて。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
ハクサンフウロ Geranium yesoense var. nipponicum と
変種関係にあるハマフウロ Geranium yesoense var. pseudopalustre のうち、
萼片の外面に伏毛のあるものが男鹿半島に有り、オガフウロ f. intermedium と呼ばれるとあったが、
写真の花に伏毛があるかどうかは確かめていない。
以上。
日本の高山植物の起源を探ってみると、遠い北国からやって来たものが多い。
ここで言う北国とは北極に近いエリアのことで、シベリアはもちろん、北アメリカ(アラスカなど)も含まれる。
いずれも寒冷な時代にサハリンや千島列島を伝わって北海道に入り込んでいるが、
北アメリカ組はその前に陸続きになったベーリング海峡やアリューシャン列島を渡り、
一旦、シベリアやカムチャツカ半島に入り、シベリア組と合流し、南下したのだろうか。
ただしシベリアのものが北米に渡ることも有りうるので、この辺は何とも言えない。
いずれにしろこれら寒い国からやって来た花たちは、寒冷な時代にドンドン南下し、
日本の本州、中部地方まで辿り着いた。
が、途中の東北地方で踏みとどまったものも幾つか有る。
その種類数は思ったよりも少なかったが、花が奇麗なものが多い。
本頁では、そういった北国からの客人で、
東北地方の山を南限とする花をピックアップしてみた。
まずはエゾツツジ。この花はとても鮮やかなのでよく目立つ。
2017/07/10 秋田駒ヶ岳にて。エゾツツジ。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
『エゾツツジ属 Therorhodion はツツジ属 Rhododendron に近縁で、しばしばツツジ属として扱われるが、
長い花序があり、大きな苞が果期まで残り、大きな萼片があるなどの性質はツツジ属には見られない特徴である。
東アジア、アラスカの寒帯~亜寒帯に三種ある。
エゾツツジ Therorhodion camtschaticum は、(一部、略)北海道、本州(東北地方北部)、
千島列島、カムチャツカ半島、アラスカ、シベリアに分布する。
美しい花をつける植物であるが、北海道以外での栽培は難しい。』
とあった。
この花、東北では八幡平から岩手山、秋田駒ヶ岳、和賀山塊に分布し、
かつては早池峰山や秋田山形県境の神室山にも有ったと聞く(現在は絶滅)。
理由はよくわからないが、分布南限に近い秋田駒ヶ岳には異常なほどに多い。
ここでは岩の多いエリアを中心に、ミヤマダイコンソウと一緒に特異な花風景を形成している。
2017/07/10 エゾツツジ。
2017/07/10 エゾツツジとミヤマダイコンソウ。
2017/07/10 秋田駒ヶ岳にて。エゾツツジとミヤマダイコンソウ。
北海道大雪山では背丈がとても低く、花だけ植物のような感じ。
平らな岩礫地の上に疎らに咲いていた。
2017/07/27 大雪山にて。エゾツツジ他。
次はエゾノツガザクラ。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
『エゾノツガザクラ Phyllodoce aleutica var. caerulea は、(一部、略)
南千島と北海道の高山と東北地方(岩木山、早池峰山、月山)に生え、北半球の寒帯に広く分布する。
アオノツガザクラと混在することが多く、しばしば両者の中間型がある。
花冠がやや小型で外面が無毛のものをコエゾツガザクラ var. yezoensis というが、
これも両者の雑種性のものかと考えられる。』とあった。
月山のものを見る限りでは、コエゾツガザクラに近いように感じる。
2016/07/16 月山にて。エゾノツガザクラ。
2016/07/16 月山にて。エゾノツガザクラ。
2017/07/28 大雪山にて。エゾノツガザクラ。
ここで北国の使者分布マップ
チシマツガザクラは東北では八甲田山、早池峰山にあるとされるが、
私はまだ見ていない。大雪山で見たものでお茶を濁させて頂く。
2017/07/28 大雪山にて。チシマツガザクラ。
次はオオバコ科のイワブクロ。
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、
『イワブクロ Pennellianthus frutescens は高山の砂礫地に生える多年草。(一部、略)
本州北部、北海道に見られ、千島列島、サハリン、カムチャツカ半島、
シベリア北部、アリューシャン列島に分布する。和名は「岩袋」の意味。
また北海道の樽前山に多いので、タルマイソウとも言う。
かつてイワブクロは、種子に翼のある特徴によってアジア東部に固有であるにもかかわらず、
同じ特徴を持つ北アメリカとメキシコに250種ほど分布するイワブクロ属 Penstemon に含められていた。
形態上の違いと分子系統解析の結果、
イワブクロのみを含む独立属イワブクロ属 Pennellianthus が設立された。
新大陸のイワブクロ属は和名が変わり、ツリガネヤナギ属 Penstemon となった。
分子系統解析の結果、APGⅡ分類体系では両属ともにゴマノハグサ科からオオバコ科に移された。』
とあった。東北では八甲田山、岩手山、秋田駒ヶ岳、鳥海山といずれも火山で見られ、
南限なのに鳥海山には量が多い。
2018/07/20 鳥海山にて。イワブクロの大株。バックにヨツバシオガマ。
2015/08/16 秋田駒ヶ岳にて。イワブクロ。
2020/07/10 八甲田山にて。イワブクロ。
2017/07/28 大雪山にて。イワブクロ。
チシマフウロ Geranium erianthum は、北海道以外は
千島列島、サハリン、ロシア沿海地方からアラスカ、北アメリカ北部にかけて広く分布する。
東北では早池峰山や白神岳、焼石山塊の経塚山、鳥海山の一部で見かける。
サマニヨモギ Artemisia arctica var. sachalinensis も、北海道以外は
千島列島、サハリン、東シベリアから北アメリカ北西部にかけて広く分布する。
東北では早池峰山と八幡平の一部で見かける。花にはアブの仲間がしきりと訪れていた。
花が地味で風媒花が多いヨモギの仲間では珍しく虫媒花のようだ。
2017/08/03 早池峰山にて。チシマフウロ。左の黄色がかった花はサマニヨモギ。
2017/08/03 早池峰山にて。サマニヨモギ。
2017/07/20 早池峰山にて。チシマフウロ。
2017/07/06 白神岳にて。チシマフウロ。
2007/07/08 北海道中標津町の道路端にて。チシマフウロ。
トウゲブキ Ligularia hodgsonii var. hodgsonii は、
改訂新版・日本の野生植物(平凡社)によると、『北海道、本州(東北地方)に分布する。
なおサハリン、千島列島、北海道には、
総苞に暗褐色の毛があるカラフトトウゲブキ var. sachalinensis が分布する。』
とあった。
東北地方では、山形県の月山以北の高山、青森では海岸近くにも分布しているが、
南限に近い鳥海山や焼石岳に多い。
エゾツツジが南限に近い秋田駒ヶ岳に異常に多いのと何か関係があるのだろうか。
2021/07/31 鳥海山にて。トウゲブキ他。
2014/08/02 月山にて。南限のトウゲブキ。
2007/07/08 摩周湖にて。トウゲブキ。
トウゲブキについては、拙頁、「キオンとトウゲブキ」も参照頂きたい。
以上。
「中部山岳や北海道には有るのに東北の山には無い」シリーズ第二弾は、
キバナシャクナゲから始めようと思う。
キバナシャクナゲ Rhododendron aureum は、
手持ち書籍では、北海道、本州中北部の高山に生えるとされるが、東北地方の山では一度も見たことが無い。
以前、焼石岳に有ると聞いたが、いわてレッドデータブックによると絶滅したとあった。
参考 ⇒ http://www2.pref.iwate.jp/~hp0316/rdb/01shokubutu/0582.html
国外では千島列島、カムチャツカ半島、サハリン、朝鮮半島北部、東シベリアに分布。
キバナと言うが、黄色というよりも黄色がかった白だった。
1993/07/16 白馬岳にて。
2017/07/27 大雪山にて。 1992/07/26 穂高岳にて。
高山性のタンポポも東北には無い。
山形の月山山頂近く、鍛冶小屋跡地で見たが、それは帰化植物のセイヨウタンポポだった。
ミヤマタンポポ Taraxacum alpicola は中部地方の白山、北アルプス、中央アルプス、南アルプスに分布する。
1993/07/17 白馬岳にて。ミヤマタンポポ。
北海道の高山には、夕張岳にユウバリタンポポ(タカネタンポポ)、
大雪山の一部にクモマタンポポがあると聞くが、私はまだ見ていない。
クモマグサの仲間は、
クモマグサ Saxifraga merkii var. idsuroei が本州の白馬岳、御嶽山にあるとされるが、
なかなかお目にかかれないと聞く。
基準変種のチシマクモマグサ Saxifraga merkii var. merkii は、
北海道、国外ではシベリア、千島、カムチャツカ半島に産し、大雪山に行けば、いっぱい見ることが出来る。
2017/07/28 大雪山にて。チシマクモマグサ。
イワツメクサ Stellaria nipponica var. nipponica はハコベ属。東北には無い花である。
本州では、白山、北アルプス、御嶽山、中央ア、南アルプス、富士山に産すると聞く。
北海道では、近縁のエゾイワツメクサ Stellaria pterosperma が大雪山のみに産する。
1990/07/28 白馬岳にて。イワツメクサ。 2017/07/27 大雪山にて。エゾイワツメクサ。
東北では飯豊連峰にのみ、産するが、それ以外では見られない種類をいくつか。
タカネツメクサの仲間。
タカネツメクサ Minuartia arctica var. hondoensis
分布は本州(中部、飯豊連峰)。
1990/07/28 白馬岳にて。タカネツメクサ。
基準変種 エゾタカネツメクサ Minuartia arctica var. arctica
北海道。周北地方に広く分布。
2017/07/27 大雪山にて。エゾタカネツメクサ。
オヤマノエンドウの仲間。
オヤマノエンドウ Oxytropis japonica var. japonica
分布地は本州中部(北アルプス北部、八ヶ岳、木曽駒ヶ岳、御獄山)と飯豊連峰。
1990/07/28 白馬岳にて。オヤマノエンドウの咲き残り。
1993/07/16 白馬岳三国境にて。
オヤマノエンドウとイワベンケイ、チシマアマナ(この二種も東北では少なく、早池峰山で見られる程度)。
北海道の高山には、エゾオヤマノエンドウ Oxytropis japonica var. sericea があるが、
残念ながら花はまだ見ていない(7月下旬に行ったら、終わっていた)。
この仲間は開花時期が思った以上に早いようだ。
ハクサンコザクラの仲間。
ハクサンコザクラ Primula cuneifolia var. hakusanensis
分布は本州(白山から飯豊連峰までの日本海側高山)。
エゾコザクラ Primula cuneifolia var. cuneifolia は日本では北海道にのみ見られるが、
国外では千島、オホーツク海沿岸、アラスカからカナダまで広く分布する。
1993/07/16 白馬岳にて。ハクサンコザクラ。 2017/07/28 大雪山にて。エゾコザクラ。
最後に
東北でないと見られない高山植物を二種。
ヒナザクラ
2017/07/10 秋田駒ヶ岳にて。
詳細は、「雪の子・ヒナザクラ(他にヒメコザクラ、ユキワリコザクラなど)」を参照されたし。
ミヤマウスユキソウ(ヒナウスユキソウ)
2020/06/24 鳥海山にて。
詳細は、「ジャパニーズ・エーデルワイス(1)」を参照されたし。
以上。