獣医師インディ・ヤスの冒険!

家畜伝染病と格闘する獣医師インディ・ヤスさんのブログです。インディ・ヤスさんはロシア・東欧のオタクでもあります。

ウクライナの首都キエフが大変な状態になってしまった。

2014-02-20 23:00:42 | 国際・政治
ロシアのソチでは冬季オリンピックが開催され、多くの競技で熱戦が繰り広げられている時にウクライナの首都キエフでは大変の騒擾状態に陥っている。
 ことの発端はウクライナの現ヤヌコビッチ政権がEU加盟を第一とする路線からロシアとの協調を強化する路線に方針転換したことにある。EU加盟はウクライナの目標であることに変わりはないが、EU加盟へのハードルはあまりにも高く現在のウクライナの経済力では克服できそうにない課題が余りに多すぎる。その方針を大幅に見直して経済的に関係の強いロシアに歩みよった。一方、ロシアはウクライナがEUに加盟することを喜ばず、これまでも天然ガスの供給をコントロールすることでウクライナに圧力をかけてきた。天然ガスはウクライナにとって死活問題だからである。
 EU加盟国は、西側の軍事的同盟であるNATOの加盟国でもある。従って、ウクライナがEUに加盟するとウクライナにNATO軍の基地、具体的にはアメリカ軍の基地ができる可能性が強くなる。これをロシアは非常に嫌っているのである。
 日米同盟でアメリカ軍の基地が多数存在する日本から見ると、ロシアの懸念はかなりオーバーすぎるとは思われる。しかし、例えば、朝鮮半島に統一国家ができ、中華人民共和国と軍事同盟を結び、その結果朝鮮半島のいたる所に中国人民解放軍の基地が建設されたらどうであろうか。もし、そういう事態になれば我々日本人ものんきに構えてはいられなくなり、かなりの緊張状態を強いられるであろう。そんな見方をすると、ロシアがアメリカ軍のウクライナ侵出を警戒するのは至極当然なのである。
 キエフでは3カ月前から反政府勢力が独立広場を占拠し、ヤヌコビッチ大統領にEU加盟路線に戻るか、辞任するよう強く求めた。ヤヌコビッチ大統領は、閣僚人事など多少妥協したものの、自らの辞任もロシアと協調路線を変更することも拒否、互いがにらみ合いを続けている中で遂に治安部隊が反政府勢力のデモ隊に発砲して多数の死傷者が出る流血惨事に至った。ここまで来ればウクライナは内乱状態に突入する可能性さえ出てきた。ロシア・東欧趣味の私としては是非とも平和的な解決してほしいと願うばかりである。