一日清閑一日福

思いつくままに綴っています。

初盆の思い出

2023-07-23 | 徒然日記

お盆が近づくと父が亡くなった初盆を思い出す....

初盆の夜中近くに、玄関前で虫のなく声とその虫が玄関をドンドンたたく音が聞こえた。実際に虫が玄関をたたくはずはない。それは玄関に何度も体当たりをしている音だった。「何の虫だろう?もしかしてお父ちゃん?」と嬉しくなった。まるで「お父ちゃんやで、帰って来たで」と言っているように聞こえた。でも真夜中に玄関を開ける勇気はなかったので、しばらくしてから二階の自分の部屋に戻った。ベランダのところで、またその虫のなく声と窓ガラスをたたく音がする。そっと近づいてみた。蝉だった。その蝉は静かに声も立てずに長い間そこにいてくれた。「お父ちゃん、帰ってきてくれたのね。ありがとう。来年も帰ってきてね」と声をかけた。私が見つめている間は動くことなくじっとそこにいてくれた。まるで本当に父の魂が蝉に宿っていたような気がする。一年後ではなく頻繁に戻ってきてほしい、と感じた初盆でした。

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