獣医師インディ・ヤスの冒険!

家畜伝染病と格闘する獣医師インディ・ヤスさんのブログです。インディ・ヤスさんはロシア・東欧のオタクでもあります。

ええ、佐賀県でも高病原性トリインフルエンザが発生!

2015-01-18 09:34:47 | 仕事
 昨日、この冬の高病原性トリインフルエンザの発生例について書いたが、朝起きたら、何と佐賀県でも高病原性トリインフルエンザが発生した、とテレビのニュースで言っていた。早速、農水省のHPで確認すると、発生農場は佐賀県西松浦郡(インターネットでは有田町)のブロイラー農場(4万5000羽)で、防疫対応、移動及び搬出制限は、この農場と同一飼養管理者の別の1ブロイラー農場(2万8000羽)を対象に実施されるとのことである。昨日書いたことは、岡山県の事例でこの冬の発生が終わってほしいとの願いがあったが、それは残念な結果で終わった。
 原因ウイルスは、トリインフルエンザウイルスのH5亜型で、N亜型については、現在、検査中とのことである。
 ところで、農水省のHPでは、今回の佐賀県での発生の視察のために小泉農林副大臣が佐賀県に出張する、とあった。佐賀県の現場は、現在、防疫対応や移動制限、搬出制限の設定や指導、近隣農場への調査等で猫の手も借りたいほど忙しいであろうことは容易に推察される。この大変の状況の中、現時点では全く役に立たない農林副大臣の出張などは避けるのが当然である。この小泉何某という無神経で無能な政治家に怒りを感じるのは私だけであろうか。


この冬の高病原性トリインフルエンザの発生

2015-01-17 23:50:38 | 仕事
 昨年末から高病原性トリインフルエンザの発生が続いている。最初は、昨年の12月16日に発生した宮崎県延岡市のブロイラー農場(約4,000羽飼育)の事例、2例目は同じく宮崎県であるが、1例目と約80km離れている宮崎市で12月27日に発生したブロイラー農場(約4万2000羽飼育)の事例、3例目は12月30日に発生した山口県長門市のブロイラー農場の事例(約3万7000羽飼育)、4例目は1月15日に岡山県笠岡市の採卵鶏農場(約20万羽飼育)で、これまでのところ4事例が確認され、いずれも防疫措置と移動制限がなされている。
 これらの事例の原因ウイルスは、トリインフルエンザウイルスのH5N8亜型であり、昨年春に熊本県の人吉地方のブロイラー農場の高病原性トリインフルエンザ事例の原因ウイルスと同じタイプである。実は、このタイプのトリインフルエンザウイルスは、この秋から冬にかけて日本に飛来した野鳥から分離されており、各都道府県の家畜保健衛生所は警戒してきたウイルスである。さらに言えば、韓国ではこのH5N8亜型トリインフルエンザウイルス感染症が昨年1月から切れ目なしに発生しており、我が国の関係機関はそのウイルスが日本に持ち込まれることを昨年から危惧していた。
 ところで、数年前の高病原性トリインフルエンザの原因ウイルスはH5N1亜型であったが、ここ1,2年はH5N8亜型である。この変化は、日本や韓国など極東アジアに限ったことではなく、ヨーロッパで発生している高病原性トリインフルエンザでも同様である。
 このH5N8亜型トリインフルエンザウイルスの起源はどこなのであろう。元をたどれば最初は野生のカモでの遺伝子再集合に行きつくことは予想されるものの、どのような環境、どのような動物への感染を経てH5N8亜型が高病原性トリインフルエンザの主役になったのか、非常に興味がある。
 まあ、それは個人的に文献情報を調べるとして、原因ウイルスの亜型が何であるにしろ、兎に角、今回の高病原性トリインフルエンザ発生における農場への侵入経路の解明が強く望まれる。ただ、一方でその解明は容易ではなく、これまでの事例に明確に究明できた例はないのが現実である。しかし、こういう伝染病の侵入経路究明は数多くの情報を積み上げていくことが大切であり、その結果から見えて来ることも多いことから、侵入経路の究明をおざなりにしてはならないと思う。

映画「寄生獣」は大変面白かったです。

2015-01-15 22:38:56 | 趣味
 大変遅くなりましたが、新年おめでとうございます。今年も宜しくお願いします。これからは、今まで以上に興味津津のことを大胆に、言いかえれば〝間違いを恐れずに、恥も気にせず”書きたいと思いますので、宜しくお付き合い下さい。
 先日のことですが、映画「寄生獣」を見ました。いやあ、面白かったです。海から都市に入り込んだ寄生生物が人々の体内に侵入し、その脳に寄生して他の人を食べる恐ろしい生き物に変えてしまうという内容で、ハリウッド映画のゾンビに似たところがあります。生物学的にというか、現実の寄生生物と宿主の科学的な関係から見ると荒唐無稽ではありますが、これはあくまでエンターテイメントですから、そのような七面倒臭いことは抜きで行きましょう。この寄生獣の原作はマンガだそうで、すでにアニメ化がされているとのこと。しかし、実写版の方がはるかにリアリテイがあると思います。
 私は、ホラー映画というのは元来苦手で、その手の作品はこれまであまり見ませんでした。しかし、寄生生物の話というと、家畜家きんの伝染病が相手の仕事を生業にしている者として気になって見ずにおれず鑑賞しましたが、実に面白かったです。
 話は少しそれますが、国民的アイドルグループAKB48の姉妹グループの一つで福岡市を拠点に活動しているHKT48というアイドルグループがあります。そのHKT48のチームHに14歳の田中美久というかわいらしい女の子がいます。この子は、私が住んでいる県の地方新聞に週1回掲載される子供さん向けのコーナーを進行役を務めてします。先日、たまたまそのコーナー読んでいると、彼女の自己紹介に「大好きな食べ物は馬刺しです」とありました。それを読んだ瞬間、映画寄生獣の中で寄生生物に支配された人間が他の人間を食べるシーンが脳裏に蘇り、思わずはきそうになりました。
 ここで私は思いました。地球上の最強最悪の寄生獣は我々人類でないのかと。映画寄生獣は、そういうメッセージの映画なのかもしれません。