ウクライナやクリミアの情勢も気になるが、今日は飯のタネの話をさせて頂く。標題の通り、豚流行性下痢(Porcine Epidemic Diarrhea, 略してPDE)が大はやりである。農水省のホームページを除くと2014年3月18日現在で12県の198農場で発生が確認されたとのこと。内訳は、初発生順で沖縄県4件、茨城県2件、鹿児島県119件、宮崎県52件、熊本県5件、愛知県5件、青森県1件、高知県3件、岡山県1件、佐賀県3件、大分県2件、鳥取県1件である。従って、今回の発生農場の大半は南九州であるものの、全国的な拡がりをみせている。
PEDの原因は、コロナウイルス科アルファコロナウイルス属のPEDウイルスである。PEDに非常によく似た豚の疾病である伝染性豚胃腸炎(TGE)の原因ウイルスも同属であるが、血清学的には全く異なるウイルスである。従って、臨床症状、解剖所見は区別できないほど類似しているが、全く異なる疾病である。
このPEDという疾病は約10年周期で大発生がある。ただし、子豚、特に哺乳中の子豚は激しい下痢症を起こして死亡するものの、豚の日齢が増すと症状は非常に軽くなるため、家畜監視伝染病の一つではあるが届出伝染病である。
予防は、母豚を免疫し十分な抗体価を持つ乳汁に出させること。すなわち、その抗体を含む乳汁を子豚が飲むことで腸管内でのPEDウイルスの増殖を抑え発症しないようにする。従って、今回の大発生の背景には、全国的に母豚のPEDウイルスに対する免疫が消失していたことが上げられる。
PEDに限らず今回のような大発生があると、発生県の養豚場では一斉にワクチン接種が行われる。PEDやTGEでは母豚に対する免疫が必要なため、母豚へのワクチン接種が行われるが、10年ぶりの大発生であるためメーカーにも市場にも十分量のワクチンがなかった。その理由は、疾病が発生しないと養豚場ではワクチンは使用ないこと、各ワクチンには使用期限があるため通常は見込まれる消費量分しか製造されないこと、そして今回の発生が予想を超える速さで広がって緊急製造も間に合わなかったことである。ワクチンは、薬液を分注小分けし瓶詰めするだけでなく、必ず検定が必要で、そのため出荷までに時間がかかってしまう。
実は、10数年前のPEDの大発生の時、外部から依頼されて診断したことがある。その時の経験から言うとそろそろ発生も治まってくると思っている。理由は、養豚場に侵入したPEDウイルスは子豚だけでなく母豚にも感染するので、その感染で母豚が免疫されること、及びメーカーが緊急製造した大量のPEDワクチンが市場に出回ってくるからである。
以上、評論家の言い分のようなことを書いてしまった。しかし、今回のPEDの大発生でその対策のため現場で頑張っておられる獣医師の先生方が正直羨ましくて仕方がない。ああ、早く現場に戻りたい。
PEDの原因は、コロナウイルス科アルファコロナウイルス属のPEDウイルスである。PEDに非常によく似た豚の疾病である伝染性豚胃腸炎(TGE)の原因ウイルスも同属であるが、血清学的には全く異なるウイルスである。従って、臨床症状、解剖所見は区別できないほど類似しているが、全く異なる疾病である。
このPEDという疾病は約10年周期で大発生がある。ただし、子豚、特に哺乳中の子豚は激しい下痢症を起こして死亡するものの、豚の日齢が増すと症状は非常に軽くなるため、家畜監視伝染病の一つではあるが届出伝染病である。
予防は、母豚を免疫し十分な抗体価を持つ乳汁に出させること。すなわち、その抗体を含む乳汁を子豚が飲むことで腸管内でのPEDウイルスの増殖を抑え発症しないようにする。従って、今回の大発生の背景には、全国的に母豚のPEDウイルスに対する免疫が消失していたことが上げられる。
PEDに限らず今回のような大発生があると、発生県の養豚場では一斉にワクチン接種が行われる。PEDやTGEでは母豚に対する免疫が必要なため、母豚へのワクチン接種が行われるが、10年ぶりの大発生であるためメーカーにも市場にも十分量のワクチンがなかった。その理由は、疾病が発生しないと養豚場ではワクチンは使用ないこと、各ワクチンには使用期限があるため通常は見込まれる消費量分しか製造されないこと、そして今回の発生が予想を超える速さで広がって緊急製造も間に合わなかったことである。ワクチンは、薬液を分注小分けし瓶詰めするだけでなく、必ず検定が必要で、そのため出荷までに時間がかかってしまう。
実は、10数年前のPEDの大発生の時、外部から依頼されて診断したことがある。その時の経験から言うとそろそろ発生も治まってくると思っている。理由は、養豚場に侵入したPEDウイルスは子豚だけでなく母豚にも感染するので、その感染で母豚が免疫されること、及びメーカーが緊急製造した大量のPEDワクチンが市場に出回ってくるからである。
以上、評論家の言い分のようなことを書いてしまった。しかし、今回のPEDの大発生でその対策のため現場で頑張っておられる獣医師の先生方が正直羨ましくて仕方がない。ああ、早く現場に戻りたい。