実力と実績を兼ね備えるスタッフによるP.A.WORKS制作のオリジナルアニメ作品。
その映像はまるで、劇場版映画そのもの。地上波アニメとは思えぬ圧巻のクオリティに視聴者の多くが驚嘆している事でしょう。2021年夏アニメの中でも特に注目される作品なのではないでしょうか。10月27日に発売されるBlu-Rey第1巻には第1話~4話まで収納されており、全6巻が販売予定されている事から物語は、全24話を2クールで展開されるもようです。
アクアトープとは「水質保全システム」を意味する言葉で、これは清浄な土や水生植物によって水質の汚染を防ぐという現在、研究が進められている技術のようです。環境汚染は水質の汚染と密接な関係にあり、これを守ることで“環境そのものを守る”ことを目指したもの。規模の小ささから主に、周囲の環境の影響を受けやすい都市部の水辺などで採用されているとの事です。
物語りの舞台は現代ですが、沖縄に多く生えるガジュマルの木の近くに住むとされる精霊キジムナーが要所要所で姿を現し、日常の中にほんのわずかに非日常を落とし込んでいます。キジムナーは「存在はするが、普通の人間には見ることができない」超常的な存在として描かれており、物語の基軸はあくまで等身大の二人の少女の交流となっています。
沖縄で暮らす海咲野くくる(みさきの くくる)は、地元にある「がまがま水族館」の館長代理として、迫り来る閉館の危機を相手に悪戦苦闘していた。一方、岩手生まれの宮沢風花(みやざわ ふうか)はアイドルになる夢に破れ、沖縄に身一つで傷心旅行に訪れる。砂浜で一夜を過ごした風花は、不思議な現象に戸惑いながらも歩き出す。途中、観光協会職員の久高夏凛から勧められるまま「がまがま水族館」に辿り着き、そこでくくると出会う。水族館特有の幻想的な雰囲気に惹かれ、行くあてもなかった風花は「ここで働かせてほしい」とくくるに懇願。その意気に感じ入ったくくるはこれを了承し、二人の少女は水族館を立て直すために奮闘していく。
『まくとぅそーけー なんくるないさ』
『助けて!お願い!このままじゃ私…』
『もしかして今、見えてた?』
『水族館って不思議な所だよねー。普段は見えないものが少しだけ見える。でも時々、もっと不思議なことが見えることがあるの』
『ここだけの話…たぶんキジムナーのいたずら。ここは古いからそういうこともあるさーっておじいが言ってた』
『ようこそ!ガマガマ水族館へ。私ここの館長、海咲野くくる!』
『プール?』
『生き物と触れ合えるタッチプール。しばらくお休み中なんだ。人手不足なの。バイト募集してもなかなか見つからなくて』
『あの!お願いします!私をここに置いてください!』
『え…!?』
『先生、あの…。母子手帳ってどうやってもらうんですか?』
「妊娠したの?」
『ま、まさか!!』
「母子手帳って、妊娠が分かったときに自治体でもらえるのよ」
先日、自宅で見つけた名前のないもぅひとつの母子健康手帳に言い知れぬ不安を募らせるくくる。
思わず目眩を覚えそうな真夏の風景。時折見せる、白く霞がかった作画が見事にその雰囲気を表現しています。夏の景色を描かせたらP.A.WORKSさんの右に出る者は居ないのではないでしょうか。映像の奥行と言うか、立体感と言うべきか。光の加減と言うか、濃淡と言うか…。加えて、鉄製の錆とか塗装の剥がれとかの細部に至る描き込みなどにも拘りを感じます。
圧倒的な作画やストーリーの進め方、キャラクターの表情までもまるで、劇場版アニメを観ていると錯覚しそう。
余談ですが、この物語りの二人のヒロイン。風花役CVには逢田梨香子さん、くくる役CVは伊藤未来さんと言うラインナップです。お二人はそれぞれ、桜内梨子(ラブライブ!サンシャイン‼)と中野三玖(五等分の花嫁)のCVも担当していて、どちらも自分のお気に入りのキャラクター。それだけで自分はもぅ、このアニメに惹き込まれてしまいます。
キャラクターは声もヴィジュアルも魅力的。作画も勿論、美しい。そして、ストーリーまでも美しいと感じさせるこのアニメ。沖縄の優しくゆったりとした時間を過ごしたいと思わせるアニメです。